幸と不幸は紙四重 青春の1ページ
久しぶりに投稿してみました。かなり短いです……。
商店街を出て徒歩五分のところ。
その路地裏に、理沙は座り込んでいた。
なぜなら。
「服が……っ!!」
そう。
あの、なぞの青年の一撃で、彼女は濡れ濡れのスケスケ状態になっていたのである。
『理沙、大丈夫?』
「問題ないわ」
とは言ったものの、このまま帰るのも恥ずかしいし、かといって乾くまで待っていたら風邪をひいてしまう。
さてどうしようか、と思っていた理沙の視界の端に、
一人の少年の影が、落ちた。
青年は、民家の屋根に寝転がっていた。
否、倒れ伏していた。
原因は一つ。
あの正体不明の少年の一撃で、商店街から遠く離れたここまで吹き飛ばされてしまったのだ。
「ご……は……ッ!!」
血の塊をはきながら、青年は考える。
(追撃は……こない。不必要と思ったのか、もしくはなめられているのか。どちらにしろ、一応は助かったか)
彼は水を操る術を得意としている。
冷静に魔法を使い、傷口をふさぐ。
今まで、水属性の術に失敗したことなどなかった。
そう、あの時までは。
(問題は……あの宿主か。あんな現象は、見たことがない。まるで、魔力が根こそぎ吸い取られているようだった)
青年は、ゆっくりと起き上がる。
すでに、それほどまで回復していた。
路地裏の影。
その主は、はたしてクラスメイトの本田だった。
「え?……本田くん……?」
「向こうにお前の鞄が落ちていて、そこから水滴が延々と続いていたんだ。それを追いかけてきた」
うずくまる理沙に鞄を投げる本田の口調は淡々としている。
しかし、本心では湧き上がるムラムラを抑え込んでいるハズだ。
なにしろ、目の前にスケスケの好きな女がいるのだから。
「お前に何があったかは知らない。でもこんなところでうずくまってたら風ひくぞ。
……俺んち来るか?」
傍から聞けば危険なセリフだが、今の理沙からすると宝くじが当たったような気分だった。
キケンな展開になってきたああああああああああああああああああああ