<41>夏休みが来ました。
学園生活が始まってはじめての夏休みが訪れた。学園は生徒を学園に置いて置く事は危険と判断し、生徒を帰らせたのだ。ちょっと早めの夏休みである。最初の一日、ルシアは家業を手伝っていた。
「ルシア!メロンパンが焼き上がったわよっ!」
「はぁいっ!ちょっと待って、お母さん!」
町の有り様は魔王の進軍で酷いものだが、家業は繁盛していた。食事は誰でも必要とするものである。そんな中、一つの馬車が店の前で止まった。
えと、誰だろ?!
「ルシア。」
「リルム様?!」
馬車から降りてきたのは隣国の王子リルム・クリムであった。
「どうして……。」
「宰相が恋人は休日にデートするものだと…」
カラカラカラ……ひひーんっ。再び馬車が止まる。
「テレス!遊びに来て上げたわっ!」
カラカラカラ…ひひーんっ。また馬車が止まる。
「ルシア様!」
セリー、さらに馬車が止まり、
「ルシア様!」
マリアまで、そして更に更に馬車が続々と止まる。
「ルシアさん」
「ルシア・テレス!」
「ルシア!」
「ルチア様、リト様?!ナディ様?!」
そして、
「ルシア!おいらもきたぁ!」
「す、スピア・ルフト……はっはっ」
ルシアは苦笑いした。まさか彼まで家に訪れるとは思わなかったからだ。
「なんだ?これ……馬車だらけじゃねぇかっ!?」
「あっ、ルキ!」
「おうっ!」
幼馴染みのルキまで来ていた。皆ルシアを遊びに誘いだす。
「お母さん、私……」
「いってらっしゃい!ここは父さんとやっておくからっ!」
「気をつけろよっ!ルシア!」
母と父は心良く皆と遊びにいくルシアを見送った。
「それで、どこに…?」
「せっかく夏休みよっ!私の別荘にでも!」
過去のルシアは得意げに言う。
「いえ、それなら是非我が国に…」
リルムも引かない。
「いえいえ、是非城へと!」
「城ならいつ来てもいいぞ。」
「一緒にお城の部屋に籠ろう?」
ルチアもリトもナディも城を進める。
「いえ、セリーは、やはりここはルシア様に決めていただくべきだと思いますわっ!」
セリーの意見に皆が賛成する。皆の視線がルシアの方へと向いた。
「えと、海とか?どう?」
「「「「「「「「「海?!」」」」」」」」」
「え、ええ、海で修行よっ!」
「修行、ですか?」
マリアが呆気に取られている。
「ええ、良い修行法があるの!これで魔王を撃退するわっ!」
何を隠そうルシアが前世で最強の魔法使いとなったのは海での修行を積んだ為だった。それをこの世界で行おうと言うのだ。一行は海へと向かった。
ルシアの苦難は続く………。




