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【第二章完結】最弱不撓の冒涜者~不死身になってしまったコミュ障転移少年、拾ってくれた腹黒没落エルフ令嬢に尽くしていたら、いつの間にか過保護に包囲される~  作者: D.S.L
第一章:不死身以外に取り柄が無いヤツ

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風雲急を告げる

「エレノアが、死んだ」


 チカリ、チカ、チカ、カラフルな光点。

 キラリ、チラ、チラ、無作為な明滅。


 宝石散らす黒墨くろすみの川。

 そこは空か?いいや違う。

 どこかの屋内。魔石の宝庫。

 

「エレノアが?」

「嘘でしょ?」

「んなわけ、ないよな?」

 

 立ち、腰掛け、横たわり、

 部屋のあちこちでくつろいで、小さな明かりに輪郭を浮かべる、

 てんで不揃ふぞろいな影法師かげぼうし達。


「お前が言う『エレノア』とは、『甘淫令嬢』のエレノアか?『淫涜の天幕』と呼ばれた女か?同衾どうきんが死を意味する、あの淫売か?」

如何いかにも。彼女はもういない。二つの神格の末節もろとも、名誉ある閃光と化してしまわれた。高貴で誇りある一等星となられた」


 その言葉で、活気がおこった。

 室内の誰もが、にわかにたけった。


 くぐもった、忍ばされた、あけすけな笑いが、空間を満たした。


 これでようやく、こたえられる。

 彼らの肩に掛けられた、創造主からの特別な期待あいに。

 

「計画を進めろ、それが我が君のご命令だ。我らが君は、血が見たいとおおせだ。白地に映える、鮮やかな赤が」


 ピカ、ピカ、ピカリ、

 バラついた点滅。

 瞬くほどに、明るさを増す。


 その輝きをさえぎっていた、奇妙な形の黒影こくえいたちが、


 一つ、また一つと消えていくから。




—————————————————————————————————————




 エリーフォン純白魔導優民国、元老議会にて。

 議員の一人が起こした不祥事の後処理と、その代役の選定について、台本通りに進行していたそこに、乱入してきた者があった。


「臨時会中失礼致します!」

 

 そう言って警護を押し退けた彼は、人数分印刷した用紙を配り、口頭報告の代わりとする。


 元老議会中の発言は、全てがテレストラによって記録されるので、権限が無い者の発声は、最低限でなくてはならないのだ。


「新知性体からのメッセージ……!?」

「矢張り甲種遭遇か……!」

「“類猿族ヒューマン”……、!?このエリーフォンに、対等な国家関係を要求すると……!?」

「いや、この文言はそれに留まらない……!」

「『民族解放』……!『ハイエルフ優遇を打倒し完全実力主義国家を樹立』……!これでは我らが国体への挑戦……!宣戦布告だ……!」

「まだ出現から月日も浅いはず……!魔導兵器が満足に配備されているとは思えん……!この強気はどこから来る……?それとも単なる示威ハッタリか……?」

「だが限られた戦闘記録からすると、高い魔導能力を有している可能性が……」

「新参の猿がユニークを持つと……?」

「しぃっ!滅多なことは言うものではない……!」

 

 その内容に目を通した者から順に、議場内にさざなみの如き動揺が広まり、進行役の議長がガベルを叩いて、それらを打ち消さんとする。

 その行為によって、幕が下りるように発生した、テレストラ議事録の空白の中に、


 誰かが一言、


「“新生しんせい十二頭国じゅうにとうこくトゥー・スィー”……!」


 声明文に記された、新種知性体集団の名義を書き込んだ。




—————————————————————————————————————




 それは、本来なら簡単に死に、

 仮に生き長らえても末代として、潰えるものだった。


 甘さであり、出来損ないであり、過ちであり、敗北だった。


 善意に縛られるが為に、その「善意」を時代の先に受け継ぐということが出来ず、自分の番で途絶えさせる、“役立たず”。


 理想に酔って、一縷の希望すら絶やす、“ゴミクズ”。


 そういうものとして、消える筈だった。

 記憶からも記録からも蹴り出され、その例外は無かったものとなり、「人類は愚か」だと、そうひとくくりにされる筈だった。




 だが、それが()()()()()()()ことで、天地が裏返る。




 困ったほどの頑迷さが、

 生き物として、言い換えれば“残るもの”としての欠陥が、

 無敵の一本筋となった。


 他者を利用し、蹴落とすことに躊躇が無いような、短絡的な横暴に勝てない、机上の空論。

 世代交代と進化の過程で、排除されるだけの最弱さ。




 そんな無用の長物が、不撓ふとう不滅へと引っ繰り返った。




 これはそういう物語だ。

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