表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dark moon  作者: chocolatier
馴染んだ世界と迷い猫
26/48

店内の空気が変わった。ラルムは、うっと息を飲むが、他の面々は全く気にしていないようだ。


現在地は、車で暫く行ったショッピングモール。その中の、婦人服店である。

当たり前だが、紺は普通に場に馴染んでいる。紗音も…笑顔ではないがぎりぎりセーフだ。

問題は後の4人。特に小野寺と真田。


「ミミ君、此れどうやって着るの?」

「こうじゃありませんか?」

「おお!似合う?」


試着した紫色の頭がくるり、と回ってみせる。

たしかに、小野寺は性別が良く分からないし、身長(前に167cmと聞いたことがある)的には着られるだろう。でも!その髪型で女性物の服を試着するのはシュールでしかない!!

何故か真田も止めないどころか他の色を勧めている。だが、店員さんは「お似合いですよ」と声をかけるべきか悩んで固まったまま動かない。


月島は月島で、紺に似合う服は無いかと真剣そのもの。

あの集団はなんだ?そんな好機の眼が突き刺さるようで居た堪れない。


「あの皆さん!」

「どったの、ラルム君?」


小野寺が代表で問うてくる。


「と、隣に紳士服も婦人服も扱っているお店ありますけど…いきません?」


反対意見が出なかった事に、ラルムは心底ほっとした。



隣の店でも、各々浮いていたけれど、さっきよりは随分マシだ。

ラルムはふぅ、と息をつく。その時。ちょいちょい、と袖を引かれた。

振り返ると紗音が後ろを指していた。

視線を向けると、男女のマネキンが、揃いのパーカーを着ているのが目に入った。


「あのパーカー、好き?」

「着たい、ラルムと…だめ?」

「僕と、お揃いで!?」


驚いて目を見張る。すると、紗音がまた別の方向を指さした。

月島と紺が、揃いのカーディガンを試着している。なるほど。少し羨ましいらしい。


「うん、じゃぁちょっと試着してみようか?」


紗音の眼がキラキラ輝く。

同じ色、同じデザインのパーカーを羽織って二人鏡の前に立つ。


着心地を確かめるように小さく動き回る姿が、年相応に愛らしくて。

ラルムは、このパーカーの購入を決めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ