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かげふみ  作者: あしゅ
20/63

かげふみ 20

「で、どうするんだい?」

訊くアスターに、迷いなく答えるグリス。

「うん、帰るよ。」

 

「そうか、寂しくなるな・・・。」

無理をしながら笑顔を作るアスターに、グリスは気遣って言った。

「でも、せっかく入らせてもらった学校だから

 ちゃんと卒業してから帰るよ。

 それまでもうちょっとの間だけど、一緒にいられるよ。」

 

 

グリスのその表情を見て、アスターは驚いた。

「もういつもの、いや、前よりも大人びたんじゃないか?

 驚いたな、あの一瞬で・・・。

 主様というのは、きみにとってどれだけの存在なんだい?」

 

その言葉を聞いて、グリスは思い出した。

そうだった、ぼくの命は主様にもらったものだった。

ぼくのすべては、最初から主様のものだったんだ。

ぼくは何を迷っていたんだろう?

 

 

「心配を掛けてごめん。

 そして、本当にありがとう。

 アスター、きみはぼくの一生の恩人だよ。」

 

ふたりは固く握手をし、抱き合った。

 

 

少年たちが爽やかな青春劇を繰り広げている時

館では薄汚いオトナたちの見苦しい言い争いが勃発していた。

 

「何ですぐに電話に出らんのじゃ!」

「電話してる最中に電話に出れるわけがねえだろー!」

「電話って、・・・グリスからか?」

「はーん、番号教えたのはおめえだなー? クソジジイー!」

「そんな事はどうでもよい! で、グリスは何じゃと?」

「知らんわー! こっちが訊きたいわー!

 まったく、よってたかって、わけわからん事ばっかり訊きやがってー。」

「ええい、あんたじゃ話にならん! リリーちゃんを出せ!」

「自分で本人に掛けろー!」

ブチーーーッ

「あっ、もしもし? もしもし? あのバカ女、切りおったな!」

 

 

ジジイはすぐさまリリーに電話を掛けた。

「時計の秒針の音がうるさい、と怒鳴っておいででしたわ。」

「何じゃ? そりゃあ???」

「さあ?」

「と言う事は、マズい結果にしてしもうたんか?」

「さあ?」

 

電話を切った後、ジジイは途方に暮れた。

どうしたもんじゃろうか?

あの主の事だから、絶対に穏便に済ませとらんはずだ。

何だか大変な事になっとるような気がする。

 

 

・・・ここは、わしがグリスに電話で・・・

いや、直接会いに行った方が良いかもしれん。

 

右往左往しているジジイの横で、ケータイがコンバットマーチを奏で始めた。

グリスからのメールの着信音である!

(ちなみに主からの着信は、ジョーズの出現音に設定している。)

ジジイはガバッとケータイに飛びつき、慌てながら開いた。

 

 おじいさま ご心配をお掛けした事と思います

 長々と館を空けて申し訳ありませんでした

 きちんと学位を取ってから帰りたいので

 あと数ヶ月は掛かると思いますが

 どうかこの我がままをお許しください

 

 

おお!!!!!!

 

何かよくわからんが、帰ってくるつもりらしい!

グリスよ、わしは嬉しいぞ!!!!!

 

 

ジジイが目を潤ませながら、ケータイを頭上に掲げて

ロッキーのテーマのBGMよろしく勝利のポーズを取っている時

主は壊れた時計を片付けるレニアに、ギャンギャン怒られていた。

 

「物を壊すなど、DVですのよ! パワハラですのよ!

 良いお歳をして、そんな分別もお付きにならないのですか?

 今度こんな事をなさったら

 あなたの寝室で、あなたのゲーム棚の前で泣き喚きながら

 あのうっとうしいコードの束を引きちぎりますわよ!」

 

それは主にとって、最大の脅し文句であった。

主は縮み上がって土下座した。

 

「すすすすすいませんでしたーーーーーーー!

 もう二度とこのような不祥事は起こしませんからーーーーーー!」

 

 

フン、と鼻を鳴らすレニアを、リリーは仰天した顔で見た。

この館で最強なのは、この人かもしれない・・・。

 

 


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