学園生活編 ⑤
目の前まで迫ったゴーレムの剛腕。だったら
「クニ・ターゲコ!」
僕は魔法発動と同時に大きく後ろに飛び退く。衝撃を吸収する目的もあったが1番の目的は
「ガァァァァァ!」
僕のいた場所をその立派な両腕で押し潰そうとしたゴーレムはその両腕に炎を纏っていた。僕の自慢のカウンター魔法。この隙を逃す訳には行かない!
「ザピ・ターリゲルマ!」
僕の持ってる中では最大威力・・・これでダメなら・・・
しかし爆炎の中から現れたのは無傷のゴーレムだった
「クソッ! これでもダメか!なにか手段は・・・」
「フハハ! 君ではやはり私の生み出したゴーレムには勝てないか! どうする? 辞退するか?」
「しません! もう少しやらせてください!」
何かあるはずだ・・・ゴーレムは魔石を破壊すると活動を停止するはず。それなのにアイツは魔石が壊れても復活する。そもそも魔石が復活するなんてこと有り得るのか? もしかしてあの複数の魔石はダミー? 本来の魔石がどこかにあるはず・・・
「マンレーカー!」
とにかく近付かれたらマズイ。炎と煙で誤魔化しつつあいつの本物の魔石を探さないと
「君は十分に頑張ったと思うよ。それは評価しよう。しかし君にはまだこいつは早かったみたいだね・・・やれ! ストレンジゴーレム!」
その瞬間ゴーレムの胸の部分が開き真っ赤な光を放つ
やっと見つけた・・・本物の魔石。 あれは本物だ! 間違いない! でもあの攻撃は受けたらマズイな。多分あれ広範囲系だよね? カウンターも無理、回避は絶対に無理。防御かぁ、苦手なんだけどしゃあないわな!
ゴーレムの光がより強くなりゴーレム自体の形も変わって砲台のようになる。
「ストレンジゴーレム! やれ! 光属性魔法ノイゴス!」
光が収束していく。
「ハゴ・リクミコキタン!」
その直後爆発的な光を放ちゴーレムから一直線に光線が放たれた。放射状に広がりつつ真っ直ぐ突っ込んでくる。僕の貼った防御結界に触れる寸前再度光が収束してきた。ちょっとまずいかもしれない。貫通特化型にされると僕の結界じゃ数秒も持たない可能性すらある。でも負ける訳には行かないんだ!
直後シエルの貼った防御結界にストレンジゴーレムの魔法が着弾。シエルの予想通り防御結界は3秒と持たずに消滅した。
「やはりシエルくん・・・君でも耐えられなかったか」
「先生・・・まだ・・・終わってないですよ!」
「何っ!?」
ゴーレムはまだ形態変化したまま!今ならあの剛腕での防御はできない!広範囲の殲滅魔法じゃあいつは倒せない! でも僕の貫通力特化のこの魔法なら!
「フイナクーフ!」
2本の白い光が僕の手元から放たれる。1本目が確実にゴーレムの魔石部分を捉えたがやはり貫通が足りない。でもそれは想定済み! 2本目も全く同じ場所に着弾する!
「なっ! 君は何をッ!?」
ゴーレムの外部の岩石が砕け散る。2本目はそのまま勢いを落とさずゴーレムの魔石に到達する。先端が魔石に届いた瞬間、魔石に大きくヒビが入り砕け散った。
「まさか・・・私のストレンジゴーレムが・・・やられた? それになんだあの魔法の精度・・・シエル君、君は一体何者なんだ」
「何者って・・・ただのエリグス魔道学院の1年生ですよ?」
「その魔法は何処で・・・」
「兄様が教えてくれました。トリグス兄様です」
「・・・なるほどね。ハァーハッハッハ! そうか! 君はあのトリグスの弟だったんだな。その強さも納得だ。全く兄弟揃って化け物とは恐れ入る。素晴らしいよ」
「ありがとうございます先生」
こうして僕は魔法試験に合格した。教室に戻ると既にほかの4人も戻ってきていた。
「おっ! シエルくんおかえり! シエルくんなら心配無いだろうけどどうだった?」
「もちろん、合格だよ!」
「流石だね!シエルくん!」
「まぁ私たちに勉強を教えてくれていた先生だからね! 当然よね!」
「そんなことないよ」
それで・・・
「あの〜マルキスは?」
「えっと・・・」
「その〜」
教室の扉が開かれる。かなり強く
「シエル〜! 一緒に補習受けてくれるんだよね! ね!?」
「えっ? 嫌だけど」
「なんでよォ〜!」
マルキスだけは不合格だったみたいだね・・・何となく察してたけどさ
「ナスメアぁ! アルス〜! 君たちは残ってくれるよね!」
「えっ?ヤダよ?」
「嫌に決まってるじゃない」
「そんなぁ! みんな薄情すぎないかい!?」
「冗談だよ。少なくとも僕は残ってやるよマルキス」
「まぁシエルが残るって言うなら私も残ってあげるわ」
「シエルくんを残して先に帰るのは出来ないよね」
「みんなぁ!」
「「お前の為じゃないから」」
「みんなぁぁ」
その後マルキスは必死に勉強して補習後一発目の再試験で無事合格したと報告を受けるのはそう遠くない話だった
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