表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/41

学園生活夏休み編 魔鬼襲撃


 魔鬼。オーガの特殊変異個体。オーガとは普通その圧倒的なパワーで相手を破壊する戦いを好む。しかし稀に特殊な変異を起こす個体が生まれるのだが、その変異先も多岐にわたる。パワーを純粋に強化した闘鬼や妖術を扱う妖鬼、剣術を扱う剣鬼等本当に多岐に渡るのだが……魔鬼は歴戦の個体になれば魔神鬼とも呼ばれる特級の魔物に分類される非常に危険な魔物だ。それが王都の外壁を破壊して立っていた。この場所までバレずに魔鬼が来ることは不可能なはずだ。それこそ魔物の縄張りに最も近い地域にいるのは父様だ。父様が魔物発生の知らせを出していない以上この場に魔鬼が居るのはおかしな話なのだ。だが実際魔鬼はそこにいる。


 「皆様! 王城へ避難してください! 避難の受け入れ準備が整いました! 今すぐ避難を開始してください!」


 直ぐに王城の受け入れ態勢が完了したらしい


 「シエル! 僕たちも早く行こう!」

 「そうだな!」


〜〜〜〜〜〜


 王城前には人だかりが出来ていて何やら揉めているらしい。聞けば王城の受け入れ可能人数を大幅に上回る人が殺到しているらしい。それもそうだろう。なんたって今日は王国祭最終日、最も人が集まる日なのだから。そんな日に狙ったかのように現れた魔鬼、何かがおかしい。


 「マルキス、ナスメア! 学校へ行こう! 学校もそれなりに広いし避難場所にもなっているはずだ!」

 「わかったわ!」

 「わかった!」


〜〜〜〜〜〜


 案の定学校も避難場所として解放されていた。王城よりは少ないもののこちらも人で溢れかえっていた。


 「ダメだ。今日は別の国からも貴族が来ていたんだ……そっちの受け入れが優先だと」

 「何よそれ! 他国の貴族を優先して自国の民を後回しにするの!?」

 「仕方ないよナスメア……他の国へ招待状を出しているのは王国だから……」


 マルキスの言う通りだ。今日は他の国にも王国が正式に招待状を出している。だからこそ他国貴族は最も保護しなくてはならない人員となっているのだ。ただ、こうして揉めている間にも魔鬼はどんどん中心に向かって近付いてきていた


 「でっ! でも! 王国騎士とか聖騎士も出るのよね? それならあの魔物だって」

 「分からないよナスメア。あれは普通じゃない。僕の父様の居る領地を父様に勘づかれずに超えて王都に直接現れたんだ。何らかの干渉を受けている可能性が高い」

 「でも魔族は人間と和解して今は共に生活しているじゃない!」


 そう。だからこそ今の魔王が人間に攻撃するとは考え難いのだ。でも実際攻められている。人間の国家が攻めてきている可能性もあるが、あのレベルの魔物を使役することができるとなれば恐らくは……


 「魔族側に現状を良しとしない陣営が生まれた可能性がある。というかこの仮定は恐らく……」

 「仮定じゃないと。それぐらいは僕でもわかるよ」


 確定したわけじゃない。だけどもマルキスの言う通りきっと事実だ。何が目的かは分からないが、魔族側に人間との共存を良しとしない集団が生まれたことは事実だろう


 「どうしたらいいのよ……」

 「僕たちにはどうすることも出来ないよ」

 「そうだね……僕たち学生に出来ることなんて」


 とりあえず僕たちは学校に避難することは出来た。王城や他の避難場所との連絡が取れて他国の貴族は全員保護できた為順次王国民も避難を許されたのだ


 「聖騎士が出るみたいだね」

 「つまり王国騎士だけじゃ対処が困難だと判断されたって言うことだ……」

 「えっ? 王国騎士だって強いのよね?」

 「うん。間違いなくトップクラスの戦闘力を持っているよ。通常の騎士の中でもより優れた騎士が王国騎士になれるからね」


 だからこそ相当マズイ。確かに聖騎士なら勝てるとは思う。思うけど聖騎士を出すってことは王国を攻めるにはこの程度の戦力で大丈夫だと言っているようなものだ。つまり、今後また似たような方法で責められる可能性が高くなる。それもより質と数を増やして。


 「誰か! 回復魔法を使える人はいないか!? 重症を負った王国騎士が居るんだ!」


 重症どころじゃないじゃないか……四肢欠損までしてると流石に余程の魔法使いじゃないと回復は厳しい。止血すらまともに出来ない可能性がある。


 「誰かッ! クソッ! ここもダメか」

 「ちょっと待ってくれ。どこまで出来るか分からないが魔法には自信がある」

 「君は……魔導学院の生徒か! 頼む! 助けてやってくれ!」

 「できるだけのことはしてみます」


 兄様!? 兄様もここに避難していたのか!


 「これは酷いですね……ジンニ・イラウコ」


 兄様が魔法を唱えた瞬間欠損していた腕が生えてきて傷口が塞がっていく


 「おぉ……」


 周りの人もみんな声を発することなく兄様を見ていた。流石は兄様! すごい人だ


 「これで大丈夫でしょう。あとはしばらく安静にしておいて下さい」

 「ありがとう、ありがとう! 本当に助かったよ」

 「いえ、僕にできることをしたまでですから」


 場の空気は一気に盛り上がった。しかしそれどころでは無い。窓の外では既に王国内で魔鬼と聖騎士の戦闘が始まっていた。ただ、魔鬼は聖騎士との戦闘でどんどん強くなっている……聖騎士の動きを読み反撃し少しずつではあるが聖騎士にダメージを入れていった。おそらく既に相当な戦闘をこなしている歴戦の個体になりつつあるのだろう。魔神鬼になってしまったら最後勇者クラスの冒険者でもないと太刀打ちができなくなってしまうだろう。何か打開策は……


 「ん? シエル! 無事だったか!」


 えっ!?


 「王国祭に来ているって話は聞いていたのだが……心配したぞ! 無事でよかった」

 「ありがとうございます兄様。兄様こそ無事でよかったです」

 「まぁ僕は自分の身は守れるからね。それよりもあの魔鬼をどうにかしないと……聖騎士ですら苦戦するなんてねぇ?」

 「えぇ。正直、銀以上の冒険者を数パーティー用意してやっとって感じですね」

 「ふむ……僕の魔法でダメージを与えられるかもしれないな」


 この人は何言ってんだぁ!? ただでさえ魔法耐性も上がってる魔鬼相手に魔法でぶつかりに行く気か!?


 「ちょっと待ってください!? いくら兄様が強力な魔法も使えるからと言って」

 「良いじゃないか! シエル! せっかくの機会だ! 試してみないともったいないじゃないか!」


 あっダメだ……人の話聞かないモードになってる


 「そうだ! シエルも手伝ってくれ! 僕とシエルなら勝てるかもしれないぞ!」

 「えっ!?」

 「それじゃあ! 行こうか! 屋上へ!」

 「えっ!? えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

今回も少し投稿感覚が空いてしまってすみませんッ! しかしやっと大きく物語が動き始めます。今後の展開をお楽しみください! 皆様のブクマ、高評価が励みになっております! 是非よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ