学園生活編 ①
「イガギス先生。彼どう見ますか?」
「正直パッと見はなんでもない平凡な学生だよ彼は」
「しかし先生のオーガを撃退したと」
「撃退じゃないよ。そのまま倒されたんだ。撃破だよ。未だに信じられないよ。今回の試験はある程度人数を絞ったら後はいつも通りの試験をするつもりだったさ」
「なぜ今回突然・・・」
「彼、シエルくんはあのトリグスくんの弟だ」
「トリグスのですか」
「あぁ。とはいえトリグスくんのようにずば抜けた才能がある訳ではなさそうだね。彼の魔法は良くも悪くも平凡だよ。それにあの魔法、恐らく彼のお兄さんから伝授してもらったんだろうね。」
「しかし彼は魔法陣を展開していなかったと」
「恐らくどこかに隠してあったのだろう。手袋か靴底にでも。それであるならばその発想は見事だと褒めるべきだろうがね」
「確かに魔法陣を隠しておけば敵の前で展開する必要も無い。それに詠唱と比較するならば圧倒的に短時間で発動が可能」
「その通りだよ。でももし仮に万が一彼が魔法陣も事前詠唱もしていないのだとしたら・・・」
「したら?」
「彼は恐ろしい才能を持っていることになるよ。それこそ歴史上類を見ないレベルの」
「そうですか・・・楽しみですねイガギス先生」
〜〜〜〜〜〜
僕のクラスはっと、ここか。1Aって書いてあるし間違いないね!第一印象は結構大事だろうし元気よく
「おはよう!」
って何この空気・・・えっ?なんかお通夜みたいな空気なんだけど?すっごい空気読めないやつみたいじゃん?・・・えっ?違うよね?
「君、あのブルフリートさんに喧嘩を売ったんだって?」
語弊のあるつたわり方してない?僕喧嘩売られた側なんだけど?
「僕は喧嘩なんて売ってないよ?」
「さっきブルフリートさんすごい剣幕でこの教室に来てたんだよ!ブルフリートさんに喧嘩を売った青貴族って君のことでしょう!?」
「いやだから僕は」
「なんてことをしてくれたんだぁ!君のせいでこのクラスはブルフリートさんに目をつけられたんだぞ!どうしてくれるんだ!」
「そんなこと言われても」
「あぁ!僕の平穏な学生生活がぁ!君のせいだぞ!責任取ってくれるよな!」
「だから喧嘩を売ったのは僕じゃないよ!」
「いい加減にしなよマルキス。彼やってないって言ってるじゃないの」
「ナスメア!でもこのクラスで青貴族って言ったらこいつか僕たちしか居ないじゃないか!」
「僕も彼はやってないと思うよ。僕彼と試験場で一緒にいたけどそんなに悪いやつじゃないと思うし」
「アルスまで!じゃあ君たちがやったのかい?そうなのかい?」
「だから一旦落ち着きなってマルキス」
なんか僕の知らないところで大変なことになってるみたいだね・・・喧嘩売られたの僕なんだけどさ
「ごめんねシエルくん。そして久しぶりだね」
「あぁ。うん久しぶり。アルスくん」
「あの試験の日以来ね。シエルって言うんだ。私はナスメア!よろしくね!」
「よろしく、ナスメアさん。あの時は防御魔法ありがとうね。助かったよ」
「気にしなくていいわ!」
「君達!そんなに呑気にしている場合じゃないよ!ブルフリートさんだよ!?紫貴族のブルフリートさんに喧嘩を売ったなんてぇ・・・あぁどうしよう」
「それで何がどうなってこうなってるんだ?僕はさっきそのブルフリートだかっていう貴族に因縁つけられて魔法を撃たれたから防御しただけなんだが」
本当にそれしかしてないし・・・あいつあんなに僕の事見下した態度をとってたくせに喧嘩を売られたって吹聴して回ってたのかよ・・・暇だな
「いやブルフリートさん別に喧嘩を売られたって言ってたわけじゃないだろ」
おっと?雲行きが怪しくなってきたぞ
「でも!ブルフリートさんがあんな剣幕でこの教室に来て青色の奴はって叫んでたじゃん」
「だから私たちじゃないって言ったら帰って行ったでしょ。そもそも叫んでもいないし」
なるほど。このマルキスだかってやつが勝手に勘違いして騒いでるだけか
「だから一旦落ち着こうね?マルキスくん」
「あぁ。ブルフリートさんに楯突いて・・・もう僕はこの学園で平穏な生活は送れないんだろうなぁ」
なんかこいつ腹立つな。僕はやってないっての
「おい。青色はこの教室だと聞いたぞ。今いるか?」
「あぁぁぁブルフリート様!コイツです!どうぞご自由に連れていってください!」
何なのコイツ。失礼すぎない?人売るの早くない?
「ちょっとこっちに来いお前」
嫌だって言いたいけどさすがにそこは空気を読んでおこうか
「分かりましたよ」
トリグス兄様。僕は入学早々2回も紫貴族様に絡まれております。これが学生生活っていうものなのでしょうか?兄様。あとあのマルキスだかって言うやつ、後で覚えておけよ。
初投稿作品です。もしもまた見てもいいよって方いらっしゃいましたらブクマ、評価よろしくお願いします。作者のモチベが上がります