チーム・アヴァロン
オーク討伐の依頼を受け、ヴァナヘイムに来ていたロキ達だったが、突如としてロック鳥が飛来。
なんとか迎撃したロキ達は本来の依頼である町の様子を再び見に行く事に。
「さて、これで依頼完了だな」
ロック鳥を倒した俺たちは依頼の町に戻り、オークの残党が居ないか調べ終えていた。
誰もいない宿舎を借りて宿をとったのだった。
「じゃあ帰るか」
「だな」
「そうしましょ」
「かしこまりました」
こうして無事に依頼を終えた俺たちはアースガルズに戻る事にした。
………………
…………
……
「それにしても、何だったんだろうな。あの二人」
アースガルズへの帰還中、ロック鳥に止めを刺した男たちについて喋る。
「あぁ、ヴィゴーレとキントだっけ?」
「……あたしは知らねえぞ」
「なんだ、お前も知らないのか」
「うっせぇ」
レヴィはあの二人と会ってから機嫌が悪い。
あのキントと名乗った少年の言葉を相当根に持っているようだ。
レヴィもガルムも知らないとなると本当に先日の二人がギルドの魔導師かどうか怪しくなる。
「まぁいいや、じじいかおっさんに聞けばなんか分かるだろ」
………………
…………
……
「たっだいまーーーマリア!」
レヴィが勢いよくギルドの扉を開ける。
マリアを見つけるそのまま抱きついた。
「お帰りなさい、レヴィ。ちゃんと手伝い出来た?」
「当たり前だろ!」
「そう、ありがとう」
「へへ」
さっきまでの機嫌の悪さはどこへやら。
……子どもは単純で良いよな。
マーニがマリアの前に出る。
「マリア様、無事に依頼を達成しました」
「分かりました。報酬は後日渡します」
「かしこまりました」
ニョルズが此方に向かって歩いて来た。
「よくやってくれたな。礼を言うぞ」
「こういう時はお互い様だろ?」
「ふっ……そうだな」
「あ、そうだ。マリア、ヴィゴーレとキントって奴知ってるか?」
「……!」
「ロキ、その二人がどうかしたのですか?」
「あぁオークと戦ってる時に……」
マリアに一連の事を話した。
「なるほど……分かりました。その二人について分かれば連絡しますので、今はその背中の傷を治すのに専念して下さい」
「!……やっぱりバレてたか」
「はい」
やはりマリア相手に隠し事は無理らしい。
横のガルムが睨んできたが気づかないフリをした。
「それじゃ、俺らは帰るわ」
「皆様、さようなら」
「また来るわね」
………………
…………
……
ロキ達が出て行った後。
「ニョルズ」
「あぁ……分かっとる」
「レヴィ、その二人の実力はどうだったの?」
「えっと……小さい方はわかんないけど、大きい方は強いよ。ロック鳥を弱ってたとはいえ一撃で倒したし」
「そう……」
「マリア、あの二人って?」
「…………」
マリアはレヴィの質問には答えずに黙ってニョルズを見ていた。
………………
…………
……
久しぶりに家に帰ってきた俺たちは椅子に座ってゆったりしていた。
「あー、やっと一息つけるぜ」
「そういえば、ウルの姿が無かったわね」
「どーせ何かの依頼だろ」
「というかバカロキ、なんでまだ怪我が治ってないのを言わなかったのよ!」
「いや、こんなの二、三日くらい寝れば治るし……」
「……ごめん。また私……」
塗炭にガルムの表情が暗くなる。
……だから言わなかったんだが。
「バーカ、なんでガルムがあやまんだよ。今回は俺がドジッただけだろ?」
「でも、あれは……」
ガルムが続けて何か言おうとした時。
「ガルム様、どうぞ」
マーニがガルムに紅茶を差し出した。
「あ……ありがとう」
「ロキ様もどうぞ」
「お、サンキュー……ふぅ、やっぱマーニの淹れるミルクティーは美味いな」
「ふふ、ありがとうございます」
「ま、終わったことはどうでも良いじゃねえか。……やり直せる訳じゃねえしな」
「そう、ね」
………………
…………
……
翌日。
なかなか離れてくれないベットから抜け出し部屋から出て、リビングの椅子に座る。
「ふわぁーーー……おはよう」
「おはようございます。ロキ様」
マーニが紅茶を淹れてくれた。
「……ぷはぁ、あれ?ガルムは?」
「ガルム様でしたらギルドに依頼を受けに行かれました」
「一人で?」
「はい。ロキ様には、怪我人は寝てなさい、だそうです。それと、ランクの低いものを選ぶから心配ないで、との事です」
「別に心配なんかしねえし……って、最後のは絶対言ってなかっただろ」
「ふふ」
………………
…………
……
それからあっという間に三日が経った。
怪我も無事に回復して意気揚々とギルドに入る。
「おぉ、お前らか。もう傷を良いのか?」
毎度の如く酒場にはニョルズが居た。
「ああ!」
「そうか」
元気良く挨拶して受付に向かう。
カウンターには阿呆が居た。
「なんだ馬鹿ロキ、生きてたのか」
「あぁ?……なんか、阿保ウルの声が聞こえたけど気のせいだよな」
「あーあ、とうとう耳まで馬鹿になったらしいな」
「んだとコラ!?」
「やんのか!?」
お互いに魔力を高める。
「だからやめなさいって!」
「「ってーーー」」
後頭部を強打されてウルの頭に激突する。
「「〜〜〜」」
「自業自得よ」
「お久しぶりです、ウル様。大丈夫ですか?」
「あ、ああ。久しぶりだな」
頭をさすっていると。
「ん?なんだ?」
急に入口の方が騒がしくなったのでそちらに目を向ける。
人混みを開きながら金髪をアップスタイルで纏めた女性が歩いて来た。
その後ろには銀色の短髪の青年と長い赤髪の青年。
それに黄色のショートボブ少女に藍色のストレートヘアの女性が歩いて来ていた。
「お久しぶりです。皆さん」
先頭の金髪の女性が挨拶をする。
「久しぶりね。アーサー」
声のした方を向くとマリアが此方に歩いて来ていた。
その横にはレヴィも居る。
金髪の女性ーーーアーサーが微笑む。
「チーム・アヴァロンの皆さんも久しぶりね」
「はい」
銀髪の青年が答えて赤髪の青年は一礼をした
チーム・アヴァロン。
ギルド最強のチーム言われるのがチーム・ヴァルハラなら、ギルド最高のチームと言われているのがチーム・アヴァロンだ。
そのチーム・アヴァロンのリーダーがアーサーなのだ。
「レヴィ、元気だった?」
「ああ!トリスタンも元気だったか?」
「うん!」
黄色の髪の少女、トリスタンがレヴィと楽しそうにお喋りを始めた。
「久しぶりだね。ロキ、ウル」
「ああ、久しぶりだな。ランス」
「元気だったか?」
「あぁ」
銀髪の青年、ランスロット。
皆からランスって呼ばれてる。
男の俺から見てもすげー良い奴だ。
「聞いたよ、ロキ。前の依頼で怪我をしたんだって?」
「ゔっ」
「腕が鈍ってるんじゃないか?なんなら僕が練習相手をしてあげようか?」
「いや、遠慮しとく。あんたと練習すると命の危険があるから」
赤髪の青年、ガウェイン。
言葉遣いや態度は良いだが極度の戦闘狂という人物だ。
一歩距離を置いている藍色の髪の女性がペリノア。
金にシビアで俺は苦手なタイプだ。
実力はアーサーと互角らしい。
「それでマスターはどちらへ?」
「じじいはミズガルズでバカンスらしいぜ」
「そうですか……」
本当に人が良いな……。
俺なら文句を何度も言ってるぞ。
「それで、今回は?」
マリアがアーサーに尋ねる。
「依頼を受けに来ました。何か困った事は無いですか?」
「……それなら、ケルベロスと共に盗賊団の捕獲をお願いできる?」
「分かりました」
「ちょっと待て!なんで俺たちも!?」
マリアの聞き流せない発言に突っ込む。
「ロキはまだ怪我が治ったばかりで本調子ではないから」
「いや、だから俺は……」
「いいじゃないのよ。私は別に構わないわよ?」
「私も大丈夫です」
ガルムとマーニは賛成らしい。
「盗賊団といっても構成員のほとんどが魔導師だと聞いてるから油断しないようにね。これが依頼書よ」
「……北東のビヴロスト周辺に出没する盗賊団の捕獲ですか。皆さんはよろしいですか?」
「アーサーが決めたなら僕は構わないよ」
「相手は魔導師か……依頼を出されてるってことは強いって事だよね。僕も構わないよ」
「わ、私も大丈夫です!」
「ペリノアは……」
「報酬の三分の一で良いわ」
「分かりました」
なんかアヴァロンのメンバーもノリノリなんだが。
「はぁ……分かったよ」
……なんか最近こういうのが多い気がするぞ。
こうしてチーム・アヴァロンとの合同で北東のビヴロスト周辺に出没する盗賊団の捕獲をする事になったのだった。