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かげふみ  作者: あしゅ
44/63

かげふみ 44

主の死を最初に聞いた時に、誰もが悪い冗談だと信じなかった。

 

 

ジジイは、またまたー、と笑い

リリーは、はいはい、と聞き流し

グリスは、嘘でもそんな事は、と怒った。

 

しかし駆けつけてみると、床に崩れ落ちて泣くデイジーの姿と

布団に横たわる主の、見たこともない安らかな寝顔に

誰もが言葉を失い、その場に立ち尽くす事しか出来なかった。

 

必ず来るとはわかってはいても、現実となると

その衝撃は、ただごとではなかった。

しかも主には病気も何もなかったのだ。

 

 

葬儀は長老会が仕切って、盛大に執り行われた。

街の名士がズラリと参列し、花が並び

葬儀にこういう表現も妙だが

館はかつてないほどの豪華絢爛な雰囲気に包まれた。

 

最初から最後まで、出席者全員が号泣する中

グリスはタリスに体を支えられて、かろうじて立ってはいたが

棺の蓋が閉められようとしたその時に、激しく取り乱した。

 

「やめてください!

 そのままにしておいてください!

 主様が起きてこられないじゃないですか!」

 

 

その叫びを聞き、参列者は益々涙に暮れ

感情を抑え慣れているはずの紳士たちでさえ、声を洩らして泣いた。

 

ジジイとタリスが、棺に追いすがるグリスを引き離そうとした。

「いやです!

 主様が死ぬわけがありません!

 主様の事だから、絶対に “万が一” を起こされます!

 その時に誰も側にいなかったら、どうするんですか!」

 

ジジイが泣きながらも、グリスをいさめる。

「グリスや、もう諦めなさい。

 いくら人間離れしていた主でも、それはない。

 主は、ようやく安らぎを得たんじゃよ。

 遠い異国で辛かったろうに、長い間よく頑張ってくれた。

 我々はせめて、主を快く送り出してやろうじゃないか。」

 

 

両脇を抱えられて棺から離されたグリスは

わああああああああああ と、雄叫びのような泣き声を上げた。

 

館中が、グリスの慟哭に引っ張られた瞬間であった。

 

 

 


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