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17話 謎の視線?ー01

最後の一口をぐいと飲みきり、ことりとカップをテーブルにおくと、栞がふと思いついたような口調で、とんでもない事を言った。否、とんでもないというのは僕だけの事で、栞にとってはそれこそ何でもないことなのかもしれない。だって栞にとっては僕でさえ「知り合い」なのだ。そんな考え方の彼女にしてみれば僕が示す反応の方がおかしいのだろう、きっと。

「あーそうだ茉莉君。君、和田君とはもうあまり喋らない方がいいよ」

「な……………にを、言ってるんだ?栞?」

「何って、言葉の通りの意味だよ。だいたい君は馬鹿じゃないのか?湊渡君は別として、私たちは必要以上に誰かと関わる必要はないんだ」

「………ちょっと待ってくれ栞。そう待ってくれ。そうじゃないんだよ。僕が言いたいのは―――」

「分かっているよ」

ぴしゃりと、真剣な目と口調で栞が僕の言葉を遮った。

「分かっているさ、君の言いたい事くらい。君は何か最近勘違いしているようだけど、私だって鬼じゃないんだ。きちんと人間らしい感情も持っているよ、一応ね」

一応、と付け加えた時に、少し悲しそうに顔を伏せたのが僕の見間違いでなければいいのだが。それともやはりそれは、そうあって欲しいと願う僕の心が見せたものなのだろうか。

「でもそれでも、だ。履き違えてはいけない。私達の目的はあくまでも、湊渡君の【何かよく分からないもの】の捜索なんだ。和田君と水木君との間にある何かしらのわだかまりを解消する事ではないんだ」

「何を言ってるんだ?分からないよ、栞。わだかまり?何の事だよ。何でそれが話しちゃいけないなんて事になるんだよ!!」

「何をそこまで憤っているのか正直分からないが、当然だろう?人間ほどめんどくさい「物」はないんだ。わざわざその争いに首を突っ込むのは危険だよ。私たちは間違っても目立つ行動をしてはいけないんだ」

「違うよ!!それでもそれは違うよ栞!!」

「違わない。君は………君も本当は分かってるんだろう?あの水木君という奴はやっかいな事に、金とそれなりの権力を持っているんだ。そんな人間に敵対する行動を取るのは得策じゃないと、そう言ってるんだ、私は」

「だからと言って………」

「そういう所だよ、結局。学校でも少し言ったけど、君は必要のない人間まで助けようとする。たとえ和田君を誰にも気づかれないようにいじめから救う事が出来たとしよう。でもそれは何の解決にもならない。次の人間がいじめられるだけだし、その標的が私たちに向く確立はそれなりに高くなる。私達は転校生なんだ。そんな異物をあの水木君が見逃しておくとは思えない。それに彼はどうやら―――」

「?どうやら?」

「あー、いや、何でもない。どうでもいい事だ」

「………とにかく。和田君を救うのをどうでもいいと言ったのは取り消してくれ!!」

「はあ?妙な部分で絡んでくるね。まさかこんな短期間で、彼に好意を寄せているのかい?」

「そんな事関係ないだろ?」

「関係ない訳ないだろう?君はアレだな。本当に最近考える能力が低下したんじゃないか?湊渡君に何かされてないか、もう一度思い出してみるといい」

「何もされてないよ!!」

「あーもういいもういい。これ以上面倒事を増やさないでくれ。話を変えるよ。私の勘違いであって欲しいのだけれど。学校を探索している時にね、ずっと誰かに見られてるような気がしなかったかい?」

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