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その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~  作者: 鈴田在可
ゼウストゥルーエンド 『悪魔の花婿』

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1 目撃

ゼウストゥルーエンドです。シリウスの失恋注意。


「獣人姫は逃げまくる…」のリュージュハッピーエンドと繋がっているので、そちらを読んでからの方が話がわかりやすいと思います。

https://ncode.syosetu.com/n3337gf/128/




ナディア視点→シリウス視点


恋愛的どんでん返し注意。精神的寝取られ注意。

 処刑場でヴィクトリアの所まで走っていたナディアは、銃撃音とほぼ同時に、空中に突然出現した『謎の手』によって身体を押された。


 その手は肘辺りから先しかなく、見る人が見れば怪奇現象さながらの恐ろしすぎる光景ではあったが、その綺麗すぎる女の腕に、ナディアは見覚えがあった。


(なぜヴィクトリア姉様の腕だけが空中に?)


 ナディアは倒れかけながら、進行方向に変わらずいるはずのヴィクトリアの無事を確認しようとして――――


 その瞬間、血飛沫と共に腕に激痛が走って、ナディアはうめき声を上げた。


「ナディアァァァァァぁぁぁっ!」


 地面に倒れたナディアの元にシリウスが瞬間移動で現れると、銃弾が掠ったナディアの腕にすぐさま治癒魔法をかけてくれた。


 腕の痛みが嘘のように消えていき、ナディアは安堵感と共に息を吐いた。


 ナディアは自分を抱きしめているシリウスに、助けてくれたお礼を言おうと顔を上げて――――




()()()()!」




 自分の名を呼ぶその声にハッと衝撃を受けたナディアは、シリウスではなくて、こちらに向かって泣きそうな顔で走ってくるゼウスの姿に、目が釘付けになった。






******






「ナディア!」


 憎き恋敵ゼウスがこちらに向かって走ってくるが、シリウスはナディアを狙撃したような危険な男にナディアを渡してなるものかと思っていた。


 空中に突然現れた『ヴィクトリアの腕』――嗅覚から誰の腕かわかった――については検証が必要だが、あの腕が現れてナディアを押さなければ、銃弾の当たり所が悪くてナディアは死んでいたかもしれない。


 愛情の歪みからとはいえ、ゼウスがナディアに銃を向けたことは許し難きことであり、シリウスは腕の中のナディアをゼウスに渡すつもりは微塵もなかった。


 ところが――――


「嘘だ…… 嫌だ…… こっち向いて…… ナディア、ナディア…………」


 シリウスは、七年間自身の番であったナディアの身の上に起こった現象を、正確に理解してしまった。





 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 しかも、『本物』だ――――






 シリウスは、ナディアの頭の中で、番を得た時に聞こえる音が鳴ったらしきことに気が付いてしまった。


 発動の条件はおそらく、『()()()()本当の名前で呼ばれたこと』だ。


 その条件はゼウス限定のようだった。


 これまでシリウスは、何度もナディアの本当の名前を呼んできたが、ナディアがシリウスに番と同等の愛情を向けてくることは皆無だった。


 ナディアの『番の呪い・本物』が発動したのは、ゼウスだったからだ。シリウスではなくて、ナディアが深く深く愛していたゼウスだからこそだ。


 ゼウス相手でなければ、ナディアは『番の呪い』にはかからなかった。


 シリウスがあまりの衝撃(ショック)から身体に力が入らなくなって愕然としている間に、ナディアはシリウスの腕の中からするりと抜け出ると、とても嬉しそうな様子でゼウスの腕の中に飛び込んだ。


 シリウスはナディアが自分から離れていく動きを止めることができなかった。


「ナディア、ごめん…… 愛してるのに、俺はまたナディアを傷付けた…… 許して欲しい…… 何でもするから、どうか、許して……」


「ゼウス、泣かないで。大丈夫よ、私はゼウスに何をされても大丈夫なの。全部許してるの。


 愛してるわ、ゼウス」


 ナディアはゼウスの頬に手を添えると、ナディアの方から唇を合わせにいき、濃厚な接吻と熱い抱擁が始まってしまった。


 愛し合う二人の姿を目撃したシリウスの心は今にも壊れそうだった。


「ナディア……」


 シリウスもまた、ゼウスと同じように泣いて彼女の名を呼ぶが、ナディアはシリウスを振り返らない。


 頭の中で音が鳴り、番を得たばかりのナディアは、ゼウスだけを一心に見つめていて、シリウスの姿など全く見えていない様子だった。


 ナディアとゼウスの二人は、お互いへの愛を再確認し合い、気持ちが通じ会えたことに喜びの涙を流している。


 けれどその場に崩れ落ち、絶望を全身で表現するかのように自分の身を掻き抱きながらガタガタと震えて慟哭しているシリウスの姿は、二人とは対照的だった。


「シー兄さん!」


 ノエルの声が聞こえてきて、それから――――






 シリウスは、アークによって眠りの魔法をかけられて倒れたが、ノエルの腕が間に合って支えられた。












補足① 銃騎士隊本部の牢屋でゼウスが名前を呼んだ時はナディアには聞こえてなかったです。


補足② ゼウスアナザーでは名前を呼ばれた後すぐに結ばれて通常の番になっています。



『ヴィクトリアの腕』については、獣人姫のリュージュハッピーエンドの「4 あと一人」にヴィクトリア視点の話が載ってます。

https://ncode.syosetu.com/n3337gf/131/


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今作品はシリーズ別作品

完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです

両方読んでいただくと作品の理解がしやすいと思います(^^)
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