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その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~  作者: 鈴田在可
シリウスアナザーエンド 生と死と

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13 俺の子供を生んで欲しい

R15注意

 ヴィクトリア姉様が子供を生んだそうなので、ナディアは番であり、義父アークの喪が明けてから婚姻届を提出して夫にもなったシリウスと共に、かつてお世話になった異母兄ロータスたちの家にお邪魔した。


 どうしてこうなったのか、ナディアは死んでいた時があったので経緯はよくわからないが、ヴィクトリアは故郷の里の元住人で幼馴染のアルベールと番になっていた。


 二人が番になったと聞いた時は、「なんでリュージュじゃないのーっ!」と、ナディアは驚いて叫んでしまっていた。


 アークの葬儀や、人間の「ナディア」として擬態するための様々なことなどが一区切りついた頃に、彼らの元へ向かった時には、それなりにアルベールと幸せそうに暮らしているヴィクトリアがいて、ナディアは心配が杞憂に終わったようだと知って安堵した。


 ナディアが故郷にいた頃の記憶では、アルベールは里にいるその他大勢のろくでなし連中と同じく、傲岸不遜で暴力的で意地が悪くて、あまり仲良くしたくない類の男だった。


 けれど数年ぶりに再会してみると、「ヴィクトリアは俺のもの」的雰囲気(オーラ)を振りまき独占欲は垣間見えつつも、アルベールは妊娠中で体調が優れないヴィクトリアを常に気に掛けるような優しさを発揮していて、始終笑顔全開のデレッデレな状態にもなっていて、とても幸せそうだった。


 正直、こんなによく笑顔を見せる男だっただろうかと、印象はかなり様変わりした。


 ナディアはヴィクトリアが生んだ赤子と対面した。ヴィクトリア譲りの神秘的な銀の髪を持つ、アンジェと名付けられた生まれたばかりのその女児は、とても小さくて、有り得ないくらい可愛かった。


 アンジェはヴィクトリアに良く似た綺麗な顔立ちもしていて、抱っこさせてもらうと、自分の子供でもないのに、ナディアはより身体の奥から愛しさがこみ上げくるのを自覚した。


 アンジェの瞳の色はアルベールと同じ金色で、『二人の愛の結晶なんだなぁ』ということもしみじみと感じた。


 ナディアはその後、現在暮らしているブラッドレイ邸に帰宅してから、「私も赤ちゃんが欲しいな……」と思わず呟いてしまったが、「じゃあ作ろうか」とシリウスにさらりと言われて、少し戸惑った。


「でも、レオもジークもまだ赤ちゃんだし、もう少し先でもいいかな」


 番を失った義母のロゼは体調が優れない日もあって、ナディアがシリウスの下の弟たちの母親代わりを務めることも多かった。


「でも俺はそろそろ欲しい」


 ナディアに首ったけのシリウスは、いつもはナディアの尻に敷かれていて、意見が別れた時はナディアを立てることが多いが、今回ばかりは、ずずいっと身体を寄せてきて迫り、気付けば転移魔法まで使われて、いつの間にかナディアは二人の部屋の寝台の上に押し倒されていた。


「レオはナディアちゃんのおっぱいが大好きすぎて、ちょっと距離を取った方がいいんじゃないかって真剣に思うし、ジークも一歳前だけど、獣人だからなのかもう立って歩けてるし、成長も早い。


 シオなんて中身もう大人だし。


 ただまあ、確かにジークはまだ手はかかるけど、俺だって面倒見れるし、兄さんたちに預かってもらうこともできる。


 ナディアちゃんが全部引き受けなきゃいけないことでもないと思うんだよ。母さんだって調子の良い日は面倒見れるしね」


 言いながら、シリウスはナディアに身体を押し付けてきた。


 ナディアは赤面した。


 ナディアの声を聞いて嬉しそうにニコッと笑っているシリウスの、その美しすぎる顔に見つめられていると、余計に恥ずかしくなってくる。


「欲しいよね? 欲しいって言って」


 それは✕✕✕✕ですかそれとも子供ですか? という下世話な問いが頭を駆け巡ってしまった。


 散々シリウスに愛されているナディアは、つい「欲しい……」と口走りそうになるが、その前にシリウスがまた口を開いた。


「……ナディアちゃん、今日すると子供ができるんだ」


 その言葉にナディアは驚く。


 獣人の男は、番の排卵がいつなのかが嗅覚でわかる。


「俺は、ナディアちゃんとの子供が本気で欲しいよ。たくさん欲しい。最低でも八人くらい」


「……多すぎない?」


「そんなことないよ。愛の結晶はたくさんいていいと思う」


 シリウスの子沢山家族計画を聞かされてナディアはびっくりしたが、彼の顔は真剣そのものだった。


 シリウスの灰色の瞳の奥には、どこか必死さというか、懇願の色も浮かんでいた。


「俺の子供を生んで欲しいんだけど、駄目かな?」


 ナディアは―――― 手を伸ばすと、シリウスを自分に引き寄せるようにして抱きしめた。


「八人生めるかはわからないけど、私もシーちゃんの赤ちゃんが欲しい」


 ナディアはシリウスの母ロゼが彼を呼ぶ時の呼び方が移っていて、いつも「シーちゃん」と呼んでいた。


 出会った時は「オリオン」と、本当の名前ではない名で呼んでいたが、その時と比べると、自分たちの関係は考えられないほどに親密になっている。自分たちはお互いを大事にして愛し愛される、とても強い絆で結ばれていると思った。


 今日ヴィクトリアが生んだ子を見に行った影響も強いが、色んな事情を取っ払ってみれば、本当は自分も愛する人との間に子供が欲しいと思っていた。


 シリウスと同じ気持ちだと気付いたナディアは、子供を作ろうと決意を固めた。











******






 シリウスが「子供ができる」と宣言した通り、ナディアはその日の営みが実って妊娠し、その年の秋に男児を出産した。


 赤子はナディア譲りの茶色の髪に茶色の瞳という、よくある色味をしていたが、顔付きはかなりシリウス寄りで、赤子ながらに光輝くようなトンデモイケメンとして生誕していた。


 ナディアは子供の顔が自分に似ていたら不憫かもとちょっとだけ思っていたので、そこらへんは少しホッとした。


 シリウスは銃騎士隊での活動を続けつつも、もう偽名は使わずに本名で仕事をしていた。


 二人は愛する息子に、シリウスの慣れ親しんだかつての名前である、「オリオン」と名付けた。











 ナディアは長男オリオンの後に双子の男女を産み、その後も子宝に恵まれた。


 ナディアはブラッドレイ家の嫁として、大好きな家族に囲まれながら、最愛の番であり夫であるシリウスと共に、いつまでも仲睦まじく暮らした。






【シリウスアナザーエンド 了】


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完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです

両方読んでいただくと作品の理解がしやすいと思います(^^)
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