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学園生活魔体祭編 ⑤


 僕たちはあっさり負けた。トリグス兄様は強過ぎた。僕の魔法を陣ごと破壊した後、防御を張る暇もなく広域殲滅魔法を発動されて為す術なく全員退場だった。僕が使った魔法よりも強力な魔法を僕よりも少ない魔力量で僕よりも素早く展開してきた。全ての面において僕よりも圧倒的だった。何をしても勝てないと、そう思う程強かった。


 「今年の優勝も3年S組! この快進撃はいつまで続くのでしょうか!」


 兄様のクラスが優勝した。誰もが予想していた通りに。僕は兄様に勝てなかった。努力はしてきた。兄様を超えるために。でも勝てなかったんだ。僕の魔法は兄様に及ばない。剣術ではきっとフリーク兄様に勝てない。僕は……誰にも勝てないんだろう……


 「凄かったねシエルくんのお兄様。僕何も出来なかったよ」

 「そうね……勝てなかったわ」

 「ごめん、皆。僕の力不足だ」

 「なぁに言ってるんだシエル! 僕たちだって充分頑張ったじゃないか! 1年生も2年生も倒したんだぞ! シエルがいなかったら絶対勝てなかったって!」

 「マルキス……」

 「そりゃ負けたかもしれない! でもそれは3年生! 力の差を考えれば仕方の無いこととも言えるんじゃないか! それに僕たちはシエルに頼りっぱなしだった。結局シエルの魔法がなければ僕達はここまで勝ち進めなかったじゃないか!」

 「マルキス、お前の魔法も充分……」

 「いいや! 僕なんかはまだ展開速度も遅いし魔力量もそんなに多くは無いんだ。シエルの火力頼りなんだよ! そんなのチーム戦じゃ無いじゃないか! 僕たちはチームだったんだから」

 「マルキスくん……」

 「来年だ! 来年こそ必ず勝つぞ! それまでに僕は強くなるよ! だからさシエル、そんなくらい顔しないでくれよ?」

 「いや別にそんな顔」

 「してたわよ。相当」

 「そんなつもりは」

 「みんなが言うんだから間違いないよ? まぁ今回ばかりは僕達もシエルくんに頼りっぱなしだったのは事実だし、これからも練習頑張るからさ? シエルくんも僕たちに魔法、教えてくれるよね?」


 こいつら……ほんと良い奴だよな。僕の指示がもう少し的確だったらとか僕の魔法がもっと素早く展開出来たらとか、そう思われても仕方ないと思う。いやもしかしたらどこかでは思ってたのかもしれないけどさ? こうやって励ましてくれてるんだしほんとに良い友達を持てたと思うよ


 「もちろんだよ。次こそは負けないから!」


 こうして魔体祭は幕を閉じた。結果は残念だったが来年の目標が出来たし悪いことばかりではなかったと思う。改めてトリグス兄様の強さも確認できたしね。そしてこの後この学校はもう1つのイベントを控えている。貴族学園連合学園祭、通称貴学祭だ。各貴族学園が同時に開催し、生徒同士の交友を深める行事らしい。そしてその中でも目を引くイベントは魔道闘技祭。魔力、武力の力自慢だ。一対一で各学園最強を決める戦い。僕は今回は出るつもりは無いけれどもいつか出たいと思ってる。今年は多分トリグス兄様が出るだろうし今の僕では勝てないことがわかったからね。大人しく兄様の勇姿を目に焼きつけるとするよ。貴学祭は来年だからまだ先だけどね


 「シエル〜早くしないと魔道剣技の授業に遅れるわよ!」

 「今行く! ちょっと待って」

 「全く、ちゃんとしないとダメじゃないかシエル〜」

 「マルキスくんは僕たちが声をかけないといつも遅刻してるけどね……」

 「そんなことないし!?」


 相変わらず騒がしい奴らだ。っとほんとに急がないと間に合わなくなっちゃうな!

ブクマも5件になり、PVは1000を超え、いいねが15件!本当に感謝しかありません! 次回は少しシエルくんの世界についての解説を挟みたいと思います! 気が向いたらでよろしいのでブックマーク、評価の方是非!よろしくお願いします!

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