第二章登場人物、用語解説 ※読み返し用、飛ばしても問題ありません
〈登場人物〉
エメリア・シルヴェルト:ペイルが擬態した外套によって、変装したエレノアが使う偽名。諸々の事情から、「高貴な家出身っぽい雰囲気の、水を操るユニークを持ったダークエルフ」という、少し無理のあるキャラ設定になってしまった。
組合襲撃事件によって、“溺藍のエメリア”とかいう二つ名で知られるように。
“冒険業支援協同組合”キャドマス支部の受付職員:小柄な白兎型のリカント。丁寧ながらも元気溌剌、気さくで接しやすい物腰で、密かにそれなりの人気があるものの、本性がそこそこ過激で残忍であることでも知られている。
ビオンド:オオカミ頭の犬毛族。身体強化ナシでも十分に鋭敏な五感の性能によって、試験の不正防止役を務めることを得意としている。看破したイカサマは数知れず、“キャドマスの門番”の異名を持つ。
ウィリ=デ:ハピノイドのBスコア冒険者。“裂き誇るウィリ=デ”という二つ名を持つ。羽軸を飛ばす、翼をしなやかな鎧にする、肉体修復に集中させる、等、自身のマナを操る技術に長けており、何も知らない者からはユニーク持ちにすら見える。
ドーベルマンのリカント:牙猟連盟に所属するBスコア冒険者。俊足とナイフ捌きを武器に、戦場を飛び回る。かつてエネクシアの代表的な冒険者であった、牙辣のザルドの弟分だったらしい。
大耳ネズミのリカント:Bスコア冒険者。身軽に飛び回り、螺旋三陵型の短剣で、治療困難な刺し創を穿つ。
おしゃべりなドワーフ:Bスコア冒険者。同族同士の密なコミュニケーションがフェロモンによって完結するドワーフは、発話能力をおざなりにしやすい。つまり彼はドワーフの中でも異端な個体で、だからこそ体外折衝の場では重宝される。他のドワーフとの連携にも、特に問題は生じていないようだ。
ロト:組合キャドマス支部土木関連部門開発課所属のノーム。焦げ茶オールバックの中年(ノーム基準)男性。冒険者スコアはB。
ブリュネ:ノームの双子の一人。活発で積極的、曲芸めいた身軽さを持つスポーティーな少女。自分の力で道を開こうとする反骨心やリーダーシップを持ち、残飯組の精神的支柱となっていた。
ヘルブラ:ノームの双子の一人。内向的で寡黙な少女。ポプラーの能力を引き出すのが上手く、防御能力で言えば残飯組トップ。だが自分から行動することは少なく、誰かの後ろに付いていくことのを常とする。
グラウ:残飯組の少年の一人。ブリュネとヘルブラの次に残飯組に加入した。物覚えが一番良く、鉱夫としても戦闘員としても頼もしい戦力。
巨磐の長:巨磐の一族のトップ。恐怖と暴力で群れを支配していたが、実は中間管理職。
模虞裡のカクォール:デーモンの一人にして、十苦鳴叫と呼ばれる特別な階級に属する一人。ロードから授かった恐怖心を操る力、出力したマナに生物を模倣させる技量、相手の生体マナに直に触れた瞬間に勝ちレベルのユニーク、様々なギミックを仕込まれたことで直接戦闘にも強い肉体等々、およそ負けようがない要素てんこ盛りであったが、遭遇した奴の頭のネジが外れていたのが運の尽き。
アマネ・キミヅカ:新生十二頭国トゥー・スィーを収める、12人の国主の中でも最高位、筆頭国主の座に就く少女。得意なことは、歌とダンスと人心掌握。
〈用語〉
シャベルとスコップ問題:ここでは「シャベル」を柄が長い方、「スコップ」を短い方として扱う。
エネクシア:国家的連合を形成している商業都市群。経済的存在感によって、周辺諸国の緩衝地帯として生き残り続けている。“自由”や、行動による“約束”、“信用”を至上の価値とし、エネクシアに不義理を働いた者でなければ、誰であってもやり直せる、成り上がれる場所としても知られている。
キャドマス:エネクシア南東端の商業都市であり交通の要所。その位置関係上、新たに冒険者になりに来る者の割合も多い。
冒険業支援協同組合:個人主義的なエネクシア住民達の緊密な連携を実現する為、商人達の共同出資によって創設、運営される、実質的にエネクシアの司法・立法・行政全てを担っている組織。その職員は国家公務員みたいなもので、一定以上の信用を求められる。
冒険者:「エネクシアの自由を守るために危険を冒す者」として、組合の成立と共に生まれた枠組み、だったのだが、そのうち該当する人間の範囲が広くなり過ぎて、最終的に「エネクシアの民は全員冒険者」みたいなことになった。
登録しない自由もあるが、普通に取引ができると思わない事だ。
信用スコア:冒険者の評価基準。「どれだけ信用できるか」という指標であり、戦闘員なら強さ、商売人ならどれだけ関係者を稼がせてくれるか等、能力や誠実さで認定される。A~Gの7段階であり、Gランクは「問題人物」の烙印でもある。Sランクという別格扱いの枠もあるらしい。
冒険者になって最初のスコア測定試験は、どんなに成績が良くてもCスコア上限とされる。飽くまで「信用」スコアである為だ。
牙猟連盟:肉食系動物ベースのリカント冒険者達で結成された傭兵団。Aスコア相当の冒険者が複数所属しており、“あの”牙辣のザルドを保有していた組織でもある。
有翼族:セラに存在する知性体の一種。鳥類の近縁であり、羽毛や翼を持ち、動体視力や空間的な認識力、そして声帯の自在さに優れている。跳躍が得意な者も多いが、飛べるかどうかは個人差。
小土族:セラに存在する知性体の一種。音波の送受信が可能なツノ、子どものように低い背丈、赤子のようにムチムチとした腹や手足、黒緑の肌を持ち、主に森の中の巣穴で暮らしている臆病な種族。体表にポプラーというコケを飼っており、土木、掘削技術に詳しい。実は卵生。
ポプラー:ノームと共生関係にあるコケ。マナの運用を得意としており、光を発して付近の同族の光合成を助けるような、社会的な一面も持つ。動物性のマナを吸って、空気の浄化やマナエネルギーシールド生成といった、様々な能力のリソースとすることもできる。
巨磐の一族:デーモンの技術によって、体格、筋肉が異常に肥大化し、性格も攻撃的に変化したノームの群れ。少年少女を積極的に誘拐し、詳細不明のルートで売り捌いていたのだが、黒幕であるデーモンの意図は謎。
残飯組:巨磐の一族に滅ぼされたノームの群れから、戦利品として略奪された子ども達。変異型ノーム達にとっての侮蔑の対象であり、労働や繁殖の道具、不満の捌け口として使い潰されている。
散空筒:魔導筒の一種で坑道内での使用を想定したもの。筒口が複数並んでおり、そこから一斉に圧搾空気を放つ、面制圧兵器。弾丸の装填の代わりに、前部下側にあるハンドグリップによってポンプを動かし、空気を供給する必要がある。有効射程は短い。
地球で言えばショットガンが一番近いか。
“削巌匙”:威力が高いシャベルまたはスコップ。切っ先付近から圧搾空気を噴射する機構を持った魔導具であり、掘削作業用に改造されたエア型武具とも言える。
噴杭筒:魔導筒の一種で、ぶっちゃけると威力が高いネイルガン。圧搾空気で杭型弾頭を撃ち出すもので、筒自体をコンパクトにする為に、弾頭生成能力は無く、長い弾帯とセットで運用される。半自動方式で連射性に優れる。
掘鑿包:魔導石で作った爆弾。粉末状にされることで、マナ供給に激しく反応するようになる魔導石の性質を利用し、高熱による掘削と二段階反応によって爆発を起こす。
その威力は凄まじく、「なら魔導筒にセットする魔導石も粉にしちゃえば?」となりそうなところだが、一回で全て使い切るコスパの悪さと、高確率で暴発する制御の困難さも一緒についてくるので、そう簡単な話でもない。
恐威の征閾デーモン・ロード:神格の1体にして、唯一知性体とのコミュニケーションが可能とされる存在。恐怖を操ることと生体改造技術の高さを特徴とする。
その恩寵を授けた“デーモン”と呼ばれる信奉者達を使い、人の社会に混沌をもたらす、ということを、歴史上何度も起こしている。
デーモン:デーモン・ロードが使役する末節。元は普通の生命体だった彼らは、魔導的技術で改造され、更に恐怖心を糧とする能力をも付与されている。他の神格の末節とは異なり、知性体であることが多い、という特徴を持つ。
罪餐:デーモンに授けられるロードの恩寵。相手に恐怖を抱かせ、その感情が起こすマナの励起エネルギーを、自身のリソースとして活用。各種能力の効力が高まるだけでなく、使い手そのものや、それが繰り出す攻撃を、不可視のものとしてしまう。
潜罪威式:カクォールが使うユニーク。敵のマナを侵蝕し、魂と接続。制御を完全に奪い、思考や記憶を読み取る能力。罪餐との相性が良く、ほとんど全ての相手に対して無敵。
嬉殖万面:土壇場でヘルブラに目覚めたユニーク。ノームが発する音波を利用して、ポプラーの各種魔導能力を強化するだけでなく、胞子を飛ばすことによる繁茂の促進やその形の制御すら、遠隔で行うことができる。




