17話 見つけて欲しいものー02
「ふむ、それじゃあ本当に手がかりの一つもないんだね」
栞がコーヒーをずず、と飲みながら湊渡さんに聞いた。
時間は夜で、場所は適当に選んだファミレスで、湊渡さんは今日も制服を着ていた。学校が終わるのを待ってから集まったのだから、当然といえば当然かもしれない。十分家に帰るくらいの時間はあったと思うのだが、いちいち帰るのがめんどくさかったとか、急な用事で予定より帰るのが。
「はあ、まぁ~、そうなりますかね~」
湊渡さんは髪をいじりながら答えた。
「それではさすがに困るんだけどね。確かに私達は何でも屋だけれど。手がかりの一つも無ければそれこそ手の付けようがない」
「そう言われてもですね~、本当に何も分からないんですよ~、でも私が【それ】を必要としているのは間違いないんです~」
少し申し訳なさそうに言う湊渡さん。
「………何故【それ】が必要なのかは分からないの?」
黙って二人のやりとりを眺めていたが、僕も会話に参加する事にした。
「いぇ~、だって【それ】が何か分かりませんから~、何に使う為に必要なのかも分かりませんよ~」
まさしく埒があかない。こんな依頼を本当に達成できるのだろうか。
「……………少し方向性を変えようか。君は【それ】が今すぐ必要なのか、それともこれから必要になるのか、それは分かるのかい?」
「それは……。う~ん。…多分もうすぐ必要になるような気がするんです~」
「何でそう思うんだ?」
「え~、それは~、何となくです~」
「……………まぁ、半歩前進といった所か。それなら次は……最近身の回りで何か変化はあったかい?」
「変化ですかぁ?いえ~特にはありませんよ~」
「ならそれは現段階では見つけられないものなんじゃないか?その何かが起きてから、必要になって始めて現れるものじゃないのかい?」
「いえ~それはないと思いますよ~。だってもう何となく感じるんですよ~それが絶対に必要だって~」
「何か分からないのに?」
「はい~」
「よわったな。ここまで何も分からないとは思わなかった。……………やはり実際に見て回るしかないみたいだね、茉莉君」
「そうみたいだね」
「はぁ~、じゃあ先生方には私から言っておきますから~」
「その必要は無いよ。というか湊渡君。君はそんな実態の掴めないものを一日や二日で見つけられるとでも思っているのかい?」
「え~、どういう事ですか~?でも変な事すると通報されちゃいますよ~?うちの学校、最近不審者騒ぎが有ったから、その変は敏感になってると思いますし~」
「心配はありがたいが、私達は堂々と正面から学校に入り、その【何かよく分からないもの】を捜索する」
「はぁ~」
湊渡さんは明らかに困惑していた。まあそれはそうだろう。
栞が、見せてやれ、といったように僕に視線を向ける。
いや、だからさ、何でそこを僕に任せるんだよ。自分で見せればいいじゃないか。まあ別に文句もないので、僕はポケットから取り出したものを見せた。
「僕達は明日から、湊渡さんと同じ井上高校の生徒なんだ」
僕が出した学生証を、湊渡さんは事態がいまいち呑み込めないようで、ぽけーっと見ていた。