第一話「チェス」
むふフレーゲの定理
男は暇をもて余していた。
チェスを取り出してみる。
しばらくまじまじと見つめていたが、床に置いてしまった。
対戦相手が居ないのならば、こんなものはただのコケシだ。
すると、青く、座布団大のスライムのような生き物…ストレンジャーがやってきた。
男「ああ、お前か」
ストレンジャーは、床に置いてあるチェスの箱をまじまじと見つめ始めた。
目など無いのだが、誰がどう見ても見つめているように見えるだろう。
男「お、チェスに興味を持ったか?」
男が笑いながらストレンジャーに語りかけると、ストレンジャーは体をうねらせ、よじらせ、どんどんその形を変えていき…
ストレンジャー「はい、ご主人さま」
十代くらいに見える少女に変身した。
男「本当にお前は何にでもなるんだな。だが、生憎俺はそんな趣味じゃないんだ。もっと楽にしていいんだぞ」
ストレンジャー「はい」
するとまたストレンジャーは体をうねらせ、よじらせ、今度はユレ○ドルのような見た目の不思議な生き物に変身した。
男「その姿が好きなのか?」
ストレンジャー「」
男「ああすまん、そのかっこじゃ喋れないんだったな」
***
一時間後
男「ま、また負けた…」
ストレンジャー「」
ストレンジャーは学習能力が高いのだ。
最初は男が優勢だったが、あっという間にストレンジャーは見て真似、男を大きく上回る実力をつけてしまった。
チェスでストレンジャーに挑むのは、少し無謀であるということだ。
「ストレンジャー」は、英語で「知らない人」「異邦人」などを意味します。




