<11>揺れる心
魔王幹部デモの襲撃から数日、町の復興が行われていた。ルシアはいつものように授業へと向かおうとしていた。その日はいつもくっ付いてくるセリーと過去のルシアは周りにいなかった。
おかしいと思ったルシアはセリーと過去の自分を探しにいく。
「一体どこに…。」
嫌な予感は的中した。中庭でセリーがルシアに虐められていた。
「セリー・マルス!ただの下級令嬢の分際で、私の下僕のテレスに近づかないでくださる?!」
だが、ゲームのセリーとセリーの性格は異なり、
「ルシア様はルミナス様の下僕などではありませんわっ!!ルミナス様こそ私への嫌がらせを止めてくださらない?!」
負けじと言い返している。ルシアは走り出した。
「待ちなさいっ!!」
「ルシア様?!」「テレス?!」
ルシアは過去の自分を捕まえると耳打ちする。
「ちょっと!自分からDEAD ENDになるような行動しないでくれません?!」
「なっ!わ、わかってるわよ!ちょ、ちょっと、話していただけだわっ!ふんっ!」
そして、そそくさとルシア・ルミナスは逃げていった。
「ルシア様!!ありがとうございます!!」
セリーは相変わらず、べったりとすり寄ってくる。
それにしてもセリーが過去のルシアから虐めを受けているのは、不味い状況だと改めて、ルシアは思い直した。なんとか、虐めを止めさせなければ過去の自分が処刑されてしまうかもしれないのだ。
そう思ったルシアは行動を起こす。
★★★★★★★★★
「ルシアお嬢様」
「何よ、テレス!平民の分際でこんな所に呼び出して!貴方は私の下僕でしょ?!」
「下僕になった覚えはないのですが……」
ルシアは過去の自分を校舎裏へと呼び出した。決してぼこぼこにする訳ではない。
「それより、何?」
「セリーへの虐めを止めてくたさい!あれ程…」
ルシアが過去のルシアに説教しようとすると、過去のルシアはルシアの頬へ右手を当てた。
「はっ?!あ、あの?!」
「ねぇ、私?私はセリーが好きなの?」
「え?いや、セリーは好きですけど…」
もう前々世とは違い、セリーへの嫌悪感はない。むしろ今世で過ごした日々は彼女への好意を膨らませていた。
「私より?」
「へ?いえ、」
「貴方はどっちが好みなのですのっ!!?」
そう顔を近づけて問い詰められる。えと、まさか、これは…?
「な、何か勘違いしておりません?私はセリーとルシアお嬢様を友人としてですね…。」
「むっ!!」
ギロりと睨まれる。凄まれてルシアは言葉をなくす。過去の自分とは言え流石は悪役令嬢、恐ろしいものだ。
「私はっ!私は……」
過去のルシアは頬を染めながら何かを言おうともじもじしている。そんな二人の間を風が通り抜けた。
「お嬢様」
「なっ!?」
ルシアは、過去のルシアの髪に付いた落ち葉を払う。
「あ、ありがとう。」
過去のルシアは頬を染めながらお礼を言う。
「セリーへの嫌がらせを止めてくれないとお嬢様を嫌いになりますわっ!」
ルシアはしたり顔でそういった。過去のルシアは慌てて弁解しようとする。
「そ、そんなっ?!わかっ、わかったわよっ!止めるからっ!嫌いならないでよっ!!」
「ふふっ、はい!」
笑顔で過去の自分に答えるルシア。それにしても好かれ過ぎている気も……。
「テレス!!」
ルシアはいきなり過去の自分に引っ張られる。そして、そのまま転倒してしまった。
「?!」
「テレス!!私は好きよ!!貴方が好き!!」
「お嬢様……」
過去のルシアは真っ赤になりながはもその眼は真剣そのものであった。
「ありがとうございます。私も友人として好きですよ。」
それを聞いた過去のルシアは少し苛立って立ち上がった。
「もうっ!テレスったら!わかってないんだから!!」
そして、ルシアも立ち上がりスカートを払う。過去の自分から好意を向けられるのはうれしいとルシアは思っている。だが、少し、おかしくないだろうか?こんなストーリーは知らないし、体験した覚えもない。魔王と自分が転生した事で明らかにストーリーが変わっていたのだ。ルシアは過去の自分に好かれる事をうれしいと思いながらも少し戸惑った。
ルシアの苦難は続く……。
いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。




