第一章 始まりへ
目覚める前、凄い悪夢を見た気がした。
例えるのが難しいが、敢えて例えるのならそれこそ2つのリアルな世界が破滅していく、そんな夢の光景。
しかし紛れもない現実だった。
初めてプレイするゲーム、初めてで成り行きでエンディングそんな事があってたまるか。
たかがゲームでそんな事が。
と、普通ならそう思うだろう。
僕だってそう思いたかったが、奴の言われるがまま進めて|世界破滅という最高に最低なエンディングにたどり着いてしまったわけだ。
そんなエンディングを回避する為に、今まさに同じ歴史の2週目を始めようとしてる訳だ。
ああ、
賽子の転がる音がする…。
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最後の声が聴こえて目覚めた僕はいきなり絶対絶命の状況だった。
無論、焦りはあるがそれ以上に気になる疑問が2つある。
1つめは、僕が目覚める直前に声を聴いたこの女性の事だ。
一周目では協力関係になったものの、彼女の悲願を目前にして彼女を死なせてしまった。
その彼女が今目の前にいるという事だ。
嬉しいという感情が強い反面、疑問点も浮かんでいる。
一周目の彼女は、森の警備にあたっていてそこで迷ってい奴た奴と僕に接触した筈だ。
ただこの疑問は正直そこまで問題では無い。
むしろ2つめの疑問点こそが問題かもしれない。
2つめは、やや遠目で目が合った人間の2人組だ。
内1人は嫌でも忘れられない、奴だ…。
がもう1人に対してコソコソと何か話すと、そのもう1人は僕に対して冷ややかな目線を送り、2人は森の奥に姿を消した。
お転婆女王の様な女性「なんで此処に人間がいるのよっ!!」
ナオト「コレははもしかしなくても、公開処刑手前ってヤツかな?」
警戒を解こうと精一杯の苦笑いをして見せるが、反応はどうだろうか…。
一周目では気にしなくなっていったが、今にして思うとこれこそルールチェックしておくべき事だった。
ナオト(出目確認っ!!)
6・5
ナオト(出目は11!周りの反応はっ!?)
周囲からの視線は相変わらず憎悪の込められた視線ではあったが、目の前の女性は少し試すかのように話をしてきた。
お転婆女王の様な女性「アンタねぇ…、 この集落近辺が不可侵の条約があることを知ってて近づいて来たわけっ!?」
ナオト「実はな…神の神託を受けて、その神さまに瞬間移動させてもらったのはいいが、衝撃が強すぎてこの辺りで気絶していたという訳なんだ。」
勿論、ほとんどでまかせだ。
そもそも一周目とはキャラが違う。
このキャラがどういう経緯で捕まったかまでは知るよしもない。
神の神託…の様なものこそ聴いたし、ある意味では瞬間移動はさせてもらった。
だが、話が矛盾してしまえば嘘でも真でも即デッドエンドだ。
4・3
ナオト(7…。出目が少し低いな…。信じて貰えるか?)
お転婆女王の様な女性「確かに集落の近辺で気絶していたけど、全てを信じるには圧倒的に材料が足りないわね!」
「そうだっ!人間なんて信用できねぇ!」
「女王様!この人間に裁きをっ!!」
「死刑!死刑!死刑!」
お転婆女王の様な女性「みんな落ち着いて!私は母の意思を継いで女王となりました。故にこの人間にも幾ばくかの猶予を与えることとします。」
お転婆女王の様な女性「人間!アンタの名前は?早く教えなさいよ!」
ナオト「俺はナオトだ。呼び名が無いと不便だから君の名前も教えてくれないか?」
お転婆女王の様な女性「不敬ね。けど死刑までの猶予は与えたのは私だし、呼び名が無いと不便というのも分かるわ。いいわ教えてあげるっ!私はアリシ…じゃなくて、アリスよっ!」
名前を噛んだ様に感じた一周目の自己紹介だが、今では何となく理解出来てしまう。
故にシリアスな現状も含めて笑わずに、
ナオト「短い間だけど、宜しく頼む。アリス。」
アリス「フン!ほんとに短い間だけど頼まれてあげるわ!ナオト!」
とりあえず、デッドエンドまでの時間稼ぎと心強い(?)仲間ができたことを喜ぼう。
どうも。
空船ちとせ。です。
前回からかなり時間が空いてしまい申し訳ございません。
話の構成をどうするかを悩みまくった挙句
筆投げておりました。
いざ書き上げてみるとまだまだ稚拙な部分が多いですが、何卒応援のほど宜しくお願い致します。
次回から、ナオトと協力NPCことアリスのストーリーが始まっていく…予定です!