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第2章 23
ここまでくると酔っている自覚が出てきた。少々記憶が飛び、気が付いたら茉子ちゃんの肩を抱いていた。蒼が神妙な顔でこちらを見ている。
「大庭、そろそろ帰ろう」
茉子ちゃんが時計を気にしだした。蒼が腕時計をちらっと見やり、
「興二、さすがに離してあげようよ」
と言う。
「うん、じゃあ離す」
理性は働いている。良かった…と思っていると、理性ではない部分からとんでもない台詞が俺の口から飛び出した。
「茉子ちゃん、俺と付き合ってよ」
その時の茉子ちゃんの反応を見て、失敗したことを痛感した。彼女には、そのような台詞を迂闊に投げてはいけなかったのだ。怯えたように俺から離れ、逃げるように蒼の影に行ってしまう。
「興二、ふざけるのも大概にしろ」
蒼が珍しく本気で怒っている。
「茉子、こいつ明日になったら何も覚えてないだろうから大丈夫だよ」
必死に茉子ちゃんをなだめている蒼をぼんやり眺めている間に、意識が途切れた。




