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学園生活夏休み編⑩


 「さぁて! そろそろ花火が上がる時間だと思うんだけど……見えやすいところどこかあったかなぁ」

 「うーん。僕はそこまでこの辺の地理に詳しくないし、アルくんはなんか知ってる?」

 「えっ!? 僕もあんまり知らないなぁ。ナスメアさんは?」

 「私はあだ名で呼んでくれないのね」

 「あっごめん」

 「まぁいいわ。多分王宮の上で花火が開くようになると思うから……あそこの山とかは?」

 「あー、あそこはダメなんだよね。一応王国の所有物ってことで立ち入りが禁止されちゃってる」

 「そんなのか」

 「ちょっと初動出遅れちゃったからほとんどの場所に人集まっちゃってるだろうしなぁ」


 そう。今僕たちは初日の花火を見れる場所を取ることをすっかり忘れて遊び呆けてた。そのせいで今何とか綺麗に見えるところがないかを探していたところなんだけど


 「まぁ最悪広場でも見えなくは無いし? それでもいいんじゃないか?」

 「それじゃダメなんだよぉ! シーくん! いいか!? 王国祭は花火を見るためだけに来る人もいるんだ! 分かるかい!?」

 「おっおう。そんなに熱心に語らなくても」

 「君がッ! シーくんが広場でもいいって言うからだよ!」

 「まぁまぁ。場所がなかったらって話しさ」

 「それもそうだが……本当にどこにも無いんだよねぇ。毎年のことだから知ってる人は早いうちに場所取りしちゃってるし……ここの花火は妥協して見ていいものじゃないんだよ……」

 「私も出来ることなら綺麗な花火を見たいわね……でも場所が無いんじゃしょうがないわよ」

 「うーん」


 いやぁ実は解決策があるんだよね! でももう少しこのやり取り見ていたいなぁって。なんて言うか他の人が困ってる時に解決方法を知ってると優越感に浸れるというか! 学校とかで当てられた人が答えられない問題を自分がわかってる時の感覚!? たまんねぇなぁ! ハーハッハッハ!!!


 「さっきからシエルくんずっとニコニコしてるけど何か解決案があるんじゃないか?」


 おーっとぉ!? アルスのヤツめ! 勘が鋭い!


 「フッフッフ……バレてしまってはぁ仕方ない! 取っておきを見せてやろうじゃないか!」


 そう! 僕には解決策がある! そもそも花火を見るためになんでわざわざ下から眺めなくちゃならんのだ! 堂々と空を飛んで建物にも人にも遮られないところから見ることが出来るのであればそれが一番綺麗に迫力ある景色を見れるはずなのさ!


 「さぁ! 皆! この土台の上に乗りたまえ!」

 「なんか凄いテンション上がってるねぇシーくん」

 「おうともよ! 最近派手に魔法を使う機会がなかったからね! 盛大にやってやる!」

 「ねぇナスメア。なんだかすごく嫌な予感がするんだけど」

 「奇遇ねマルキス。私もよ」


 なんかすごく失礼なこと言われてる気がするんだけども……まぁいいや! 今の僕は非常に気分がいいからね


 「よぉし! みんなに取っておきの場所で絶景を見せてやる! 絶対に手を離すなよ!」

 「ちょっとシエルくん? あんまり派手に……」

 「そぉれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 「「「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」


〜〜〜〜〜〜


 「シエル……アンタちょっとやりすぎよ!」

 「そうだよシーくん!」

 「……」

 「おいおいお前ら。感謝されども文句を言われる筋合いは無いはずだぞ? 絶景見せてやったんだから」

 「ごめんシエル……あれは絶景じゃない。絶叫よ」

 「え?」

 「シーくん……今後なにかしらやらかす時は一言言ってね?」

 「おい。やらかすとはなんだ」

 「シエルくん。自覚無しなのか」


 なんかあんまり喜ばれてなかったっぽい? ちょっとショックかも


 「まぁでも綺麗ではあったわね」

 「そうだねぇ。初めて花火を横から見るっていう経験はできたしね」

 「そうだね……最初から言ってくれてればもっと楽しく見れたかもしれないけどね」

 「それは済まなかったよ。次があったら先に言うから」

 「「「ほんと頼むよ!(わよ!)」」」


 そんなこんなで1日目の王国祭が終わった。部屋に戻ってきてすぐ僕はベットにダイブしてそのまま意識が遠くなっていった……

やぁっと一日目が終わりました・・・長い!当初の予定よりも大幅に長くなっている! ですがもう少しだけお付き合い下さい。皆様のブクマ、評価が励みになっております! 是非ブクマと評価の方よろしくお願いします!

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