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第1章 11

「散歩?なんでこんな時間に?」

「こんな時間というほどの時間でもないだろ。…俺散歩好きなんだよね、よくこの時間に近くの公園までとか歩きに行くんだ」

「へー散歩良いね。私は家の目の前が畑で人潜んでても分からないから怖くてよう行けんわ」

私の家の前には植木畑が広がっている。暗いと木か人か判別不可能だ。それでもまだましな方で、畑の外れの横の道では小学生の頃友人が不審者に遭遇したらしい。

「畑男」

突然大庭の声が聞こえ、回想が分断される。

「何それ、何かあったっけ」

「いや、茉子ちゃんちの前に潜んでいる、若しくは潜んでいそうな男の総称」

文学方面に元ネタがあるのかと思って尋ねたが、そういうことではなかった。それにしても大庭は私の曖昧な疑問にも正確に答えてくる。

「畑女。女バージョン」

「あーはいはい」

「畑オネエ。ちょっとヤバめ」

「うん」

いくつかそのようなやり取りが続き、もうネタが切れるだろうと思っていたが、

「畑大庭」

「……」

「歓喜による無言?…そろそろ怒られそうだからやめようか(笑)」

「うん、そろそろ怒るよ(笑)」

その後、何でもない世間話をして電話を切った。時計を見たら一時近くになっていた。


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