<42>海での思い出と魔王からのお中元
海にたどり着く。潮の香り、照りつける太陽、そして、灼熱の砂浜。それらがルシア達の到来を歓迎してくれていた。
「ルシア様!砂でお城を作りましょう!私達の居城ですわっ!」
セリーは張り切ってお城を造り始める。
「いいわね!」
「何を言っているのよ!ルシアは私達と水鉄砲で遊ぶのよ!」
「そうですわっ!」
過去のルシアとマリアに無理に引っ張られる。
「いえ、ルシアは私とこの木陰で波を静かに見ているのです!」
「俺、帰りたい。」
「おいらもぉ」
リルムとナディ、スピアはハンモックの下でのんびりと寛いでいた。
「いえ、ルシアさんは私達とビーチバレーをしますよね?」
ルチアとリト、そしてルキははビーチバレーを始めようとしていた。
「えと、私は修行を……ははっ。」
皆既に遊びたいムードだった。だが、ルシアは一人修行をする事にした。その修行とは!
「「「「「「「「「?!」」」」」」」」」
一同驚きの方法だった。
「このスイカを目隠しして割るだけよ!」
「そ、それだけ?ですの?」
マリアは驚きを隠せない。
「ええ!」
対してルシアは自信満々である。もしかして単なるプラシーボ効果なのではないかと誰もが思った。と、言うより、わざわざ海でする事では……。
ルシアが目隠しをして棒を持つ。そしてまっすぐにスイカの方へ、斬撃を放った。スイカは真っ二つに割れる。更にルシアはその場から一歩も動かずに斬撃を放ち、スイカを食べやすい大きさに切り揃えていく。それがあまりにも見事だったので一同は唖然とした。斬り終わったルシアは目隠しを取る。
「うん!準備運動はバッチリね
!」
「じゅ、準備運動だったのですか?」
「はい!」
ルチアの質問にも自信満々でルシアは答える。
「皆、出来たスイカ食べてね!」
そう言うとルシアは新しいスイカを馬車から下ろしてくる。
ルシアは目隠ししたまま遠くからスイカの飾り切りを始めた。スイカは見事なバラの花へと変わる。
「す、凄い……」
ルチアが感心する。これには一同も驚きを隠せない。
「おいらもしよっかなぁっと、」
スピアも目隠しして飾り切りし始めた。スピアの斬ったスイカは見事なお城の形となる。
「おおー!」
リトが歓喜の声を上げる。皆真似をし始めた。最初はうまく出来なかった者もだんだんと出来るようになる。そして、帰宅する夕刻頃にはスイカの町が出来ていた。スイカで造られた。スイカの町である。皆でおいしくいただいた。
「皆、せっかくの海なのだから遊べばいいのにぃ付き合わせちゃってごめんなさい。」
一同は皆楽しかったと口々に言うのだった。今度は皆で平和な世界で海に来たいとルシアは思うのだった。
帰り際、ルシアは海の方へ斬撃を送る。すると海は二つに割れた。これに一同は更に唖然とした。
「これで、魔王に勝てる!」
自信満々のルシアが町に帰るとそこは地獄絵図だった。
ルシアの家には手紙と死体の山が届いていたのだ。
「拝啓ルシア様、残暑続く日をお過ごしですが、いかがお過ごしでしょうか?これはほんの気持ちです。魔王デューク・バルト」
魔王から死体の山のお中元が届いたのだった。
ルシアの苦難は続く……。
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