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【第二章完結】最弱不撓の冒涜者~不死身になってしまったコミュ障転移少年、拾ってくれた腹黒没落エルフ令嬢に尽くしていたら、いつの間にか過保護に包囲される~  作者: D.S.L
第二章:悪鬼達の罪と罰

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68.ユイト・クロキ取扱説明書 part2

「でも、みんな、その……自由になりたいって、思ったらさ……」


 「ちゃんと、相談してね?」、請われるままにヘルブラの髪を手櫛てぐししながら、ユイトは言った。


「エメリア様に、その……、僕から、お願いして、みるからさ……」


 ああ、本当だ、と、エメリアの慧眼に、内心で舌を巻くノーム達。

 神格と戦う事だって選べるこの人は、自分が誰かを制限している、縛り付けていることに対して、赤ん坊より臆病になってしまう。


 「彼の為の兵士」なんて存在に、耐えられる精神をしていないのだ。

 

 だからまずは、そういった好意や忠義といったものを、自然と受け取れるようになるまで、少しずつ意識を変えていくしかない。


 ユイトという少年が、それに相応しい者であると、じっくり教えてやればいいのだ。ドロドロの蜜みたいな肯定に、つま先から旋毛つむじまで沈めてやるのだ。


「ユイトこそ、アタシたちの顔、見るのツラくなったら、ちゃんと言いなよー?」

「ムリに気ィ使われる方がメーワクだからなー?」

「う、うん、そうするよ……」


 だから、そうやって軽い調子で釘を刺すのも、彼の為だ。

 ヘルブラが自分のツノを、彼の指でなぞらせるのも、ユイトの為なのだ。

 

 そう、これはユイトの為。

 ユイトの為だから仕方ない………


「あ!ちょっとヘルブラ!ねるなーっ!とけるなーっ!」

「ねてない……とけてな……フぁ………」

「ねてるねてるねてる!」

「めちゃくちゃマンキツしてるだろオマエーッ!?」

「な、なんかデジャヴが……」


 彼らは特に気にも留めなかったが、その時組合の出入り口が開き、フードで顔を隠した人物が、たった一人で入ってきた。


「すいません、ここでなら経歴に関係なく、働き口があるって聞いたんですけど……」

 

 可憐な声から少女と推定される彼女は、そう言いながら受付カウンターまで歩こうとして、


「まっ、ちょっ、ま、ま、待って!」


 耳に届いたその音に、張り詰めた弦の如く足を止めた。


「どうされましたか?」


 にこやかな白兎の問いかけには応えず、彼女は待合席へと顔を向ける。

 そこでは仮面を被った少年が、頭を撫で返すことを口実に、もっと密着しようと体を伸ばす、膝の上の童女と格闘していた。


「落ちるっ!イスから、落ちちゃうからっ!」

「ヘルブラー?アンタちょっとチョーシのりすぎじゃなーい?」

「エンリョ、禁止だから……」

「そーゆー意味じゃなくねーか?」


 フードの少女は、他の全てが見えなくなったかのように、ズカズカと足音を立てながら、少年の方へと直進する。


 ただならぬ様相を察し、職員達が武装に手を掛け、ノーム達が少年を庇うように構えた。ヘルブラも瞬時に頭を切り替え、身軽に動けるようテーブルへと飛び移る。


「おい、なんだオマエ?」

「なにかヨーォ?アタシたちのユイトにさぁー?」

「敵……?」

「え?……え?」


 事態に一人付いて行けていなかったユイトは、




()()()()()()……!」


 その一言で、ガツンと殴られたような衝撃を受けた。




「あ……っ、あなた、は……っ!?」


 目をいっぱいに開き、椅子をね倒す勢いで立ち上がる。

 名乗ってもいないのにフルネームを当てられた、なんてこと以上に、“順番”が問題だった。


 苗字が前、名前が後、その順番が。


「なんで、生きてるの……!?」

「あなた、えっ、ま、まさか……、ち、地球、日本の……!」


 そして声だけで、彼が誰かを当てられるほど、近しい人物で——


「なにやってんの……!?その子達はなに……!?」

 

 出し抜けにフードを脱いだ、その顔を見て、彼の体が()()()と、生理的拒否反応めいて震えた。


「アゲハ、さん……?」


 鳳蝶あげは朱裡あかり

 彼の後輩であり、あの高校の中では最も頻繁に、彼と言葉を交わしてくれていた少女。


「最低……!特別な力を手に入れたからって、こんな小さい子達、奴隷みたいに……!」


 ウルフヘアーが真っ赤に染まっていたものの、

 その顔貌かおかたちは間違いなく、彼女のものだった。


「洗脳でもしてるんでしょ!キモチワルイ……!いくら元の世界で、モテなかったからって……!」

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