<16>この私がいじめられてない?
マリア・ハルトからの悪質な嫌がらせが日々続いたある日の昼休み、ルシアはふと思った。
「ねぇ、もしかして、私、虐められてない?」
「は?!」「へ?!」
「今気付いたの?!」
「今お気付きに?!」
いつも通り中庭で食事を取ろうとベンチへと移動するとベンチの上はペンキが塗り立てになっていた。セリーがベンチの上に乗った鳥にペンキが付いている事に気付かなければドレスはペンキまみれになっていただろう。そんな様子を見てルシアはやっと気付いたのだ。元公爵令嬢だったルシアは虐める事はあれど、虐められた事などあるはずがなかったからだ。
「鈍いわね、私。まあ、わからなくもないけど。」
「ルシア様、私の力が及ばずこのような…申し訳ありませんわ。」
「セリーのせいじゃないわ。謝らないで!!食事は食堂で、でも食べましょう?」
そうして食堂へと移動した。
★★★★★★★★★★
食堂の席に付いた時である。ルシアへと周りから生卵が飛んできたのだ。
「きゃっ?!」
過去のルシアとセリーはルシアを庇うように慌ててバリアーを張った。そして、マリア・ハルトが現れる。
「あら、平民の町娘風情が我が学園の食堂で食事を取るなんて、許されませんわっ!お引き取りくださいな!」
「マリア・ハルト!いい加減にしなさいっ!!」
過去のルシアは怒りに震え、マリアを怒鳴り付けた。
「公爵令嬢様は関係ありませんでしょ?」
「ルシアは私の友人なのっ!こんな事許さないわっ!」
「ルシア様、これは周囲の総意なのですよ?」
「は?」
周りを見ると周囲の人間達が平民は出ていけー!平民の癖にっ!平民のいる場所じゃないっ!と、口々に言いながら、更に卵を投げてくる。
「ルシア様は、実力がおありだから、ここにいらっしゃるのですよ?!それを…」
セリーもルシアを庇う。
「この子を学園に入れたのは私のお父様なのよ?それを非難すると言う事がどう言う事かお分かり?」
「っ!そ、それは!し、しかし!平民がルチア様を誘惑するなんて許される事ではありませんわっ!」
そこに偶然通ったのはルチア・シフォンだった。
「これは?」
卵で汚れたルシアを見てそっとハンカチを差し出す。
「レディー、これを。」
「へ?」
「なっ!?」
ルチアがルシアへ優しくする姿を見て周りの人間は絶句した。ルシア自身も絶句した。悪役令嬢だった時に、どれだけ追いかけても優しくされた覚えがなかったからだ。
「これは、どう言う事ですか?」
ルチアはマリア・ハルトの方を見る。マリアはまさかルチアが現れると思わなかったので慌てて弁明する。
「そ、その者の身分が低いので、食事を共にしたくないとここにいる全員の総意に従った訳で私はっ……」
「身分など関係ありません。このような行いは許される事ではありませんよ?」
「し、しかし、平民でありながらルミナス公爵に卑怯な手で取り入って…」
それを聞いた過去のルシアは切れた。
「テレスはお父様に取り入ったりしてないわっ!!私の友人とお父様を愚弄しないで!!」
今にも噛みつきそうな勢いの過去のルシアにマリアは臆する。
「ひっ、セ、セリー・マルスだって、嫌なのに無理に彼女が付きまとって…」
「違いますわっ!ルシア様はそんな事をいたしません!むしろ付きまとっているのは私の方です!!」
「なっ!!??」
マリアは追い詰められた。そんな時である。ドカーンッと言う破裂音と共に地響きがする。ルシアは魔法で服の卵を取り除くとすぐに駆け出した。
「ちょっと!話はまだっ!」
「それより、これはっ!」
去っていくルシアを見てマリア・ハルトは苛立ち怒鳴るがルシアの耳には届かなかった。ルチアもルシアを追いかける。過去のルシアもセリーもルシアを追った。
ルシアの苦難は続く…。
次回は本日の夕方頃投稿します。よろしくお願いします。




