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第2章 14

 店を閉め、着替えるために更衣室に向かう。向かう途中で黒岩とすれ違う。

「茉子さん、事務所で待ってますよ」

「知ってる」

「あれ、大庭さん事務所寄ってないですよね? なんで分かるんですか?」

面倒くさいやつだ、無視して更衣室に入った。

「茉子さんって可愛いですよね!」

扉が閉まる前にそう聞こえた。相手がその場にいないのをいいことに、舌打ちをして近くのパイプ椅子を軽く蹴り上げる。なんだか面白くない。

「茉子さんと大庭さんって仲良いですよね。いつもどんな話してるんですか?」

着替え終え、事務所に向かうと黒岩が茉子ちゃんにそう訊いているのが聞こえた。俺はまだしも、茉子ちゃんにそういうことを訊くのはやめて欲しい。いい加減にしろ…そう言おうと思って部屋に入ったが、茉子ちゃんの返事で思い留まった。

「うーんそうだね…この前は『古事記』について話したよ」

その話をここで持ってくるのか…茉子ちゃんらしいけれども。

「『古事記』ですか…難しそうですね」

黒岩は明らかに落胆している。俺が事務所に入ったことに二人は気付いていない様子だったが、俺はそこで口を開いた。

「日本で初めて新婚旅行に行ったのは誰だと思う?歴史上では坂本龍馬なんだけど、『古事記』の世界では違うんだよ」

茉子ちゃんの瞳がすぐにうきうきとした。恐らく俺が何を言おうとしているのか見当がついているのだろう。

「『古事記』の…神話の世界では、イザナキノミコトをイザナミノミコトが新婚旅行に行ってるんだよ。そういう話をいつもしてんの。…茉子ちゃんお待たせ、行こう」

事務所の外に向かうと、茉子ちゃんが慌ててついてくる。黒岩が釈然としない顔でこちらを見ていたが、それ以上何か言わせないように扉を閉めた。

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