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Dark moon  作者: chocolatier
裏警察へようこそ
16/48

別室に置いていたホワイトボードを談話室に持ち込む。

桑野から手渡された水を飲みながら、ラルムはまだ若干呆けた顔で月島の行動を見つめている。彼があまりに怯えるので小野寺と真田は、小野寺の私室に引き上げさせた。今この談話室にいるのは、桑野、月島、ラルムの3人だ。

桑野の吐き出す煙草の煙を横目に、月島は左手でペンを取ってホワイトボードにいくつか空欄を書き込んだ。


「ラルム。恐らく、お前はずっと表の世界で生きてきたのだろう?」

「おもて…?」

「人殺しが当たり前ではない世界だ」


そんなの、人殺しなんて普通ありえない。

ラルムの言いたい言葉を察したように月島は頷く。


「表があれば、当然裏がある」


先刻、書き込んだ枠に『表』『裏』と書き込む。


「私たちは『裏』にいる。

ここまでは分かるか?」

「…はい」

「よし。

『表』に警察があるように、『裏』にも…非公式ではあるが政府公認の警察がある」

「けい、さつ…?」


ラルムは首を傾げる。

そんな非合法な香り漂う世界に?


「非合法な世界にも、それが世界である以上ルールはある。

それに…あまりに陰惨で『表』がパニックになる事態を避ける為に『裏』から『裏』に隠蔽(いんぺい)するべき事件も多い。

そういった仕事を片づけるのが私たち≪裏警察≫だ」


ホワイトボードに月島が大きく書いた文字。

ラルムはそれを見つめる。


「けいさつ…なんですか?

ならなんで、人を…!!」


思い出して、吐き気が襲ってきたのか。ラルムは顔を真っ青にして両手で口元を覆った。

桑野がその背を軽く摩ってやる。


「俺らが、人を殺すのは…そうすることで、誰かを救ってやりたいからだ。

少しだけ、考えてみてくれ」

「なにを…?」

「小野寺が、殺さなかったら…どうなってた?」


云われてラルムは数度瞬きをする。

あの時。部屋に、兵士のような男が入ってきた。なんの為に?

ああ、そうだ、考えなくとも答えは明確だ。彼らはラルムを殺しにきたのだ。

あの瞬間、小野寺が少しでも躊躇っていれば…彼は死んでいた。今更膝が震えだす。


「じゃ、貴方たちは…人助けを?」

「2割は合ってるな」


桑野が月島を見る。


「8割は間違いだ。

私たちは人殺しに過ぎない」


月島はため息を吐き出す。


「私の前職は、殺し屋だ。人を殺して稼いでいた。

此処にいる人間の大半はそういう、表でまともに暮らせない経歴持ちだ。

政府はそれを承知の上で私たちのような人間を集めている」


何故だか、分かるか?

月島の眼がラルムの眼を覗き込む。


「私たちのような人間は人を殺す事が出来る。

そして私たちのような人間は誰に殺されても文句を言えない」


だから。

そういう人間に首輪を嵌めて飼い殺しにしているのだ。裏の事情を、迅速かつ表に漏らさずに消し去ってしまう為に。

起源は一体何十年前なのか、何世紀前なのか。それすら分からない。何時の間にか、存在していた。


それが、≪裏警察≫。


「一応、俺が束ねてる間は無駄な殺生はしねぇし、させねぇ。

一回踏み外したからこそ、一般人には幸せでいてもらいたい。

そんな連中の寄り合いだと思ってくれ」


桑野の言葉にラルムは、頷きかけて…止まる。


「じゃ、僕はなんで連れてこられたんですか?」

「殺しをさせるつもりはない、安心しろ」


言われた青年はますます混乱しているようだ。


「お前さんには、情報収集を担当してもらいたいんだよ、ハッカーとして、な」


にんまり笑った桑野の言葉に、ラルムは眼を真ん丸にして固まった。


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