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「はい、また一組、成立~」
モニターに移し出されている監視カメラの映像を見ながら、白衣の男がパソコンにデータを入力していく。
「お、また成立したのか。確率高いな、今回のマッチングは」
「先輩、お疲れ様です」
「でもこんなのが、本当に少子化問題解決に繋がっていくのかねえ」
晩婚化、婚姻率の低下で少子化が、社会問題にもなっている昨今。
国はAI技術を活用した結婚活動事業を国策として打ち出したが、その応募にはいかんせん若者が集まらなかった。
なのでこうして、表向きではイベントを装って男女のデータを集め、分析し、引き合わせるといったお見合い行為を秘密裏に国主導で始めだしていた。
「まあ、どっちにしても、ここで出会った人たちが幸せになれば、いいんじゃないですか?」
「まあ一応、AIが出した答え的には相性は最高にいいはずなんですし」
「そうだな、問題になったときの話は俺たちの専門外だし、俺たちは俺たちでデータをAIに食わせられればそれでいいんだしな」
男たちは細い通路から外へと向かっていく二人の姿を、モニター越しに見送っていた。
僕はこの時、まだ知らなかったんだ。
後に国が大々的に打ち出したAI婚活なる事業の被験者になっていた事を。
奇跡みたいな僕たちの出会いが仕組まれていた事を。
この件については色々と問題にもなったし、僕も初めは驚いた。
でもその結果として、今の僕らは幸せだから、僕らにとっては何の問題にもなっていない。