<32>主人公の恋を応援します。レベル4リト・シフォンルート
この世界は魔王の手によって戦火に包まれている。魔王デューク・バルトの魔の手により、街々は焼き払われていった。そのせいで、前世、デュークを相討ちで滅ぼしたルシアは、魔王との戦いに身を投じる異例の学園生活を送る事となってしまった。だが、魔王だけがルシアの障壁ではない。前々世の自らの処刑を阻止するルシアの試みはこうした中でも続いている。
「セリー!」
「はい!ルシア様!」
ルシアはいつものように医務室のベッドの上のセリー・マルスに声をかける。
「セリーはリト・シフォン様に付いて何か知っている?」
「第二王子様ですか?」
「ええ、そうよ!」
リト・シフォン、第二王子であり、ツンデレだが根は優しくて真面目。ツンデレを拗らせていて本音を言えない性格で、いつも強がっているが本当は弱虫。今度こそはセリーと結ばれて貰わなければ!過去の私の処刑を避ける為にも!と、張り切るルシアだったが、セリーから返ってきたのは脈なしの返事だった。
「いえ、第二王子と言う事ぐらいですわ。」
「え、あ、そ、そう?」
「ルシア!」
「へ?」
突然、医務室へと入って来てルシアの名を呼んだのは一人の貴族風の男性だった。男性はルシアへと近付いてくる。
「へ?あ、あの?どなたですか?」
男性は跪きルシアの手の甲へと口付けをした。
「ルシア、私です。」
「えと?」
「リルムです。」
「え?」
言われて見ればロングだった髪を結んでいるリルムだった。
「えええええええええ?!」
「まあ、どうしてそのようなイメージチェンジを?あと、ルシア様、医務室ではお静かに。」
「あ、はい。」
セリーはどこか苛立ちを露にしながら眉間にシワを寄せていた。
「宰相が、女性に好まれるのは男らしい男性だと言う者ですから、いかがですか?」
「え、あ、…」
ルシアには男装したリルムはとてもかっこよく見えた。
にしても、また、宰相かぁ、とルシアは思った。
「……素敵ですわ。」
顔を真っ赤にしたルシアはうつむきながらそう答える。
「うれしいです。ルシア。」
徐々にリルムの顔が近付いてくる。
「こほんっ!ここは医務室でしてよ?」
「あ、いや、セリー!違うわよ!私はっ!」
「ルシア様、先ほどリト・シフォン様のお話をしておられましたね?」
「え、う、うん。」
「リト様がお好きなのでは?」
「「っ?!」」
それを聞いてリルムは顔を強ばらせた。
「違うわよ!私はセリーの相手にと…」
「ルシア、今すぐ私と婚約致しましょう。」
「へ?!ええ?!」
リルムはリトに嫉妬していた。
「私の相手とは?」
「セリーに素敵な出会いをと…」
「私はルシア様一筋ですわ!」
「あ、はは……」
ルシアは喜ぶながらも複雑な心境にだった。
★★★★★★★★★
ルシアが廊下を歩いていると偶然前からリト・シフォンが歩いてきた。ルシアはリト・シフォンに声をかけてみようと考えた。セリーに気がなくともリトの方は主人公のセリーが気になっていてもおかしくはないと考えたからだ。
「リト・シフォン様、ごきげんよう。」
「…何か用か?」
「はい、リト様は……」
いきなりセリーの事を聞く訳にもいかず、ルシアは焦った。
「あ、えーと、」
「用がないなら行くぞ?」
「え、あっ、お待ちを!」
去ろうとするリトの袖を咄嗟に掴む。だが、ルシアはバランスを崩して転んでしまった。
「いっ……」
「おい」
「へ?」
眼の前にはリトの顔がある。転んだルシアはリトの上にのし掛かっていたのだ。
「も、申し訳ありません!」
慌ててリトから退けるルシアはいたたまれなくなりその場合から去っていってしまった。
「失礼しましたぁー!!」
「お、おい…!」
その場にはハンカチが落ちていた。リトはそれを広い上げた。
ルシアの苦難は続く…。




