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BLACK KNIGHT  作者: しーどら
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オーク討伐

〈前回までのあらすじ〉

依頼を終えて隣町から帰ってきたロキ、ガルム、マーニのチーム・ケルベロスの三人。

ギルドに戻るとギルド最強の魔導師であるマリアからギルドマスターであるユミルに代わって依頼を受ける。

グラスへイムの北西にある島・ヴァナヘイムにある町が大量のオークによって占領されたらしい。

ヴァルハラのメンバーであるレヴィも同行する事になり一行はヴァナヘイムに向かうのだった。

「おーい、早く来いよ!」

「お前が速えんだよ!」


前をさっさと歩いて行くレヴィに抗議する。


「はぁ……元気ね」

「はい」


俺の後ろを歩くガルムとマーニ。


「おい、あんまり早く走ると転ぶぞー」

「子供扱いすんな!」

「おっと!」


飛び蹴りを放ってきたレヴィを避ける。


「避けるな!」

「へへ、当ててみやがれ」

「なんだとー!」


追いかけてくるレヴィから逃げる。


「本当に元気ね」

「……はい」


ガルム達が後ろの方で何か言ったような気がした。

今、俺たちは依頼のために北西にある島ヴァナヘイムに向かっていてイザヴェル平原(グラズヘイムの周りにある広大な平原)の北西にいる。


「ん?お、着いたみたいだな」


前方に大きな虹が掛かっていた。


「うりゃぁああ」

「うがっ!?」


虹に目をやってたこともありレヴィの膝蹴りをまともに食らってしまった。


「へ、見たか!」


得意気にドヤ顔するレヴィ。

……ちょっとムカつくな。

よし、ここはお灸をすえてやるか。


「ぃってぇ……」


腰を抑えながら立ち上がる。

すると、レヴィの表情が変わった。


「お、おい。そんなに痛かったか?」


心配そうに俺を見上げるレヴィ。

んー……ちょっとこれはミスったか?


「ん?あぁ、大丈夫だ」


レヴィの反応に素直に答える事にした。


「本当か?」

「本当だって」


なおも心配そうに聞いてくるレヴィに軽く罪悪感を感じる。

その場で軽くジャンプしてみせる。


「な?」

「そっか……」

「心配するなら最初から蹴るなよな」

「フン……あたしを子供扱いしたお前が悪い」


そっぽを向くレヴィだが目は此方をチラチラ見ていた。

何だかんだ言って根は良い奴なんだよな。


「いつ見ても凄いわね。これが本当に橋なんて最初は信じられなかったわ」

「はい」


追いついて来たガルムとマーニが虹を見上げてそう呟く。

この目の前にある大きな虹は魔法で造られている。

まぁ誰がどうやって作ったのかは不明だけど

〈ビヴロスト〉という名のこの虹の橋は各島とアースガルズを繋いでる。

他にも飛行魔法なんかを使えれば言いだけなのだが、生憎俺は使えないからな。

ビヴロストの先端に着くと魔法陣があった。


「それじゃあ行くか」

「あぁ」

「えぇ」

「はい」


魔法陣の上に乗ると周りが七色に光り出した

だんだんと光が強まっていき……。


………………


…………


……


気がつくとさっきまでの場所とは別の場所に居た。

草原だった地面は砂地になっており後ろを向くとアースガルズに繋がっているであろうビヴロストが空に掛かっていた。


「で、肝心の村は何処にあるんだ?」


レヴィに依頼にあった村の場所を聞く。


「ヴァナヘイムの南にある町だ」

「そっか。で、どうする?」

「どうするって何がよ?」


ガルムが分からないような顔をしていた。


「相手は村を占領するような奴らだぜ?作戦も無しに突っ込むつもりか?」


いくらオークが相手とはいえ油断は禁物だからな。

確かに今回はレヴィも居るから戦力的には十分なので全く問題は無いけど……。


「なんか引っかかるんだよな」

「なにがよ?」

「いや、オークが集団で行動するのは別に珍しいことじゃないだろ?」

「えぇ、そうね」


俺の呟きにガルムが質問してきたので、未だまとまってない考えを口に出す。

マーニとレヴィも俺の話に耳を傾ける。


「でも、いくらなんでも町を占領する程の数が理由も無しに一団行動するのはおかしいだろ?」

「確かにそうだけど……」


考えをまとめようとした時。


「理由なんか関係ないね!オークどもが町を占領して困ってる人たちがいるんだ。あたし達はただオーク達を追い出せばいいんだからな」

「……えぇ。とりあえず、なんでオークが集団で行動しているのかは置いといて作戦を考えましょう」

「……だな」


その後、作戦が決まったところで町に向かった。


………………


…………


……


目的の町は直ぐに見つかった。

とりあえずの作戦はこうだ。

町の入口は一つで南にある。

その入口から真っ直ぐ行くと広い丘がある。

まずは俺とガルムが先行してオーク達を町の外に誘い出す。

分かりやすく言えば囮だ。

オーク達を引き寄せ町から丘におびき寄せ、待機していたレヴィとオーク達を挟み撃ちにする。

マーニにはレヴィと待機して貰った。

だったのだが……。


「……なぁ、本当に此処なんだよな?」

「依頼書通りなら間違いないはずよ」


俺とガルムは混乱していた。

目的の町についたのだが、オークの姿は一つもなかったのだ。

とりあえず町の中央にある大通りを進んでいく事に。


「どういう事だ?大量のオークに占領されたんじゃないのか?」


いったん日陰で休憩しようとした。

その時。


「!……ガルム!」

「きゃっ!?」


微かな殺気を感じてガルムの腕を引っ張り抱き寄せる。

するとたった今までガルムが立っていた場所を何かが通り過ぎて行った。


「ごめ」

「気にすんなって。……どうやら情報は間違ってはなかったみたいだな」


飛来物を見やるとのブツ切り包丁だった。

こんなの当たったらケガじゃ済まねえぞ。

飛んで来た方向を見ると、豚のような顔をした人間に近い姿をした生物、オークが沢山いた。

……いつ見てもブサイクだな。

そんな事を思いながら臨戦態勢を取る。


「来るぞ!」

「ええ!」

「ブヒィイイイイ!!」


オーク達が一斉にこちらに向かって走って来た。

手に持っていた様々な凶器を投げつけてくる

俺はフェンリルを使い飛んでくる物を全て撃ち落とす。

ガルムがその間に魔法陣を展開して。


「くらいなさい!」


竜巻が発生して走って来るオーク達を吹き飛ばした。


「ブヒイイイイイ!?」

「ブ、ブヒ」


仲間のオークが吹き飛んだのを見て他のオーク達の動きが止まる。

ガルムがオルトロスを袖から取り出してオーク達に向かって走って行く。

その途中でオルトロスに風が纏う。


「ブ、ブヒィィィィイイ!」


向かって来るガルムに気づいたのかオーク達もガルムに向かって行く。

俺は魔法陣を展開してガルムに身体能力を強化する魔法を施す。


「はぁああ!」


ガルムが一気に加速する。

先頭のオークの目の前に行くとオルトロスで殴り飛ばした。


「ブヒィィィ!?」


殴り飛ばされたオークの巻き添えを喰らって後ろを走っていたオークも数匹吹っ飛ぶ。


「はぁ!」


ガルムはそのまま左足を軸に回転し右のオークに回し蹴りを、左のオークに裏拳の応用でオルトロスをぶつける。

俺はガルムの援護をしながら周りを見渡すと、家の中に隠れていたのか次々とオークが集まり出していた。

……街はもう占領したっていうのになんで隠れてたんだ?

ふと疑問に思ったがオーク達が集まってきたので思考を止め作戦を進めることにする。


「……そろそろか、ガルム!」

「!……了解」


俺の言葉に返事をした後、オルトロスに纏わせていた風を全開にして振るう。


「はぁ!」

「ブヒィィィィ!?」


横向きの竜巻が出現してオーク達が吹き飛ぶ

俺はガルムとは反対にある村の入口を目指して走り出す。


「ちょっと、置いて行く気!?」

「直ぐに追いつけるだろ!」

「だからって……」


後ろからガルムが叫んできたが走る速度を緩めずに叫び返す。

俺の言葉通りに直ぐに追いついて来たガルムが俺の横に並ぶ。

ふと後ろを振り向くと、


「ブヒイイイイイ!!」


オーク達がもの凄い形相で走って来ていた。


「うわっ怖っ!」


フェンリルで追ってくるオークを撃ち牽制しながら入口を目指して走る。


「ロキ、あれ」

「ん?」


ガルムに呼ばれ前に振り返ると既に入口にはたくさんのオーク達が集まっていた。


「どうするのよ?」

「突っ込むに決まってんだろ」


言いながらフェンリルに魔力を貯めていく。


「押し通る!」

「そう言うと思ったわよ」


フェンリルを入口に集まっているオーク達に向ける。

その銃口に魔法陣が二重に展開される。

一つは射撃魔法の魔法陣でもう一つは強化魔法の魔法陣だ。


「邪魔だぁ!」


フェンリルから光線状の魔力が放たれる。

直射砲のバスターだ。


「ブヒッ!?」


入口に集まっていたオークを呑み込んだ魔力の跡には入り口が綺麗に開いていた。


「今の内に行くぞ」

「分かってるわよ!」


自分にも身体強化の魔法を施して走る速度を上げて入り口を突破する。

後ろを振り返ると、


「ブヒイィィィィィィ!!」


やはりオーク達がもの凄い形相で追いかけて来ていた。

その数は先程よりも明らかに多く倍以上の数はいた。


「とりあえず第一段階完了か?」

「完了はこの先の丘に着いた時よ」

「分かってるって」


ガルムと無駄口を言いながらも目的の丘に向かって走る速度を緩めずに向かう。


………………


…………


……


「そろそろか……」


強化魔法で視力を強化して目的の丘が見えた時だった。


「待って!」


ガルムが急に声を出した。


「どうした?」

「どうした?じゃないわよ!オーク達が……」

「オークが?」


後ろを振り返る。


「なんだぁ?」


先程まで真っ直ぐに此方を追いかけていた筈のオーク達が散り散りになって走って行った。


「ブヒイィィィイイイ!?」


中には我先にと仲間のオークを押して走る奴もいた。


「どうすんのよ。これじゃあ作戦が……」


ガルムの言葉を聞きながら俺は別の事を考えていた。

……俺たちはまだ何もやってないのに、こいつ等はいったい何から逃げてるんだ?


「……ん?」


その時。

ふと辺りが暗くなった。

先程まで快晴だったはずだったと思い空を見上げると、


「はぁ!?」

「な、なによあれ!?」


直径5メートルほどの巨大な岩が此方に向かって降ってきていたのだ!

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