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その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~  作者: 鈴田在可
シリウスアナザーエンド 生と死と

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1 未来を知る男 1

シリウスアナザーエンドです。前半部に説明が多いですm(_ _)m


シリウス視点(5話目までずっとシリウス視点)


 必ず、蘇らせてみせる――――――




 シリウスがナディアの遺体に愛撫を続けながら、魔力が回復する時を待っていると、頭の中に今見ているのとは別の光景が浮かび始めた。


『未来視』だ。


 それは、現在ゼウスを殺そうと氷魔法を展開させているヴィクトリアが、「三人の男とそれぞれ別々に番になって幸せそうに生活している」という、パターンが三つある『未来視』だった。


 やはり未来視は「可能性」を示唆するもののようで、一つだけではなく複数出てくることがあるようだ。


(レインとリュージュはともかく、姫さんがアルベールを受け入れる可能性があるとは驚きだな)


 シリウスは獣人の里に潜入していたので、ヴィクトリアの幼馴染アルベールのことも知っている。向こうは知らないが。


 シリウスは魔力が回復してきたことで意図せず『未来視』を発動させたが、それまでシリウスが視た『未来視』は、すべて、人の生死に関わる重要なものばかりだった。


 幸せな未来というのはそれはそれで良いが、人の生き死にと比べたら、それほど重要なものではないようにも思えたが――――


(もしくは、姫さんが誰と番になるのかが、この先の未来にとっては特別に重要なことなのかもしれない……)


 現在、父アークとレインは妙な動きをし始めていた。アークの考えが読めてしまうシリウスは、アークがレインを使ってヴィクトリアを殺そうとしていると気付いていた。


 今のヴィクトリアはレインを愛している。それなのにナディアと同じように好きな男に命を脅かされるのかと思うと悲しくなったが、三つも『未来視』がある様子では、ヴィクトリアはやはり処刑場(ここ)では死なないのだろうとシリウスは思った。


 ナディアの「死」の衝撃から落ち着きを取り戻したシリウスは、ヴィクトリアの攻撃を防ぐノエルのことも気掛かりだった。


 正直ゼウスはどうでもいいが、可愛い可愛い弟のノエルが死ぬのは絶対に嫌なので、彼らの命が脅かされる場面では介入するつもりでいたが、危機的な場面はあったものの、今の所ノエルは持ち堪えられていた。


 シリウスの魔力が段々と満ちて来ると、やがて、ノエルが妻のアテナと、ノエルの小さい頃にそっくりな二、三歳くらいの子供と幸せそうに過ごしている『未来視』が視えた。


 ノエルに関して視えた未来はその一つだけだ。ノエルもヴィクトリアと同様に数年先までは死なないと確信したシリウスは、魔力の回復に全神経を注ぐことにした。


(ナディアの未来…… ナディアの未来が見たい……)


 ナディアの未来が視えれば、彼女は生き返るということだ。


 シリウスが全ての五感をナディアを感じることだけに集中させていると、やがて頭の中に新しい絵が視えてきた。


(二つ…… いや、三つ…………)


 ナディアに関する『未来視』が視えてかなりホッとしたが、自分とゼウスと、それぞれと結ばれる未来が視えてしまった。


 なぜナディアを殺した男との未来まであるのかと思いつつも、よくよく吟味すると、シリウスと結ばれている『未来視』は、二つのパターンに分かれていて、現段階でナディアには三つの未来の方向性があるようだった。






 一つは、シリウスは身体を悪くしているらしく頻繁に車椅子に乗っている未来で、たまに倒れたり寝込んだりしていて、その度にシリウスはナディアに介抱されていたが、自分たち二人はずっと笑顔で、とても幸せそうに暮らしていた。


 ナディアとの間には、男の子が一人だけ生まれていた――――






 もう一つのシリウスとナディアが結ばれる未来では、『シリウスが車椅子に乗っている未来』にもいた長男だけではなくて、その下に双子の男女と、双子の下にも子供が多くいて、シリウスの理想通りの子沢山な家族になっていた――――






 ただし、幸せそうにしていてもこちらのシリウスにはどこか影があって、特に双子を見つめている時に、憂いたような表情をしていることがかなり気になった。


 こちらの未来のシリウスは、車椅子には乗っていなくて、「健康上は特に何も問題がないように見える」にも関わらず、だ。


『未来視』は未来のある一部分を切り取って視せるもののようで、シリウスが『未来視』の力をもっと上手く使いこなせるようになれば、また違うかもしれないが、現状、『視えた未来に辿り着くまでに何が起こったのか?』という、その詳しい部分までは視えてこなかった。


 シリウスは、ゼウスとナディアが結ばれる未来についての詳細は視たくなかったので、「二人が獣人の里で暮らしながら、色んな人と力を合わせて獣人のための学校を作っている」というのは確認したが、あとは意識的に視ないようにした。


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 ただし、それはシリウスの『視たくないという願望』に自分の能力が影響されただけのようで、シリウスの脳内から消えたからといって、現時点でゼウスと結ばれる可能性が消滅したわけでもないのだろう。


 未来の可能性をすべて知るためには、完全に公平な視点に立ち、自分の主観をできるだけ排除するという精神制御が必要のようで、『未来視』マスターへの道はまだまだ遠そうだと思った。


 シリウスが自分とナディアの未来の詳細をさらに探ろうとしていると、いきなり『シリウスが車椅子に乗っている未来』が頭の中から消失した。


 シリウスは、自分とナディアの未来を視たくないとは願っていない。


 つまりは、「未来が確定する分岐点を通過した」のだとシリウスは直感した。


 処刑場では先程まで続いてたヴィクトリアによるノエルたちへの攻撃が止んでいた。


「そこのゴミ銃騎士! よくも俺のヴィーを殺そうとしたな!」


 代わりに、ここにいるはずのないアルベールがいて、ヴィクトリアを剣で刺そうとしたレインに激高し、戦いを仕掛けていた。


 S級獣人のオニキスもいて、ヴィクトリアを巡る男二人の戦いと同様に、オニキスと銃騎士隊との戦闘も始まっていた。


 そこまで処刑場の様子を理解した所で、シリウスはあることに気付いた。


(姫さんとレインの未来が、視えない…… リュージュとの未来も…… 姫さんがアルベールと番になる未来だけが視える……)


 シリウスは、「里にいるはずの二人の獣人が処刑場に現れたことで、この先の未来が確定した」のだと知った。


 同時にシリウスは、これから彼が行おうとしている『死者蘇生の魔法』を発動させた後の様子と、そして――――


『死者蘇生の魔法』が完遂した時に、「シリウス自身にも死の危機が訪れる」という『未来視』を視た。







補足:今話時点では、シド死亡でヴィクトリアとシドがくっつく可能性が消滅してるため、シリウスが視えた『未来視』は3パターンのみです


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今作品はシリーズ別作品

完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです

両方読んでいただくと作品の理解がしやすいと思います(^^)
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