暖かな白玉楼
晴嵐は、先ほど入るのを諦めた結界の前にいた。今度は、隣にルナサを連れている。というより、実際はルナサに連れられている。ルナサの案内によりここまで舞い戻ってきたが、どうやら晴嵐が以前に目をつけていた結界は、間違いなく冥界への結界だったらしい。
「ここから入るのよ」
そういうと、ルナサは上着のポケットから鍵を取り出した。特に何の変哲もない鍵に見えた。
「これは鍵よ」
「そうですね」
「何の変哲もないわ」
「そうですか」
ルナサは、結界の辺りを手でまさぐりはじめた。そして、何かを掴むと、そこへ鍵をさして回す。かちりと音がして、ルナサは鍵を抜いた。よく見れば、先ほど鍵を回した部分に、うっすらとドアノブのようなものが見えなくもなかった。
「これで入れるわよ」
「まさか結界内に入るのに鍵付き扉を通るとは……斬新過ぎる」
「昔はもっと大きな扉だったんだけど、結界が薄くなってからは扉も小さく色も薄くなっちゃって」
「そういう仕様なのか」
現実離れし過ぎた鍵付き扉結界、晴嵐クラスの力では真似ることも不可能であろう。晴嵐は、この奇妙で強固で巨大な結界を張ることのできる人物を一人だけ知っていた。だからどうということもないが。
扉を開けて入ると、そこには特に何も無かった。結界の外の景色と変わらないものが広がっていた。外の地上とほとんど同じものである。空中だと思っていたところに、地上と変わらない景色が広がっているのだ。吃驚してしまって咄嗟に後ろを振り返ると、入ってきた扉の向こうには空が広がっていた。そこでようやく、結界の内外で全く違う景色が広がっているということを理解できた。
どうやら白玉楼はまだまだ先のようで、向こうでルナサが手招きをしている。あのひと手招き下手くそだなぁと思いつつ、晴嵐はまたルナサについていくことになった。
「この先に多分千段ぐらいある階段があるから、そこを登っていけば着くわ」
たしかに、少し遠目に天へと続く階段が見えた。その階段は、山の頂上のほうに続いており、石で舗装してある両側には既に散り終えた桜の木が植わっていた。そして、明らかに千段などというレベルではないほど長かった。
(今度、本当は何段あるのかどうか登りつつ数えてみるか)
そんなことを考えつつ飛び立つ。階段に沿って飛んで行くと、どうやら白玉楼の門であろう場所に辿り着いた。誰もいないようだったが、ルナサが特にためらうこともなく入っていったので、晴嵐もそれに続く。
見回すと、広々とした庭があった。よく見ると、幽霊などがふわふわ浮いている。冥界だから当然ではある。玄関に向かって庭を横切って行くと、周りにいた幽霊たちが一斉にこちらを向いた。ような気がした(目がないのでどちらを向いているか分からない)。慣れたもので、ルナサはずんずん進んでいく。そして、玄関の前で立ち止まり、脇に付いているボタンを押した。ピンポーンと音が鳴るのが聞こえた。
(冥界には妙な呼び鈴があるもんだな)
幻想郷にインターホンは無いからわからないのである。
「はーい、いま出ますぅ」
小さな声が聞こえた。音量もそれなりに小さいが、年齢もそれなりに小さく聞こえた。すぐして、扉がガタガタとスライドして開いた。
「あっ、ルナサさん。こんにちは」
「こんにちは、妖夢。遊びに来たよ」
「いらっしゃいませー……そちらの男性は?」
少し不審なものを見る目で晴嵐を見定める妖夢という少女。少し不審、略してSFである。
「こちらは安倍晴嵐さんよ」
「安倍晴嵐です。安倍晴嵐じゃないです」
「あらそうだったの、ごめんなさい」
「はじめまして、魂魄妖夢です」
「魂魄っていうのは変わった苗字ですね」
「多分種族的なやつです。知らないですけど」
「なるほど」
晴嵐が妖夢を見た最初の感想として抱いたのは、変なのが周りに浮いている少女、だった。妖夢の周りには、先ほどからよく見かける幽霊のようなもの(というかそのもの)がふわふわと浮いていた。幽霊を従える少女に見えた。
「幽霊ブリーダー的なお仕事をされているんですか」
「えっ。違います。庭師です」
「庭師なんですか。じゃあその腰につけている刀は草木の手入れに使うんですか」
「そんなわけないじゃないですか。侍の魂を馬鹿にしてるんですか」
「侍なんですか」
「体は庭師、心は侍です」
「体が侍じゃないのに刀を持っているんですか」
「間違えました。体は庭師と剣術指南役と侍です。心は庭師と剣術指南役と侍です」
「変な職業ですね」
「そういえばそうですね。なんで庭師なんてやってるんだろう……」
「と、とりあえず中に入りましょ? ね? 玄関で喋っててもキリがないし」
ルナサの機転により、謎会話は中断して客間に通してもらうことになった。
「広い屋敷ですねぇ」
「もちろんです! 冥界で一番広いんですよ」
(冥界に白玉楼以外の建物なんてあったかしら)
「こちらへどうぞ! 私は幽々子様に話を通してきますので」
「すみません。お願いします」
妖夢に案内されたのは、一般的な和室であった。ただ、客間というよりも主人の部屋レベルの広さに感じた。幽々子という人物はよっぽど金持ちなんだと、晴嵐は思った。そして、何故か部屋の隅で幽霊が浮いていた。客とはいえ、知らないひとである晴嵐を監視しているのだろうか。よく見ると四隅にいた。四面楚歌チャーミング。
「ルナサさん」
「なあに」
「二人きりですね」
「なんか恥ずかしいからやめて」
「しりとりでもしますか」
「いいわよ。何からする」
「ではルナサさんのおしりから」
「そのセクハラ発言はあなたの癖なの?」
「多分そうなんじゃないですかね」
「じゃあルナサの『さ』から」
「さつまいも」
「もち」
「チーズフォンデュ」
「デュ!?」
「『で』とか『ゆ』で代用は無しですよ」
「むむむ……」
デュから始まる言葉が出てこないようで、うんうんと唸るルナサだったが、唸ったところで出てこないのでさらにうんうん唸るだけだった。しばらくして、幽々子へ報告に行っていた妖夢が戻ってきた。
「どうも、お待たせしました。ルナサさんはどうしたんです」
「さぁ。生理かなんかじゃないですか」
「そうなんですか。じゃあ放っておいたほうがいいですね。すぐに幽々子様が来ますので少々お待ちください。あ、これ、お茶どうぞ」
「どうも。いただきます(なんかぬるい)」
「安いお茶しかなくてすみません」
「お茶は安いかもしれませんが、魂魄さんのそのもてなしの心は値段が付けられないほどのものだと思います」
「はぁ、ありがとうございます。あの、妖夢、でいいですよ。魂魄って呼ばれるとなんか変です」
「わかりました。妖夢さんはなんですか、幽霊かなにかですか」
「半分は幽霊です。半分は人間ですが」
「へぇすごい。僕なんて全部人間ですよ」
「そうですか」
妖夢の様子をみると、なんだかそわそわとしている。湯のみをさわさわと触ったり、ちびちびお茶を飲んだり、はたまた腰の刀の柄をいじったりしている。晴嵐は、客と話してる時ぐらい刀置けよ、と思った。
「客と話してる時ぐらい刀置けよ」
「(びくっ)す、すみません」
(やべえ声に出しちまった)
妖夢は、少し怯えたような様子で、晴嵐の顔色を伺いつつ刀を脇に置いた。
「すみません。つい思っていたことが声に出てしまって(いいわけになっていない)」
「いえ、私が気づかなかったのが悪いんです。申し訳ありません」
「常に刀を身につけているとは、なかなかどうして、侍として立派じゃないですか」
「侍としてはそうかもしれませんが、お客様に応対している身としては最低な振る舞いでした。反省し、今後このような失態が無いよう、常日頃から様々な状況に対し様々な視点で見ることを心に誓います」
(余計なこと言ったなあ。凄くめんどくさい子だ)
「妖夢。その辺にしておきなさい。お客さんが困ってらっしゃるわ」
突然聞こえた声に驚きつつも声の主を探す。が、意識して探すまでもなく、そこに立っていた。一つの物音も立てず、一切の空気を動かさずに、いつの間にかそこにいた。和装の令嬢だった。
「どうも、この白玉楼の主の西行寺幽々子よ。よろしくね」
「ど、どうも。人里で妖怪退治などやってます、安倍晴嵐です」
「そんなに固くならないで。お話をしにきたんでしょう? いいわよー。毎日退屈で仕方がないの」
「そうですか? お気遣いありがとうございます」
見たところほわほわとしていて隙だらけに見えるが、よく見ていると隙がなく、と思えばあからさまな隙があり、実際には隙がないのにもかかわらず隙だらけという隙のない相手だと晴嵐は感じた。
「ところでルナサはどうしたの?」
「さぁ。つわりかなにかじゃないですか」
「そう。それなら放っておいたほうがいいわね。どうかしら。この白玉楼。この屋敷、私のなのよ」
(閻魔様から貰っただけの屋敷ですけどね)
「広くて綺麗ですね。掃除とか大変でしょう」
「幽霊たちにやらせてるから私は大変じゃないわ」
「こんなに広いと、使わない部屋とかありそうですね」
「でも、死者が増えたりした時のために予備の部屋がないと大変よ」
「なるほど」
「まぁ正直仕事なんてどうでもいいけどねー」
「えっ」
「私、なんでこんなことやってるのかよくわかんないし。やることないからやってるだけよ」
「そうなんですか。適当でも出来る仕事なんですね」
「私のやることほとんどないもん」
実際のところ、幽々子の仕事というものは無い。主に責任を取ることが仕事なので、なにか異変のようなものが起こらない限り幽々子はただのお嬢様なのである。そのお嬢様が異変を起こしているので世話もないが。
「ほんとに冥界つまんないなー。あの変な桜咲かせてみようと思ったけど巫女さんに怒られちゃったし」
「幽々子様、変な桜なんて言っちゃ駄目でしょう。西行妖、です」
「だって西行ってちょっと言いにくいし」
「あなたの苗字でしょうが!」
妖夢が生真面目に突っ込みを入れる。
「西行妖っていう桜があるんですか」
「うん」
「あ、でももう桜はみんな散っちゃいましたね。今年は僕、桜見れなかったんですよ」
「あら、じゃぁちょっとだけお花見していく? 西行妖、まだ花が残ってるわよ。少しだけど」
「本当ですか。ではお言葉に甘えて」
晴嵐とルナサが入ってきた正面玄関の、ちょうど裏側の縁側に裏庭があった。たかが裏庭なのだが、巨大な白玉楼のものとなると、それに比例して裏庭の面積も巨大なものになっていた。ちなみに博麗神社にも裏庭は存在する。それも神社よりも大きなものだ。しかしそれは置くものがなにもないため、やむを得ず大きくなっているだけなのであった。
枯山水だとかなんだとか言ったか、と晴嵐があまり深くもない知識で博学になった気分に浸っていると、幽霊が団子と茶の乗ったお盆を運んできた。なんだかよくわからないが、ぴこぴこと動いて何かを伝えようとしている風に見えた。
「晴嵐さん、鈴木さんは『座ってお茶とお団子でもどうぞ』と言っています」
「ああ、これは失礼。それぐらいは察するべきでした(この幽霊鈴木っていうのか)」
幽々子がお盆の脇に座ったので、晴嵐はその反対側に腰を下ろした。晴嵐のそばにいた妖夢が、晴嵐のすぐ隣に腰を下ろし、その少し後ろにお盆を運んできた鈴木が座った(見た目は人魂なので実際に座ったのかどうかは分からないが、床に着地したのでおそらく座ったのだろう)。
(右に可憐なお嬢様、左に愛らしい半分幽霊少女。桜は散ったが両手に花だな)
「ほら、あそこにまだ花が残っているでしょう」
幽々子が指差した木を見ると、確かに花が残っていた。三割ほど。
「スカスカですね」
「それはしかたがないわ。残っていただけマシね」
「でも綺麗な色ですね。満開の時は一体どんなだったんだろう」
「うふふ、私も見てみたいわ」
「ん?」
「この桜、満開にならないんですよ。まぁ、八分咲ぐらいになれば十分綺麗なんですが」
(そういえば咲夜ちゃんが言ってたな)
咲夜が言っていた、満開になることのない桜、という言葉を思い出す。
「ささ、お茶をどうぞ。お団子も食べてくださいね」
「どうも、いただきます(もう食べてる)」
「おいしいでしょ。うちの幽霊たちが作ったお団子は、おっぱいみたいに柔らかくておいしいのよね」
「うーん。おっぱいよりは柔らかいでしょう。おっぱいは揉んだら反発が強いですが、団子は低反発です」
「高反発団子は食べづらいし、低反発おっぱいは気持ち悪いわね」
「団子ではありませんが、こんにゃくは高反発ですよね」
「妖夢は反抗期なのよ。最近私に文句ばっかり言ってくるの」
「駄目ですよ妖夢さん。主人の言うことはちゃんと聞かないと」
「ん? なんで私が怒られてるんですか」
結局、花を見ることもほとんどなく(というか見る花がほとんどない)花見だったが、三人は日が暮れるまで談笑していた。鈴木だけは優雅に花を見つつ、お茶と団子を嗜んでいた(幽霊も食べたり飲んだりはするようだ)。
「あら、ずいぶんと日が傾いてきてるわね。晴嵐は帰らなくていいの?」
「いえ、そろそろ帰ります(警邏の途中だったの忘れてた)」
「あっ、じゃ、じゃあ、おみやげ! おみやげ持ってきますね!」
そう言うと、妖夢はぱたぱたと奥に入っていった。
「落ち着きのない子でごめんなさいね」
「いえ、ところで、幽々子さんに聞きたいことがあるんですが」
「なあに」
少しだけ、晴嵐の雰囲気が変わったのを読み取って、幽々子は晴嵐の方に向き直した(実際はちょっと脚がしびれかけていたので座り直したのである)。
「ここの幽霊たちって、要は死んだ人なんですよね」
「うん」
「とある人の様子を見てみたいんですが、駄目ですか? 元気にやってるのかが知りたくて」
「あー、ごめんなさいね。それは出来ないの」
「やっぱり無理ですか」
「というより、私にもわかんないから」
「え?」
「ここにいる幽霊たちは、みんなもう転生待ちなの。天国でご褒美を貰うか、地獄で罪を償うか、どちらにせよ自分の勤めを終えて、善も悪もない、まっさらな状態の幽霊たちがここにいるの。もう生前の何かなんて残ってないし、私たちも番号で呼んでるし」
「でもさっき鈴木っていう幽霊が」
「あれはあだ名よ」
「そ、そうなんだ……」
他にも、高橋、斎藤、坂上、ふんどし王子などがいるぞ。
「閻魔様ならあなたの探し人もわかるかもしれないけど、私じゃ無理ね。一応見分けはつくけど、その霊の過去とかはわからないわ」
「そうですか。すみません、ちょっと気になってしまったもので」
「人間なんだからしょうがないわ。私も気になることだってあるし」
「いえ、ありがとうございます。どっちにしろ、勤めを終えれば無事に転生できるんですね。それがわかっただけでもちょっと安心しました」
「そう? ならいいけど」
「いいんです」
それっきり、二人は黙りこんでしまった。二人ともとても気まずく感じていたが、なんだか話しづらい雰囲気になってしまったので、大人しく妖夢を待っていた。しばらくすると、妖夢がぱたぱたと戻ってきた。
「すみません! 遅くなっちゃって! あの、これ、お団子が残っていたのでどうぞ食べてください。残り物で申し訳ないですが」
「駄目よ妖夢。残り物なんて渡しちゃ。私だったらもったいないからもらうけど」
「いえいえ、いただけるだけで十分です。ありがとうございます」
妖夢から受け取った袋には団子が三個刺さった串が五本ほど入っていた。明らかに残り物とは違うような気がしたが、晴嵐にはどうでも良かった。むしろ、団子を巻いているラップや、それが入っているビニール袋が妙に幻想郷では見ないものだったことのほうが気になった。気にはなったが、これから帰るのに話を続けるのもアレな気がしたので黙っていた。
「そういえば、帰る前にルナサに何か言っておかなくていいの?」
「あ、そういえば忘れてました」
「以外に酷い人なのね。でも、ルナサもルナサで私たちが移動したことに気づかないなんてどうしたのかしら」
「陣痛でもきてるんじゃないですか」
「確かにそれならそろそろ生まれてるかもしれないわね。行ってみましょう」
「ホントに生まれてたら迷惑この上ないですが」
ルナサの件とは別に、先ほどの部屋に財布などを忘れていたことに気づいた晴嵐は、どちらにせよ部屋に戻る必要があった。そのことを妖夢に伝えると、不用心だと叱られた。部屋に戻ると、ルナサが幽霊と会話をしていた(晴嵐には幽霊が何を言っているのかがわからないので本当に会話しているのかは謎である)。
「おや、高橋さんと一緒におはなししてらっしゃいましたか」
(高橋と鈴木の見分けがつかん)
「ああ、ごめんなさい。くつろがせてもらってるわ」
「いえいえ、晴嵐さんはお帰りになるそうですが、ルナサさんはどうされます?」
「そうね、私もそろそろ帰ろうかしら。もうお茶を四杯もいただいてお腹タプタプよ」
「なるほど、陣痛だけに。上手いですね」
「なにが?」
「ルナサさんも良かったらこちら、持って帰って食べてください。団子です」
「あら、三兄弟なのね。ありがたくいただくわ」
三姉妹と三兄弟でシンパシーでも感じたのだろうか。ルナサはとても嬉しそうに受け取った。
二人は荷物をまとめ(といっても大したものがあるわけでもない)、昼過ぎに白玉楼に来てから、ようやく帰ることとなった。
「では、これで」
「うふふー、また遊びに来てね」
「ご迷惑でなければまたお会いしましょう」
「ええ、また遊びに来るわ」
別れの挨拶はそんなに長くなることもなく、あっさりと終わった。幽々子と妖夢に背を向けて、晴嵐とルナサは階段を降りるように下に飛び立った。
「ねえ、帰るまでしりとりの続きしない?」
ルナサが提案する。そういえば、しりとりなんかしていたな、と晴嵐は思い出した。
「見つかったんですか?」
「ええ。『デュラハン』よ!」
「『ン』ついてますよ」
「うああああしまった!」
「デュラハンナイトにしとけばよかったのに」
「あんだけ考えたのに負けた……」
負けず嫌いで明るい彼女は、どうみても鬱がどうのといったひとには見えなかった。が、別に見た目や性格など、幻想郷では特に意味もないので放っておくことにした。
「日が暮れそうです。さっさと帰りましょう」
「そうね。また今度勝負しなさい」
「はいはい」
夕陽が降り注ぐ中、二人は冥界から帰宅したのだった。結局遅くなって「病み上がりなのに何をしていたんだ!」とド真面目歴史教師に過保護に叱られることとなる。
ちなみに、帰宅してみると、晴嵐が楽しみにしていた麩菓子は全部父親に食べられてしまっていた。
白玉楼です。
妖夢と幽々子の二人と知り合う回です。ルナサをいじめる回でもあります。妖夢とはお互いそれなりの距離を保った知り合い関係です。妖夢は、よく分からない雰囲気を持つ晴嵐に幽々子と同じ匂いを感じて地味に尊敬しています。ただ実際は晴嵐自身に深い意思がないだけです。幽々子はそれなりに晴嵐を気に入っています。というか、書けば書くほど弱いキャラには薄い印象、強いキャラには濃い印象を与えるキャラとして書いちゃいます。しかたないね。実際は中身が無い人って、持ってる人からは見抜かれますが、持ってない人からすればわかりませんもんね。僕は見抜けないので中身ないんじゃないすかね。
書きはじめてからこの回に対してイメージがなかったことに気づき(簡単なプロットはあったのに)地味に苦労しました。もともと深い意味のないこの作品ですが、この回はその中でも特に深い意味のない回です。