第1章 16
乾杯をしてから三十分ほど経過したか。忍くんが立ち上がった。
「周りの人だけで話してるだけでは勿体ない!という訳で、今回はちょっとしたゲームをします。」
大分出来上がってしまっている大庭が騒いでいる。彼の前の机を見ると、日本酒が置かれていた。容赦なく飲んでいるようだ。
「…人deビンゴ!今配っている用紙をここのメンバーの名前で埋めて下さい。こちらで全員分の名前が書かれたクジを用意しているので、引かれた人の名前を消して頂く、のですが、それだけではないですよー、引かれた方はこちらに用意されているお題に沿って一言ずつ話して貰います!」
酔っ払いのテンションを利用して盛り上げつつ、彼らをまとめる忍くんの話術はなかなかのものだと思う。
「はい、では三分ほど時間取るので、マス目を埋めて下さい!」
喧騒が大きくなり、皆が埋めていっているのが分かる。
「因みに、一番にビンゴになった方には、豪華景品を店長からぶんだくって…いえ、預かって来たのでお楽しみに」
忍くん…店長になんて言ったのだろうか。この様子だと、脅していても不思議ではない。にこにこしながら店長を脅す忍くんを想像して私は一人震え上がった。忍くんを敵に回さないようにしよう。
辺りを見回して、目についた人で埋めていく。大庭と目が合い、にやりとされた。
「茉子ちゃんの名前書いてあげよう、茉子ちゃん可愛いから」
声が大きい。しかも面倒くさい。少し睨んでため息をついた。




