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東の方の眠らない日常  作者: 火河雪斗
第一章 我々が恋した幻想郷
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幕間~天狗の手帖

新聞記事を書くとき、どのようなことが重要だろうか。毎日刊行されるようなページ数の多い大手会社の新聞なら、毎日のニュースをきちんととらえていればそれなりに読めるものになるだろう。しかし、個人が発行している新聞を読ませようと思ったとき、それでは足りない。個人が取材できる範囲など限られているし、記事の数も増やせない。それならどうすべきか。もちろん、記事内容が面白ければ売り上げが伸びる。これは、そんな記事に悩むとある天狗の、ネタが書かれた手帖である。






○月×日

妖怪退治屋の弾幕とは!?


人里で妖怪退治屋を営む安部晴嵐氏(二十五)に「私に向けてスペルカードをぶちかましてほしい」と依頼し、謎に包まれていた彼の弾幕を写真に収めることとした。(その際の彼の一言「ドMなんですね」は私の心に傷を残したが、エンターテイメント的には面白い一言なので採用を要検討)彼は自分が男で、弾幕ごっこはやらないのだと念を押してきた。保険(予防線)をかけてハードルを下げたつもりか。相変わらずのようだ。


まず彼は霊符「封印宝珠」を放ってきた。夢想封印とよく似た弾幕だったが、この三つの巨大な霊力の球には見覚えがあった。というか以前食らった覚えがあった。先代巫女のいわゆる必殺技だったものだ。どうやら、彼は先代の技を受け継いでいるらしい。道理で妖怪退治などをやっているわけだ。ちなみに、頑張らないと振り切れないほど追尾してきた。博麗の技の追尾はある意味気持ちが悪いので(追尾しすぎで軌道が妙ちきりんなものになる)頑張って避けた。爆発を至近距離で見たが、凡才だった先代よりは随分と高威力で、少し服が破けてしまった。


次に妙符「心の落とし物」。弾幕で背後と左右をふさがれた。私へと向かってくる弾はなく、行動を制限するのが目的のようだ。と思ったら彼がどんどん接近してきた。あまりに堂々とやってくるので、怖くなって弾幕を放ってしまったが、彼の拳で打ち落とされてしまった。そういえば彼の間合いは近接だった。しかし、額がくっつくほどに近づいたかと思ったら「これで終わりです」だそうだ。殴られるのかとビクビクしていたので「殴らないんですか」と言ってしまった。彼は変態を見る目で私を見ていたが「退治が必要なら殴りますよ」と言った。なるほど。なるほどしかし、よく見ると彼の左手に握られている布きれはパンティなのではなかろうか。なぜ突然パンティを握りしめ始めたのだろうか。というかなんだか股間がスースーするような気がする。と、そこで彼の左手ではためく黒いパンティが自分のものだと理解した。なるほど。ビビらせて注意力を散漫にさせる弾幕か。私の思考が止まっている間にスルリと脱がしたのだろう(十分達人技ではあるが)。しかし、私を変態扱いする割には彼も変態ではないか。そう抗議すると、彼はムッとしてパンティのクロッチの部分を広げて舐める真似をし始めた。さすがに殴った。


最後である。(スペルを三つしか持っていないと言っていた。そもそも、現博麗の巫女とスペルカードルール制定の際に試しに作ったもの以外は持っていないそうだ。使わないのに作る必要も無いのだろう)パンティをはき直して、最後の夢符「封魔陣」を見せてもらった。博麗霊夢が使っているものと同じように見えたが、彼女のそれは霊力によるダメージと結界による防御であるのに対し、彼のそれは本当に私を封印しようとした。危険を感じて全力で逃げた。本当に封印する気だったのかと問うと「うん」と答えた。なんだか彼は私に対して随分と適当な態度をとっている気がする。別に嫌な気分ではないが。などと言うと、またドMと罵られてしまうので言わないでおくが。






○月○日

妖怪退治屋の休日


安部晴嵐氏(二十五)がどんな休日を過ごしているか調査した。結果として、家でごろごろ、博麗神社へ遊びに行く、以外の行為をほとんどしてないことが判明した。普段は仕事のある日に幻想郷中を飛び回って旅行しているようだ。ほとんど職務放棄である。

しかし偶然にも、私が取材に赴いたタイミングで、彼にしつこく構い続ける物好きな教師、上白沢慧音に遭遇。話を聞いた。


――ここからボイスレコーダー


「晴嵐か? 全くあいつは、いつまでだらだらと過ごすつもりだ。あいつももう二十五だ。そろそろ結婚してもいい時期だぞ。せっかく未婚の幼なじみだっているのにそのつもりはないみたいだし」

慧音さんは結婚されないんですか。

「私はいいんだ。問題は晴嵐だ。有夢を引きずっているのは分かるがもう十年だぞ全く本当に駄目なやつだいや教師が駄目だとか言ってはならないのは分かっているのだがやはりあいつを見ていると放ってはおけないというか心配になるというかああもうなんなんだあいつは」


――以下省略


どうやら彼は割と愛されているらしい。慧音氏が禿げないうちに立派な人間になって欲しいものだ。

特に意味が無い話をいろいろ書いてきましたが、この回に至っては晴嵐の補足というだけで、本当に深い意味はありません。マジで。

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