王都混乱編 正義の中の悪
「国王様! 大変なことが……」
「どうしたんだ! 何が起きた!」
「第1王子様が……勇者と共に」
「まさかっ!」
「反乱を起こしました……」
「そんな……そんな馬鹿な……」
第1王子、ポエリスト・ノリタス・アズベルダ。次期国王として期待されていた。しかし、その王子が勇者と手を組み国王を相手に革命を起こした。
「勇者率いる反乱軍は革命軍を名乗り、王国の対応に納得がいっていない国民を集めております……既に数は数万に及ぶかと」
「……今動ける騎士の数は?」
「聖騎士が……三個部隊、60名と王国騎士が六個部隊、120名です」
「なぜ騎士の数がそんなに少ないのだ」
「既に多くの騎士が魔族との戦闘によって負傷、殉職しております……」
「一般の兵の数は?」
「まだ把握しきれておりません……なにしろ革命軍へと寝返ったものも多く……」
最悪である。自国の信頼出来る兵士の数が把握できなくなってしまった以上、迂闊に戦闘をさせることは出来ない。後ろから味方に刺される可能性が出てくるからだ。但し、このまま兵を動かさなければ今は無事な兵も、騎士達も犠牲となる。聖騎士が一騎当千と言えど、万を超える雑兵には勝てない。それが数の暴力である。魔大国が内戦を始めたと同時に王国も内部分裂を起こしてしまったのである。
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「者共! よく聞け! これより我らは王国に対し宣戦を布告する! 敵は聖騎士を含む騎士団だ! 我らがどれだけ奮戦しようと、1人の聖騎士を殺すことさえ難しいだろう! だが! 我らには王子様が付いている! そして勇者様もだ! もう我らが負ける道理はない! 敵を討ち、この狂った王国を直すのだ! 魔族は敵だ! 我らに牙向く邪悪な存在なのだ! 勇者様! 王子様! いや……ポエリスト国王様万歳!」
「「「万歳! 万歳!」」」
「勇者様! 皆の者に向かって一言お願いします!」
「えー、ご紹介にあずかりました勇者、ミラゲルです。今回、王国は魔族の襲撃を受けた。少なくない国民が犠牲となり、また多くの者が住む場所、生活を奪われたのだッ! それなのに国王は未だ、魔族との和平を望んでいると聞く! 許せるだろうか!?」
「「「許せない! 許さない! 許してはならない!」」」
「そうだ! あの愚王は我ら国民の生活など考えていない! 国民よりも魔族との和平を望んでいるのだ! そのような愚行、到底許されるべきでは無いッ!」
「「「そうだ! 許すな! 許されるべきでは無い!」」」
(チョロイなぁ……国民ってなぁんでこんなにチョロイんだろうか……クックック! 少し扇動してやればあとは勝手に暴徒と化す。あとは名前の知れている者をリーダーに仕立てあげればあとは勝手に暴力の化身と化すのさ! 国王を玉座から引きずり下ろしたなら、あとは魔族を滅ぼすだけ……あの憎きアイツは最後の最後に王国民の目の前で最悪の苦しみを感じながら朽ちていく様子を晒してやる……俺はアイツを……あの狂った魔族を許さない! アイツのせいで俺は1度全てを失ったのだから!)
「そして! 今回我らの考えに賛同の意を示していただいた……ポエリスト王子! 我らが王国の次期国王様となるお方だ!」
「皆さん……今回の件、父が誠意を持って対応しなければならなかったところ、魔族などにうつつを抜かし、本来守るべき相手を見失い、国民の皆様を酷く傷つけたことを父、エルガルドに変わって謝罪します……本当にすみませんでした! 私は酷く傷つき、父に抗議を行いましたが、父は私の事も見ていてくれませんでした。そんな時! 勇者様にお声をかけていただいたのです! 父を、エルガルド国王を共に倒し、より良い未来を作ろうと! そしてそのために、私は次期国王として、皆様の前で指揮を執るべきと考えここに居ます! 王国民の皆様! 私と共に戦ってください!」
「「「おぉぉぉぉー! ポエリスト様! 万歳!」」」
「さぁ! 国民の皆様! 準備は整いました! 勇者様と共に……あの狂った王国を作り上げた父を……打ち倒しましょう!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉー!!!」」」
それから3日後、王城は戦場へと変わった。
1日ぶりです。なんだか1日投稿してなかっただけのはずなのですが長い間投稿してなかったような気がしてます笑
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