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<7>魔法学園に入学してしまった。


月日は流れ、ルシア15歳の春。ついに訪れてしまった入学イベント。いや、待て、おかしい。ルシアはただの町娘である。主人公でもないのにイベントフラグ等立つのはおかしいのだが……。入学してしまった。



町の襲撃から魔王軍には動きは不気味なぐらいなく、ルシアにも動きはなかった。と、言うのもルシアは考えたのだ、学園に入学できるのだからそこから何とか自分の運命を変えて見る方が手っ取り早いのでは?と、そして今に至る。



つまり、ルシアは下手に動くより、学園での未来にかけたのである。ただの町娘の自分にできる事は限られていた。故に学園に入学してから何とかするしかないと考えたのだ。そして、そんなルシアには、べったりと付いてくる腰巾着が一人いる。


「ルシアさまぁああっ!」


「あら、セリーお嬢様」


そう、セリー・マルス15歳である。セリーを姉からの苛めから救って以来ルシアの事を心から尊敬している。あれから度々屋敷へ招かれ続けており、セリーはルシア無しでは生きれないと言う程ルシアに傾倒していた。


「セリーお嬢様だなんて、セリーとお呼びくださいと何度も言っているではありませんか。」


そう言ってすり寄ってくるセリーにルシアは苦笑いをしていた。まさか前世で憎んでいた彼女にここまで懐かれてしまうとは思いもしなかったからだ。



前世、ルシアはひょんな事から魔法を使い過去の自分の世界が乙女ゲームの世界だと知った。ルシアが偶然発見したのは現代社会と言う古文書だった。そこにはこうあった。ルシアが第一に転生した世界は、本の世界であると言う内容であった。



ルシアは半ば信じられなかったが、それから色々と調べていくうちに信じるようになった。そして、現代社会には機械仕掛けのゲームと言うモノがあると知った。ルシアは魔法でその世界のモノを召還してみた。偶然召還されたそれは前世の世界の乙女ゲームであったのである。ルシアは仰天した。



故にルシアは知っている。何故過去の自分が死なねばならなかったのかを。ルシアは改めてこのゲームのストーリーをお復習する。



この乙女ゲームは魔法学園に主人公が入学する所から始まる。このゲームの攻略対象は五人と、全クリア後に攻略できる裏攻略対象が一人。ルシアはゲームを全クリアしていた。



だが、だがである。一つ、問題がある。それは魔王がこの世界に転生してしまっている事だ。それによりストーリーが大きく異なる可能性があった。魔王は何を思ったのかあれ以来魔王城に籠りっきりで町へ攻めてくる事は少なくなっていた。何はともあれ、五人の攻略対象をまず確認する。



まず最初に、私の過去の婚約者、この国の第一王子、ルチア・シフォン。優しい好青年だが、天然腹黒でたまに毒舌。私と同じ光の意味の名を持つ青年。


次に第二王子のリト・シフォン、ツンデレだが、根は優しくて真面目。ツンデレを拗らせ過ぎて本音を言えない性格。いつも強がっているが本当は弱虫。


三人目は第三王子のナディ・シフォン。病弱で気弱だがヤンデレ。


四人目に他国の女装男子の王子、リルム・クリム。宰相のお人形王子と呼ばれる程自分の意思を持たない。


五人目に生徒会長のスピア・ルフト。優しくて真面目な生徒会長しかしその正体は吸血鬼。普段は真面目だが、気を許した相手には本性を見せる。


最後に全クリア後の裏攻略対象の第一王子の使用人。名無しの少年で名前がなかったが主人公によって名付けられる。


おっと、主人公を忘れてたわ……。ルシアは改めて自分の腕をとり、腕を組んでいる主人公セリーを見た。


主人公、セリー・マルス。気弱でか弱い少女だが、その魔力は絶大というゲームの設定だったのだが……。全く違う性格になってしまった。それは私に懐いている事と、


「ルシア様!ルシア様のお側に立つ為に今日まで鍛えて来ました!ご安心くださいませ!」


そう言うセリーはルシアにべたべたとくっついている。


「ありがとうございます、セリー様。」


セリーは気弱でか弱い少女ではない。自分を救ってくれたルシアを守れるくらい強くありたいと剣術から武術、もちろん魔法学に至るまで厳しく習って来た。お陰で、彼女のレベルは、本来ゲーム後半のレベルまで今の時点で上がっている。


……つまり、強すぎるのだ。まあ、とは言え、前世で最強の魔法使いだった私には及ばないのだけれど……たぶん。セリーは実際、ルシアと肩を並べる程とは言えないが、一歩及ばない程に強くなっていた。


そして、もう一人、忘れてはいけない人物がいる。そう、過去の自分、ルシア・ルミナス15歳。ルシアは実は、過去の自分の性格を治そうと試行錯誤していたのだ。その結果だが、多少は良くなっている筈……。


「あら、テレス。」


過去の自分に声をかけられる。


「荷物持ちしてくださらない?」


「え?は?!」


強引に荷物を渡されルシアは転びかける。


「これから学友としてよろしくね。テレス。」


「あ、はは…。よろしくお願いします。お嬢様。」


わがままで強引、自己中心的な所はなかなか、いや、全然治らなかった……。

何はともあれ、ここから、町娘A、ルシア・テレスの、過去の自分のDEAD END回避の日々が始まるのだった。


ルシアの苦難は続く…。

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