2章 井上高校 △1話 転校生ー01
主人公はあくまで茉莉と栞ですが、作品の進行をスムーズにするために、たまに視点が変わります。その時には、今回のように話数の前にマークをつけます。特に今回は、本作品のサブ主人公とも言える人間(前作でいう所の栞みたいな位置。どれくらい重要キャラになるかは未定ですが、栞と茉莉の学校での様子を、第三者の位置で見た場合のキャラです)なので、「△」にしました。
主人公(茉莉または栞)はマークなし、サブは△、それ以外は※でいきたいと思います。
それではよろしくお願いします。
今日も、一日が始まる。
行きたくもない学校に、それでも僕は行く。
行かなければならないのだ。
いつも通りに母親に挨拶し、靴を履き玄関を出る。
今日はくもりである。
もっとも、晴れていても曇っていても雨が降っても、それこそ槍が降っても、僕には関係ないのだ。
機械的に僕は学校に行く。どうしても行かなければならない。負けたくないのだ。
つまらないプライドかもしれないが、学校に行き続ける事が、僕の示す意地なのである。
どうせ今日も、いつもと何も変わらない。
退屈で下らない、何の変化もない一日だと思っていた。
「おい、お前ら静かにしろー、今日はホームルームの前に、発表がある」
一日がいつもと違う様相を見せ始めたのは、担任のこの言葉だった。
朝からどこかダルそうな担任が、頭を掻きながら続ける。
「あー、先生も急すぎてまだよく分からないんだが、今日このクラスに転校生が二人くるらしい」
ざわっと教室全体がざわつく。
馬鹿馬鹿しい。高校生にもなって、転校生くらいで、何故そんなに騒げるのか。
やはりこいつらは、馬鹿なのだ。馬鹿で馬鹿でたまらない、愚劣な人種なのだ。
「おい先生よー、お前も分からないとかどうなってんの?この時期に転校生とかおかしくねー?」
僕の後ろから、男子生徒が聞いた。
「おい水木。何度言えば分かるんだ。仮にも俺は先生なんだから、敬語を使え!!ああもう朝からめんどくさい注意をさせるな」
「そんなら尊敬できるような行動取ってくれよ先生、何やっても適当じゃねーかお前」
「そんな事はないぞ。あーそれでだなー。うーん、そう言われてもなー、俺もよく分からんのだな、これが。聞いてくれよ、俺も今日校長に知らされたんだわ、これが。どどう思うよこれ、水木」
「はぁ?俺が知るかよそんな事。それでどんな奴なんだ?男か?女か?」
先生と水木が、今日もいつものようにののしり合っていた。この二人は、先生と生徒とは思えないほどに仲がいいのだ。むかつく事に。
「あー両方だな」
「はあ?オカマかよソイツ」
「違う違う。男と女一人づつだ」
「そんなら最初からそう言えよ。そういうとこが適当だっつーんだよ」
「あー黙れ黙れ、どうやら来たみたいだからお前らちょっと黙れ」
クラスのざわつきは、次第に収まっていった。
何だかんだいって、このクラスの連中は、この適当な教師の事を気に入っているらしい。
そんな一切も、結局僕にはどうでもいい事だ。
「おい!!いいぞ!!入れ!!」
先生が大声で合図すると、教室のドアがガラリと開き、少し緊張している男と、対照的にまったく緊張していなさそうな女が入って来た。