負担を減らして
私は少し緊張しながら、園長先生の部屋の前に立っていた。
コンコン。
「失礼します」
「どうしたの、優花先生?」
私は少し迷ってから口を開いた。
「おはようございます。
あの……大変申し訳ないのですが、三月十四日から三月十六日までお休みをいただきたいのですが……」
園長先生は、申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんなさい。その日は人数が少なくて……難しいのよ」
私は小さくうなずいた。
「そうですよね……」
本当は少しだけ休みたかった。
でも、保育士の人数が足りないことは私もわかっている。
すると園長先生が、ため息をつきながら言った。
「ごめんね。でもね、これ……政府の問題でもあるのよ」
「え?」
「保育士が足りないのに、受け入れる子どもの数を増やすように言われるの。待機児童を減らすためにね」
私は静かに聞いていた。
「そうですよね……」
少し考えてから、私は言った。
「待機児童を減らしたい気持ちはわかります。でも……」
園長先生を見る。
「保育士の負担を増やさないでほしいです」
園長先生はゆっくりうなずいた。
「そうよね。本当にそう思う」
そして、少しやさしい声で言った。
「優花先生、いつもありがとう」
その言葉を聞きながら、私は思った。
保育士が足りない。
休みも取れない。
給料も下がる。
それなのに、子どもの数は増えていく。
(これって、本当に仕方ないことなの?)
幼稚園の窓から、子どもたちの笑い声が聞こえてくる。
私はその声を聞きながら、ふと考えた。
この国の仕組みは、誰が決めているんだろう。




