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07 胃の痛み

 ルード様ってめちゃくちゃわかりやすいイケメンだよね。


 アリス様がデートにいくと言っていた翌日、ルード様は終始上機嫌で登校された。アリス様とお出かけ楽しかったんだろうなと想像に難くない。後ろに控えているジャック様も、呆れながらも一安心といった顔をしている。

 機嫌のいいイケメンって目の保養というか、目の毒というか、ルード様派のご令嬢がうっとりとルード様を見つめていた。ルード様にそんな顔をさせられるのはアリス様なんだぞと言いたい。お前の入る隙ねえから!


 一方で、アリス様はいつもと変わらない顔で登校された。私を見るなり、天使の微笑みで「おはよう」と声をかけてくれるところまでいつも通りだ。いつもならここでムッとするルード様も今日は機嫌がいいままで、昨日何があったのか気になりすぎる。

 アリス様はそのままルード様に挨拶へ行かれて、ルード様は誰にでもわかるほど上機嫌になった。国の第一王子がチョロすぎて不安になるが、アリス様はめちゃくちゃ優秀だからきっとなんとかなるだろう。そう考えると、アリス様が死んでしまって国は大丈夫だったんだうか。二作目ヒロインも貴族としてはだいぶ頭がお花畑だった気がするけど、ルード様ルートとか未来に不安しかないな?国のためにもルード様の隣にはアリス様にいてもらわないと困っちゃうな。私の趣味じゃないですよ?国のためです。


 内心頷いていると、不意に視線を感じて顔を上げた。いつの間にか目の前にジャック様が立っていて、度肝を抜かれる。いつから立ってたの。もっと自己主張して。


「アイリス嬢、承諾ありがとな」


 いや何が?ジャック様は藪から棒に口を開いた。なんのことだと首を傾げていると、ジャック様は小さくアリス様たちに視線を向ける。なるほど昼食の件かと納得して頷けば、ジャック様は安心したように息を吐いた。


「悪いな、邪魔して」

「いえ、こちらこそ婚約されてる二人の時間を邪魔して申し訳ないです」


 素直に思っていたことを言うと、ジャック様は困ったように頭をかいた。


「アリス様はあんたといたがってたから気にすんな。ただ殿下がなぁ」


 ため息混じりで言葉をこぼすジャック様は苦労してそうだ。私はアリス様から嫌われていないと言うだけで幸せなのであまり気にしないでほしい。二人を間近で見れる、それだけで十分です。


「殿下ってアリス様大好きですよね。見ていて微笑ましいです」

「あれが微笑ましいって……お前すごいな」


 言葉通りに微笑みながらいえば、ジャック様は目を見開いて驚いていた。そんなにかなと思ったが、ジャック様側から見るとやっぱり違うのだろうか。


「まあいいけど。アイリス嬢は普段飯どうしてんだ?」

「あの、アイリスで大丈夫です。普段は食堂ですけど、たまに軽食を買って外で食べたりもしてます」

「じゃあそうするわ。それなら普通だな、多分アリス様が声かけるから適当についてきてくれりゃいいから」

「わかりました」

「んじゃ」


 ひらひらと手を振ってジャック様はルード様の元に戻っていく。ふと周りに目を向けると、ずいぶんと視線を集めていたようで小心者の心臓が悲鳴を上げた。アリス様もいっていたけど、ジャック様と話しているとかやっぱり目立つよね。成り上がり男爵令嬢がイケメンと喋って申し訳ない。

 それにしてもわざわざお礼を言ってくるとかジャック様マメだよなぁ。アリス様派の中にはジャック様狙いの令嬢が多いって、私知ってるんですよ。主従揃ってモテモテなのです。将来有望なイケメンだから当たり前だろうけど。


 冷静になるとそんなイケメンたちと、たとえ昼食だけとはいえ同じ席に着くってぞっとしない。アリス様もそりゃ心配してくれるわけだ。いやアリス様も人気者だし、四面楚歌では?今更ながらにお腹が痛くなってきて頭を抱える。

 やっぱり嫌ですって言いたいけど、アリス様が残念そうな顔をされるのは見たくない。強く生きるしかないなと腹を括った。


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