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銃
ライフルの銃身をのぞき込む。暗い金属は美しく輝いていた。収納前に大半の手入れは終えている。しかし、やはり仕事前の確認を怠ると、文字通り命取りになる。慎重に慎重を期す。石橋は叩いて渡れ、というやつだ。
各部の動き、スコープの照準、次々確認を進める月島。少し離れたソファで紺は膝を抱きながら彼の姿を眺める。
紺はこの無言の時間が好きだ。
まるで職人のように黙々と作業を進める、あまりに無骨で繊細な指先。
細められ、見開かれ、覗き込む忙しない紅い瞳の動き。
昔の、自分の知らない彼を垣間見る瞬間、胸が痛む。
その痛みでさえ自分の恋情を掻き立てる。
それに…。
「終わったぞ」
そう言って、抱きしめてくれる彼の、潤滑油と鉄の匂いがする手が好き。
…こうやって過ごす時間一秒一秒が苦しいくらい大切。
だって、いつなくなってしまうか分からない時間だから。
「…大好き」
「ああ」
「紫、頑張って…」
黙って頷く彼に小さな口づけを贈った。