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第3章 6
階段を降り、正面玄関に向かう途中で、
「初前さん」
と呼び止める声が聞こえた。なにやら思い詰めたような表情の男子生徒が、階段を駆け下りてくる。
「ちょっといいかな」
確か二年生だった気がするその男子生徒は、更に茉子に言った。困ったように俺を見上げてくる茉子に、俺は、
「行って来なよ、待ってるから」
と言い送り出した。ただ、とあることが予測出来ているから、そっと二人の後をついて行った。
向かったのは特別教室棟の方だった。調理室の前で立ち止まり、
「さっきの彼は?」
と二年男子が口を開く。
「安川蒼くんです。蒼がどうかしましたか?」
茉子が警戒しながら答える。
「『蒼』ね。付き合ってるの?」
「大事な友人です。多分彼にとって私もそう」
その返答を聞いて余裕な笑みを浮かべた。
「ふーん。じゃあ、俺と付き合ってよ、問題ないよね?」
その発言を聞いて、茉子が固まった。




