<33>暴言の果てに……
カフェテリアにて、手に持ったハンカチをリト・シフォンは見つめていた。
「リト、どうかしましたか?」
「ルチア、いや、何でもない。」
「そのハンカチは?」
「あんたには関係ないだろ。」
リト・シフォンはルチア同様にルシアに一目惚れしてしまっていた。本来ならハンカチを落とすのはセリーだったのだが、ルシアがセリーのハンカチを返し忘れていたので、ルシアが落とす事になってしまったのだ。
「ルシア……テレス。」
★★★★★★★★★
「ルシア様!」
「あら、マリア!」
「今度の休みに我が家に来られませんか?お招きいたますわ。」
「ええ、もち……」
ルシアは考え直す。魔王はルシアを狙っているのだ。つまり、不用意に動けば巻き込んでしまう可能があった。
「ごめんなさい、ちょっと用があって……」
「そうですわよね。こんな戦火の中、遊びになど、私、配慮が足りませんでしたわ。」
「そんな事ないわ!誘ってくれてありがとう!マリア!」
「では、昼食に…」
そう言いかけたマリアの眼にある人が眼に付いた。リト・シフォンがこちらを見ていたのだ。そして、ゆっくりと近付いてくる。
「ルシア・テレス。」
「?リト・シフォン様?あ、こないだは申し訳…」
「全くだ!あのような無礼な真似をしてくる輩など早々いない。」
リトは本当はハンカチを返してすぐに去ろうと思っていたのだが、つい口を付いて嫌みが出てしまった。ルシアは苦笑いするしかない。
「あ、はは、はい。」
「聞くところによると、身分の低い平民でありながら学園への入学を許されているとか。」(平民なのにすごいな。)
リトは本当に言いたい事が、いちいち嫌みを付けてしまい、うまく伝わらない。
「ええ」
「町娘ごときが、学園をうろうろとするな。少しは行動を慎むべきではないか?」(学友の貴族達から眼をつけられるぞ。)
「ご忠告ありがとうございますわ。」
「お前のハンカチを拾ってある。返しておく。もうバカみたいに不注意で落とすなよ。」
「あ、ありがとうございます。」
ルシアはハンカチを受け取った。ハンカチは洗濯されていて良い匂いがした。
「あら、わざわざ洗濯してくださったのですね。」
「ふんっ!お前使ったハンカチが汚れていたので洗ったまでだ。」
(落ちていたので洗ったおいた。)
「あ、はい。ありがとうございます。では、失礼しますわ。」
ルシアはマリアと共に昼食を食べにいってしまった。リトは上手く自分の気持ちを伝えられなかった事が心を渦巻いた。
その後もなんとかルシアと接点を持とうとするリトだが、上手くいかなかった。
ルシアの苦難は続く……。




