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<6>こんな展開知りませんっ!!??最強の町娘ですが何か?



「私が貴方のDEAD END、回避させてやるわよっ!!」


それを聞いた過去のルシアは素っ気なくだが、ありがとうと言った。


「何?あの、パン?の代金ぐらい払うわ。」


もぞもぞと気まずそうにそう言う過去の自分を見てルシアは少し微笑ましく思えた。


そんな平穏な光景は次の瞬間一転した。突然、地響きと悲鳴が町中にこだました。


「きゃーーー!!??」


地響きで家が揺れる。


「っ!?これはっ!!?」


「何?!」


過去のルシアは何が起こっているのか訳もわからない。だが、ルシアは違った。


「ここにいてっ!」


「は?なんで…」


ルシアは過去のルシアにここにいるように言って町へと飛び出す。町中には悲鳴がこだまし、血肉の海と化す。


「魔王軍だ!!」


「きゃーっ!」


町中の人々は悲鳴を上げながら逃げ惑っている。ルシアは悲鳴の方へと走り抜ける。魔族の群れが人間達を襲っていた。ルシアが前方へ眼を向けると魔族は幼い少女の首を掴み上げていた。


「きゃー!!??助け…」


少女は魔族に頭から飲み込まれて跡形もなく消えさった。


筈だった。魔族は眼をぱちくりさせている。補食した筈の食事が口の中にないからだ。


食べた筈の食事は別の食事に抱き抱えられて魔族の後方にいた。

ルシアは抱き上げていた少女を逃がす。


「逃げて!」


「ありがとう!」


魔族は怒りながらルシアへと突っ込んでくる。ルシアは魔族にまっすぐに向き合い、避けようともしない。魔族がルシアを飲み込もうと口を開けたその時、魔族の方へ手向けるとルシアの手から光が溢れた。

その光に魔族は焼かれる。


「ギャーーーッ!??!何だこれはぁ?!?!」


「テーブルマナーがなっていませんことよ?椅子にまず座ってくださる?」


そう言うルシアは魔族の頭部に蹴りを入れる。その瞬間魔族の頭部は弾け散った。ただの蹴りではない。魔法によって強化されているのだ。魔族は脆くも崩れ落ちた。ルシアは生きている人間を逃がし、魔族の群れへと突っ込んで行く。


「小娘風情がっ!!」


魔族達が次々とルシアへと襲いかかって来た。ルシアはどんどんと魔族を魔法で倒して行く。町の人達はそんなルシアを美しいと見いっていた。魔法の光がキラキラとルシアの周囲を包みこんでいる。魔族は次々と光に撃ち抜かれ、炎に焼かれ、氷に貫かれていく。ルシアを阻む者などいない。その筈だった。そんなルシアは次の瞬間息を呑む。


「きゃー!!??」


悲鳴の主は過去のルシアである。過去のルシアは魔族に捕まってしまっていた。こんな事は過去に経験した覚えなどない。そもそも、過去の自分に会った時点で過去が変わっていたのだ。


「動くなっ!!この女がどうなっても……」


過去のルシアは眼を疑った。今まで横で刃物になった触手を首筋に当てて話していたモノは木っ端微塵に弾け散っていたのだ。


「遅いのよ!そんなんじゃ、私の早さには勝てないわっ!」


ルシアは得意げにそう言う。対して過去のルシアはその場にへたりこみ、腰を抜かしていた。


こうしてルシアは、魔王軍の魔族の群れをいとも簡単に殲滅してしまったのだ。


★★★★★★


魔王軍に襲われた町に平穏が再び訪れる。しかし、魔王との戦いは始まったばかりだった。魔王は五人の幹部をこの世界で仲間にし、魔族を産み出して町々を襲っている。



ルシアの町が襲われ、魔王の魔の手はルシア達のすぐ側まで来ていた。かに思われたが、魔王はルシアが現れ魔族を倒したと知ると、何を思ったのかねぐらの城に引きこもってしまったのだ。前世でのルシアとも戦いもあり、ルシアを警戒しての事だった。



魔族を追い返したルシアは再び町のヒーローとなった。公爵からは過去のルシアを守った事で褒美を貰った。ルシアはその褒美の大金を全て町の復興に使ってしまった。そんなルシアを父も母も誇りに思っていた。復興していく町を見ながらルシアは思う。



こんな展開は知らない。この先どうなってしまうのだろうと、魔王が復活した事でこの世界はおかしくなってしまった。過去の自分の運命を変える事はできるのか?はたまた、今の自分と共に破滅するのか?ルシアは沈みゆく夕日を見ながら考えていた。最強の町娘ルシアは町のヒーローである。


ルシアの苦難は続く……


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