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15.4話(番外編04):赤髪の交流

ある日の昼休みであった。

ケンがアトリルームに連行されて昼食を摂っている時、ひとりの男が立ち上がる。


西島鈴真(にしじま すずま)だ。


鈴真はアトリの幼馴染であり用心棒だが、ケン相手なら大丈夫だろう、という判断でアトリルームを出て校内をふらついた。


目的地は…屋上だ。


屋上では、昼食を摂ることができるが、ほとんど生徒が居ない。

屋上に続く階段では、巨大な男が下ってきたが、言葉を交わすことなく鈴真は階段を上る。


先程の巨大な男は、おそらくテニス部の部長だろう。鈴真にはあまり認識がなかったが、あまりの背の高さで見覚えがあった。


屋上への扉を開くと、ベンチに女の子が3人座ってお弁当を広げている。


(おお、デカパイちゃんだ)



鈴真の目に留まったのは、制服の上からでもわかる大きな胸。そう、華蓮だった。華蓮の隣には、黒髪の佐々木ユイが座っている。

そして、真ん中には…



「勇者発見…っと」


「え?」


鈴真はヒサオミの視界に入る場所でそう言うと、フフっと口を歪ませた。


ヒサオミが勇者だということを知らないユイだけが「何の話なのかな?」と疑問に思っていたが、華蓮が話題を逸らして別の話をする。


呼ばれた気がしたヒサオミは、ベンチから立って鈴真に近付いた。





華蓮とユイが座るベンチとは、少し離れた場所のベンチに鈴真とヒサオミが腰掛けた。

鈴真はヒサオミの肩に手を回そうとしたが、ヒサオミが神速で払い除け、距離を取る。


「ヒサオミちゃん、俺のことわかる?」


鈴真がニヤニヤと話しかけるが、ヒサオミは警戒する。


「…アトリ様のそばに居た男性、ですよね」


「そーそ。俺、西島鈴真(にしじま すずま)。3年。鈴真でいいぜ。仲良くしようぜ勇者さんよ」


鈴真は右手を差し出し、握手を求めるが……ヒサオミはやはり抵抗した。



「あの…あなたが何者かはわかりませんが……あまり勇者だということは言わないでいただけると…」


「そっか!悪いな。一応隠してるんだっけ。俺はお嬢から散々聞かされてるからさあ。あ、お嬢ってのはアトリのことな」


相変わらず、鈴真はヘラヘラしていた。

ヒサオミはある程度で華蓮たちの元に帰ろう、と思っていたのだが……鈴真が興味深い話題を切り出した。


「ヒサオミちゃんは赤髪。俺も赤髪。これってよ……どこか血筋が似通ってる証じゃないか?」


「…どういう意味ですか?」


ヒサオミの興味をこちらに向けられたことに、鈴真はまた笑う。



「日本人ってのは、基本的に黒髪か茶髪で生まれる。あ、銀髪と金髪もたまにいるな。五十嵐も銀髪だ。でもよ……赤髪で生まれるのって、ほぼいないんだよな」


「は、はあ…」



「勇者であるヒサオミちゃんは生まれながらの赤髪。俺もそう。なんか……運命感じないか?」


「感じません…」



ヒサオミが適当に流そうとするも、鈴真の話は続く。


「俺とヒサオミちゃんの血が繋がっているって言ったら……どうするよ」


「え…?!そ、そんなことはありえません。私の姉妹に男性はいませんから」


「ふぅん。ならよ、俺がヒサオミちゃんの子孫って言ったら信じる?」


「し、信じません!何より、私が誰も産んでいないからです!」


「ふぅん……でもよ、『そういうこともなくは無い』、だろ?」



鈴真が意味深に目配せすると、ヒサオミは一瞬躊躇った。この男は何が言いたいのかがわからない。



「もしも、ヒサオミちゃんがこっちに来るまでにすごい時間が経ってたら……そういうことも無くはない、よな?」


「なにを……仰りたいのか……わかりません…」


ヒサオミはとうとう、太い眉を若干釣り上げて鈴真を睨んだ。

冗談やデタラメで掻き回すのはやめろ、という合図だ。



「おいおい、そんな怒ったらかわいい顔が勿体ないぜ。口元ホクロも付いててめちゃくちゃ綺麗な顔なのによ」


鈴真が「やれやれ」と呆れ顔になった。

そこで、種明かしをしていく。


「ま、今の話は全部嘘だ。俺の髪は毎月染めてんだよ。だから下の毛は黒いし……って、よくねえな。昼飯時によ!はっはっは!」


「………」


無表情に近い、怖い顔になっていくヒサオミ。


ヒサオミの機嫌をこれ以上損ねたくないと思った鈴真は、話題を切り替えるフェーズに移行した。



「それはそうとよ、ケンとはうまくやっ……ヤッてんのか?」


鈴真は左手の人差し指と親指で輪っかを作り、右手の人差し指でその輪っかを貫いた。

その動きを見て、ヒサオミは少し引いてしまう。


「し、していません!ケン様は……あなたのような軽い男性ではありません!」


ヒサオミが必死に反論するも、鈴真のニヤニヤは止まらない。


「ほーう。『まだ』なんだな。じゃあよ、俺と『先にヤっとく』?」


「……は?」


ヒサオミは目が点になった。


「経験あった方が童貞には楽だろうし……てか、その乳だと男が萎えるかもだしな。テクさえあればなんとかなるぜ」



鈴真はニヤニヤ顔のまま、ヒサオミの胸元を見て話した。ふんわりと、なだらかに膨らんだ胸元。真っ平らではないものの、平均より遥かに小ぶりな丘であった。


ヒサオミは思わず胸元を隠し、更に眉を釣り上げた。


「んー、お嬢の乳で見慣れてるからわかるけど、その大きさならC……いや、Bだろ」


「なっ……えっ!?」


胸元を隠しているのに、バストサイズを当てられたヒサオミは驚きを隠せない。



「Bか……Bはなあ……よくねえなー。もうワンサイズ、いや、かなーり育たないと男は勃たねーなー」


鈴真がそう言うと、目線を別の場所に向けた。ヒサオミが目線を追ってみると…そこには、華蓮がいた。


華蓮は本当に胸が大きく、どの女子と並んでも絶対に大きく見える。バストサイズを自ら明かさないが、一般的なランジェリーショップに並ばないレベルの大きさである。


「あのデカパイちゃんぐらいは無理でも、Eぐらいにはならねーと、興奮しねーな。うん。女はEカップから!」


うんうんと鈴真は勝手に頷いて、席を立ち、ふらふらと屋上から去っていった。


「も、もう話しかけないでください!!!」


普段大きな声を出して怒らないヒサオミが、去り際の鈴真に怒鳴った。



(最低でもEだなんて……そんな……そんなの……)



ヒサオミが自分の胸を上下に撫で、存在する膨らみを確認した。



「ヒサオミちゃん大丈夫!?」


鈴真が去ったあと、華蓮とユイがこちらに駆けつけた。珍しくヒサオミが感情をあらわにして怒っていたので、2人とも心配していたのだ。



「おふたりとも……実は……」



ヒサオミは華蓮とユイに、ある程度ぼかしつつ、鈴真からセクハラを受けたことを報告した…。



15.4話(番外編04):赤髪の交流

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