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3話 栞と水木ー01

何が嫌かというと。


私が何が嫌かというと。

それは簡単に答えが出る問題ではないような気がするが。

それでも私はこの水木という男が、どうも好きにはなれないようだった。


私に対するみえみえの下心が嫌なのではない。

初対面なのに、やたらなれなれしく話しかけて来るその態度がいやなのではない。

先生、それ以前に年上の相手に対して、少しばかりの敬語も使えないその軽薄さが嫌なのではない。

授業中にも関わらず、質問を止めようとしないその傲慢さが嫌なのではない。


きっと単純に馬が合わないのだろう。

だれしもそういう人間はいるものだ。それも結構な頻度で。人が百人居れば、その中に3人ほどは、何となく気が合わない人が居る。

だからこの男も、そういう人間の一人なのだろう。別段珍しくもない。

馬が合わない人間との付き合い方も、一通り心得ている。

相手が機嫌を損ねないように、相手が疑問に思わないほどに、適当に話を合わせていればいいのだから。


自分でもなかなかに出来のいいと思える笑顔を貼り付けたまま―――虚しい気分を終始抱えながらも、鏡の前で練習したかいがあったというものだ―――、私は水木の質問責めを適当にいなしていた。


それでも今私は困っていた。

私達は、あまり目立つ訳にはいかないからだ。

せっかく自己紹介を無難にこなし、茉莉君も私の説得のかいあってか、無駄にクラスメートに友達を求めようとしていないというのに。これでは何の意味もない。


この水木という人間の、私という人間への興味を消失させる上手い方法でもないものだろうか。

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