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お前と俺とサバイバル

「元は、ただの土くれだよ」と、お前は自分自身を語る。そこに奢りや衒いはない。だが、ただの土くれが美しく生まれ変わったのだという自負心は見え隠れしていた。女を一番美しく見せるのは燃え盛る炎だと誰かが言っていたが女以外でも、そのようだ。高熱の炎が、お前を美しく変えた。それは認めよう。

 俺も負けていられない。

「元は田んぼの小さな米粒だ。米の粒が麹と出会い良い水の中で発酵して生まれたのが俺だ」

 事実は事実、嘘偽りのない真実だけを、俺は口にした。

「澄み切った俺を見てくれ。透明感たっぷりな、俺を見てくれ。そして、味わってくれ。酔い痴れてくれ」

 器に盛られたサバが最後に言った。

「皿も酒も、このサバには、かなわんさ。さあ、最高の味のサバを食いなよ、食いつきなよ! この世でサバくらい旨いものはないんだからよ!」

 そんな妄想を切り上げて、私は晩酌に取り掛かった。美しい食器を目で楽しみ、清酒を口に含み感嘆の吐息を漏らしてから、活け造りのサバを一切れ箸でつまみ、食べてみる。柔らかなサバが舌の上で蕩け、極上の味が広がっていく。私は一人、頷いた。妄想の中でサバが言ったことは正しい。威張るだけのことはある。

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