たどりついた愛
ここは、新宿にあるバーの一角だ。バーのママの雅子は、45歳、バツイチ子持ちだ。
バーテンダーは、圭一、42歳、未婚の独身だ。2人で、お店をきり盛りしている。2人は、実質、夫婦の様な関係だ。籍は入れてないが、一緒に暮らしている。そのことは、店に来るお客には、内緒のことだった。
ママの雅子は、とても綺麗で、スタイルも良かった。ママ目当てで、店に来るお客も、多かった。圭一が、焼きもちを焼くこともあったくらいだ。
同時に、圭一目当ての女子も、多くいた。物腰の柔らかい圭一には、固定客もいた。けっこう、流行っているお店だった。
ママの雅子の娘は、雅子が、20歳の時の娘で、今年、25歳だった。真奈美といった。仕事が、休みの日は、お店に、手伝いに来てくれていた。この日も、真奈美は、手伝いに来ていた。
真奈美は、圭一とも、とても、仲が良かった。真奈美もまた、雅子に似て、美人だった。
この日は、会社の団体客が、10名、予約が入っていた。雅子と、真奈美は、お客さんの席について、接待していた。真奈美は、若いせいもあり、人気者になっていた。店では、親子ということも、隠していた。
真奈美が、接待した、会社の部長が、真奈美のことを気にいり、付き合いたいと、言い出したのだ。雅子は、見て見ぬふりをしていたが、圭一が、怒り始めたのだ。雅子は、ビックリしていた。圭一が、なぜ、そんなに怒るのかが不思議だった。
実は、圭一は、真奈美が、店に手伝いに来た頃から、真奈美の事が気になっていた。そのことに、雅子は、全く気づいていなかった。そして、真奈美もまた、物腰の柔らかい圭一に、淡い恋心を、抱く様になっていた。でも、自分の母親の相手を、好きとは、言えなかった。
ある時、ママの雅子が、体調がすぐれず、休みを取ったのだ。圭一と真奈美は、2人で、お店をやった。ママがいなくて、心細かったが、2人で、頑張ろうと思っていた。その日は、客が、あまりはいらなかった。2人で、いろいろ、話した。圭一は、真奈美に、気持ちを打ち明けた。真奈美が、お店を手伝うようになって、会う様になって、気になり始めていることを、正直に話した。お母さんには、内緒にしてほしい、と言って。真奈美も、母には、内緒だけど、前から、圭一さんのことを、いいな、と思っていたことを、話した。2人は、見つめ合った。そして、そっと、キスをした。
これからは、ママに、内緒で、付き合うことになった。そして、デートの約束をした。2人で、居酒屋に行った。罪悪感は、あったが、とても、楽しかった。
ママの雅子は、なんとなく、圭一の様子が、おかしいことに、気づいた。圭一に、問いただしても、何も答えなかった。雅子は、女の感で、誰か、好きな人でも、できたかも、と、思っていた。
真奈美は、雅子に、もう、お店を手伝いたくない、と言った。雅子は、どうして、と聞いた。真奈美は、夜の世界は、合わないから、と言った。もともと、雅子は、圭一と2人でやってたお店だから、それでも、いいと思っていた。雅子は、真奈美に、わかった、と言った。
また、ママの雅子と圭一と2人で、お店をやることになった。雅子は、圭一に、誰か好きな人でもできたのか、と聞いた。圭一は、唐突に、雅子へ、別れたい、と、話した。雅子は、好きな人は、だれ、と、聞いた。圭一は、それには、答えず、下を向いた。意を決して、圭一は、実は、真奈美さんのことを好きになってしまったと、話した。雅子は、ビックリしたが、冷静になって、圭一も真奈美も、独身だから、いいと思った。内心は、とても、複雑だったが。いいんじゃない。雅子は、言った。圭一は、ビックリして、雅子を見た。本当に、いいの。圭一は、再度、聞いた。雅子は、いいわよ。と言った。ただし、真奈美を幸せにせてあげてね。と、雅子は、最後に、言った。
圭一は、すぐに、真奈美に、そのことを知らせた。真奈美は、喜んでいた。これで、晴れて、2人で、堂々と、デートできると、思っていた。2人は、いろんな所へ行って、楽しんだ。
雅子は、身を引くことになったが、これでいいと思っていた。とても、悲しい気持ちには、なったが、未来ある2人を、応援したいと思っていた。
圭一は、真奈美と長く付き合ううちに、あまり、自分とは、合わないな、と、思う様になっていった。これには、圭一も、本当に困ってしまった。今更、真奈美と、別れることも、できずにいた。
そんな時、圭一は、雅子に、正直に、相談した。雅子は、それで、あなたは、どうしたいの?と聞いた。しばらく考えてから、真奈美さんとは、別れたいです。と、答えた。雅子も、しばらく考えていたが、真奈美が、傷つくわね。と、ポツリと言った。
圭一は、バーテンダーをやめると、雅子に言った。そして、真奈美にも、別れを告げて、田舎に帰って行った。
そして、圭一は、田舎から、雅子に、手紙をよこした。田舎に帰って、いろいろ、考えたけど、やはり、自分は、雅子さんのことが、本当に好きだったことに、気づかされたと。もう、遅かったけど、気持ちだけは、伝えたかったことを、手紙で、書いてよこした。
雅子は、とても嬉しかった。苦楽をともに、店をきり盛りしてきた仲だから、同士の様な存在ではあったけど、雅子も、圭一の事が、本当に、好きだったから。
これから、どうこうなることはなくても、圭一が、気持ちを伝えてくれたことには、大きな意味があると思っていた。これから、心の支えにして、生きていける、と、思っていた。




