表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 豆太郎
1/2

前編

誤字脱字報告してくれるとうれしいです。


家にはいつもお母さん。



お父さんは、いない。




よく風邪とかひいちゃう鴇羽は、悪い子。




お母さんはそうおもってるみたい。




お母さんは、最近私と目を合わさなくなっていた。





家が近くて仲良くしてくれる女の子。


元気でかわいい女の子。



あの子は今日もお見舞いに来てくれる。


大好きな給食のプリンを持って。



あの子は今日も笑顔。


あの子の家はあったかいんだろうな。



いつもお母さんと、お父さんと。

笑いあって。





鴇羽だって。

______たいよ。





目が覚めると、いつも机の上には冷たくなったご飯。


それが今日はない。



お母さんの姿も、

ない。



玄関のドアのカギは、開いていた。




靴を履いて出かける。





火照った体。


今にも倒れそう。




大きな交差点。


人が大勢行きかう中、信号が点滅する。




その先に、大きなカバンを持ったお母さんの姿。




「…っっ!」




叫んだって振り向いてもらえない。



きっと聞こえてる。





あの時みたいに。





『―——――—って!!』

『離してくれ!』


(おかあさん…おとうさん…?)


『鴇羽っ…あっ、』


(おとうさん…?おとうさん!!)




お父さんは振り向かないまま重たい玄関から出ていく。



お母さんも振り返らないまま。


赤になって、車と人に紛れ、消えていった。




家に帰る。


冷たいごはんが今は恋しい。




『とんとんっ』


ああ、今日もあの子が来てくれた。



笑顔のあの子が。




体はもう冷たくなっていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ