第一章 命の足跡・・・ってトコかな?
第一章はほとんど世界観解説みたいなものです。
これからストーリ出していくんでよろしくお願いします。
不自然な光景・・・雑踏の交差する町並みは地表から離れることなく人々はわらわらと
行き交う。その地表から離れた中空で佇む男・・・足元に見える雑踏を眺めながら、
静かに語り始めた・・・。
生命の歴史・・・それは原点を辿れば宇宙の誕生にまで戻らなければならない。
無から宇宙が生まれ、星々が生まれては消え、また生まれては消える中、
一つの星の中に生命が生まれる。それはとても脆く弱い存在だった、が、
まるで何かに突き動かされるように繰り返し生まれ、次第、
次第に生命を増やしていった・・・。
すると生命に変化が起こる。それは姿形のみならず、生存領域までも拡げ、
その種を増やしてゆく・・・進化、繁栄、衰退を繰り返し、いつしか生命は、
人類にまで登りつめる。
しかし完全に星の環境に適応し、種族、民族として生きる人類は、
物質的な進化を自ら止める結果を生んでしまう。
だが人類は、もっと別の、全く異なる次元に進化の道を見つけた・・・。
―精神―・・・心である・・・。
人類、いや、人間は、産まれ、生きて、死ぬまでに、様々な事を考え、動き、思ってきた。
そして、そこから文明が興り、文化が生まれ、そして・・・【宗教】ができた。
人間は、様々な時代に、様々な民族の中で、様々な伝説や宗教等の心の世界を創ってきた。
目的も多岐に亘り、純粋な信仰、民族の統率、権威の誇示・・・良し悪し、大小を問わず、
数多く生み出されてきた。その影響力は凄まじく、主に、民族から国家へと人間たちが、
その集団の呼称を変えてから・・・ヒドくなってくる。
異民族、異国の宗教を邪教として侵略の口実にしたり、互いに認め合えても、似かよった
神がいると、ランクづけしたり、悪くすりゃぁ悪魔に貶めたりする。
コロッコロ変えられちゃぁ神様だってたまったモンじゃない。
あ〜・・・なんかハラぁ立ってきた!
もうかしこまった喋り方も飽きたし、前置きはこんなもんだろう。
とまぁ、そういった宗教、神話等の思想、概念が俺たち悪魔や天使、神といった、
「生命なき命ある世界」を創った。そこは善悪を問わず、大まかに総称して【魔界】
と呼ばれている。
さて、それじゃぁ自己紹介といくか!俺の名はカイン。勘の良いヤツや、聖書を読んだ
事のあるヤツなら、ピンッときたろう。【カインとアベル】の兄弟の話。弟のアベルに、
間違った嫉妬心を抱いて弟を殺しちゃう。っていう話の中の、兄のカインというのが俺、
らしい。「らしい」っつーのは、俺自身、そんな事(存在原因)何も知らないし、
関係ないっての!聖書のカインは聖書のイメージ。俺はそのイメージから創られた存在。
まぁ、関係があるかないかっていうと、無い事は無いんだけど、ま、そこは
いろいろある訳よ。そんなカイン君は『死神』をバイトでやってる『悪魔』だ。
通常、俺達のような人間の精神によって創られた魔界で生(?)を受けた者達は、
さっきの聖書の件のように、何かしらの形で存在原因があり、そこから人間たちの
善悪の物差しによって、魔物か天使かに分けられ、さらに時代、年月を経て、
性格付け、位置づけされ、もっと言えば種族分けまでされる。そんな中、俺は悪魔に
位置づけされている。まぁ、弟を殺しちゃうんじゃなぁ。
悪魔ってのは魔界でもポピュラーな種族の一つで、主に理知的で狡猾、最終利益を
重点的に考え、一を実行するにも、第二、第三と手段を用意するほどずる賢い。
と言われている。ヒデェ言われようだよ。俺はそうでもないんだけどなぁ・・・。
とにかくそんな悪魔名俺だが、今は死神をやっている。元々、悪魔や天使(以降、
悪魔、天使含めて、細かくない限り、魔物と表記)は、種族分けされたあたり(時代)から
固定化され始め、現在になってはもう、変動し得ないほど凝り固まってしまった。
それは種族も同じで、異種族間での移動(異動?)ができないのが原則となっている。
が、たまに、俺のような例外がある。ある、とは言っても、俺自身が死神になった訳でなく、
バイト感覚でやらせてもらっている。ってとこかな?
まぁ、俺たちみたいな魔物なんてのは、魔界にいるだけでとり立ててやる事も無いし、
それに比べれば遥かに面白いし、退屈しない。何より、合法的に外(人間の世界。以降、
人界、人間界と表記)に出られるのが魅力だ。
合法っていうのは、実は天界、魔界、ひいては神界。総じて一つの「法律」がある。
『天魔法典』と呼ばれており、神、天使、悪魔、全てに定められた法律だ。
その中にはいろいろな宗教、神話などからの神々ならではの固定観念や、独特の宗教観を
網羅しながらも、共通点、妥協点から、天界、魔界、神界に及ぶ決まりごとを定めたものだ。
具体的には「天界、魔界、及び人間界は本来行き来ができない。」
「神界は神々が住む場所で、そこに行けるのは天界の、それも限られた上位天使だけ。」等、
その世界間、世界の内外に対して定められたものがほとんどである。
魔界も含めて定められたこの『天魔法典』。じゃあ、悪魔達は守ってるのか?と思うかも
しれないが、案の定、守るわけがない。というより、理解できてるヤツ、少ないだろうな。
・・・なんか話が脱線するが、ここいらで天界と魔界の世界の特徴を話しとこう。
基本的に思われているイメージは、天界は「天使の住む良い世界。」魔界はその逆。
それが普通だよな。だがこの世界観(?)では宗教や神話などの概念が混同し合い、
矛盾点や相違点を『天魔法典』によって定められた世界である。
ということを覚えておいて欲しい。
まず天界は、天使の住む世界だが、そこにはそれぞれの宗教から生まれた天使達が、
それぞれの世界を形成し、互いに関係し合う事もなく、それぞれの信仰に基づいた世界を
創っているのだ。さらに言えば、それぞれの信仰に基づいた天界であるということは、
その宗教の信徒には加護と祝福を与えるが、それ以外の人間には、たとえ悪人でなくとも、
邪な者とし、排除する。といった、博愛の面と、冷徹な面を併せ持っている。といった感じか。
まぁそれぞれの宗教で若干の誤差はあるが、一様に言えるのは自分たちの信仰以外は全て、
邪と決め付けてしまう。ということだ。『天魔法典』ができてから、というか、ある程度
時代が進んでからは、少しユルくなったのか、天界間でも交流を持とうという動きがあるが、
・・・ムリっぽいだろうな・・・天界だし・・・。とまぁ、これが天界の特徴だ。
一方魔界は、その逆、というと味気ないので、説明すると、一言で言うとゴッチャゴチャ。
もっと言ってしまうと「混沌」としている。ということだ。魔界は人間の心の闇。
悪の部分が集まってできた世界。といってもいい程、そのまんまの世界だ。
無秩序で定まりがなく、欲望と本能のままの世界・・・とは、魔界の中でも大部分の事で、
中には俺のような理性のある者達もいるし、もっとすごいのだってゴロッゴロいる!
つまりは魔界ってのは「自由」ということだ。その分混沌としているがそれが全てだ。
だからその分、そこで生きるために力も要求される。きっとそこからだろうな、魔界が
弱肉強食のイメージもあるのは、ともあれそんな魔界だが、『天魔法典』は理性ある悪魔
(魔神)たちによって仕切られ理解できてないヤツらもその中で動くため十分機能してる
といえる訳だ。
さて、最後に俺の仕事に関してのことを教えとこう。死神ってのは本来は死神としての
存在理由のある者だけができることだが、俺みたいな例外もある。その例外だって
俺だけではなく一時的にヒマそうな悪魔(一定の基準はある)を手が欲しいときに
使うこともある。「神」とついてはいるが基本はそんなタイソウなもんじゃない。
あえて神を挙げるなら死神の世界である冥界を統べる、我らがボスのハーデス様くらいだ。
あ!あとその嫁さんか。まぁその人らの事は後でおいおいイジるとして、用は死神ってのは
魔界にいるような悪魔とそんなに変わらない、という事だ。しかし、決定的な違いは、
死神は特有の仕事があり、そのためには人間界に行く必要があるので、死神は魔界の中でも、
数少ない【人間界への移動】を合法的に許可された種族(仕事)である、ということだ!
だからといって死神は特別!死神はエリート!という訳ではない、が・・・
やっぱ調子に乗りたくなるよな!
ともかく長々と離したが合法的っていうのはこういう事だ。あー疲れた。
さて、と、そろそろ飽きたな。仕事について話したいが、ま、そりゃこれからの
俺を見てれば解るだろう。それじゃな!
カインと名乗ったその男は、手軽く挨拶するように、片手を挙げた途端、黒板の文字が
消える様にその姿は風景に染み込んで消えていった・・・。もうなんの痕跡も残っていない
その中空を、雑踏か何かの拍子で二羽のカラスが飛び去ってゆく・・・。
この作品は、今から5年前くらいに書いた自己小説を最近発掘しましてww
どうせなら誰かに見てもらおうと思い、ココに掲載させていただきたく投稿しました。
結構長い話になりそうですんで続くか解らないけど、
ガンバリます!




