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第3章 12

 大庭の話し方についていける人はあまりいなかったが、それは茉子と同じような話し方で、慣れている俺は自然と大庭と一緒にいることが多くなった。高校生の入学式後の俺の様子を知っている茉子は心配して時々電話をくれるが、

「蒼、友だち出来たんだー良かったー」

と素直に喜んでいた。大庭が友だちと呼べるのかは謎であるが。茉子はアルバイトを始めたらしく、それなりに忙しく過ごしているようだ。

 アルバイト誌を大庭が授業中にずっと隣で眺めている。長崎から上京してきている彼は、学費以外の諸々の費用を全て自分持ちで生活しているらしい。

「俺さー妹と弟いるから。学費出して貰えれば万々歳なんだ」

公立高校の生徒は、ある程度の学力の持ち主ある程度裕福な家庭で育っていることが多い。俺の出身高校はその典型的な例であり、大庭が当たり前のように言ったようなことを言う人はいなかった。

俺が少し驚いたような顔しているのが伝わったのだろう、

「なに、大福の角を見付けたような顔して」

「なんだよ、大福の角って。長崎では大福丸くないのか?」

相変わらず意味不明な例えをする奴だ。

 大庭が付箋を貼り付けたページは、茉子のアルバイト先の別店舗だった。

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